シャカリキ シャカリキ!
原作:曽田正人
全16巻

■私的評価

デヴュー当初から高水準の作品を発表し続けている曽田正人。安心して「指名買い」ができる数少ない作家だ。
曽田作品の特徴は「熱気」。むせ返るような情熱と独特のロマンチシズムが充満する曽田作品は、麻薬のように読者をトリコにしてしまう 魅力がある。

本作は記念すべき初連載作品であるが、驚くべくは(恐らく)マンガ史上初のロードスポーツ物だという点だろう。 競輪については劇画系作品に存在していたが、高校生を主人公としたロードレーシングというストーリーは前例が無い。 それを初連載で持ち出した時点で作者の非凡なセンスを垣間見た気がする。

ストーリーは単純明快。「坂で強いヤツが一番ヤ!」とヒルクライムに執着する主人公テルと「スピードではオレが一番」と ダウンヒルに全てを賭けるライバル由多(ユタ)との対決を軸に、ただただ自転車を漕ぐだけ、一番になりたいから自分の全てを 込めてペダルを漕ぐだけだ。それだけのストーリーなのに、なぜこんなに心が熱くなるのだろう?

初めて自分の自転車を買ってもらった時のトキメキ、勝負に勝った時の喜び、ライバルに負けたときの悔しさ・・・独特の画風と 相まってストレートに読者の心に響いてくるのだ。
劇中でテルの父親がテルの行く末を案じる妻に「男の子にはこういう(取り憑かれたように何かに夢中になる) 時期があるんだよ」と語る場面がある。「男は永遠に少年なんだ」とは使い古されたセリフだが、正にそんな男の少年性を 揺さぶり、奮い立たせてくれる作品なのである。

いつでも疲れた中年の心に過激なまでに元気をくれる名作。少年よりも中年層にお薦めしたい作品である。
ところで女性は本作を読んでどう感じるのだろう?

■データ
・「週刊少年チャンピオン」誌に連載。
・本作以後どんどん線がラフになり、「ラフなのに緻密」という"味"が出てくる。
・レースは『石渡山』『インターハイ予選』『日の大合宿』『ツール・ド・おきなわ』の4戦。
 個人的にはあと2戦くらい『おきなわ』の前に欲しかったと思う。
・本作のテルのように「普段はマヌケな天才」が曽田作品主人公の特徴。


■曽田正人の作品
・シャカリキ! (自転車ロードレース)
・め組の大吾 (消防士)
・昴 (クラシックバレエ)
・Capeta (カート)






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