咲かせたい 冬の朝顔 千代の道
としひこ
今年は千代女生誕300年にあたります。
新作能「朝顔」も平成二年七月に創作初演されてから、もう十三年。
以来松任や金沢で上演を重ね、装束や型等いろいろ工夫を重ねて参りました。
今回は特にひとり語りと笛とのコラボレーションも企画。
おあしすの金子健樹氏にお願いして、「千代物語」に補筆していただき、ひとり語りバージョンができそうです。
金子氏は千代女の三十代後半、肉親を次々に亡くし、発句の数がごく少ない時期に焦点をあてられました。
先輩の珈涼や紫仙に励まされ、浄土真宗の教えを心に、芭蕉の道に支えられて再び発句三昧に生きる姿は
「つるひとすじの心より 百千の花やひらくらん」
そのものだと思います。
今年の夏、私は茶の師匠吉山宥海氏と坂尻屋珈涼の子孫であられる大鼓の飯島佐之六氏とたてつづけて永遠の別れに涙しました。
お二人ともこの道ひとすじに、誠実に百千の花を咲かせつづけた生涯でした。
この心を引きつぐ若手能楽師に支えられて、命の重みを表現できればと願っています。
笛の八木さんや語りの高輪さんの力もお借りして、亡き人の供養と明日への光が美しくつむがれんことを確信しています。
平成15年9月  藪 俊彦

第七回 藪 俊彦 「能の会」  平成15年11月4日 石川県立能楽堂
今回は 「千代 幻想 ―つるひとすじの心より― と題して、宝生流新作能「加賀の千代女―朝顔―」の演能に先立ち、八木繁さんの篠笛演奏「千代尼幻想」と鏡花劇場の女優高輪眞知子さんのひとり語り「千代物語」(金子健樹作)が上演され、女流俳人千代女の生き様が浮き彫りにされました。
「千代物語」を熱演する高輪眞知子さん
北國新聞に掲載された修篁堂舞台での稽古風景
 高輪さん、八木さんが声の抑揚、笛の音との調和などに取り組む
宝生流新作能「加賀の千代女―朝顔―」
季節  初秋
場所  加賀の国松任の里

俳諧の道に心を寄せる都の僧が、北国行脚の旅の途中、加賀の千代女ゆかりの地に立ち寄り休んでいると、一人の里女が現れます。

里女は、ここは松任という所で白山の雪解け水がおいしいことを語り、僧の所望により、井戸から水を汲みます。

そして、僧が千代女のことを尋ねると、女は委しく千代女の生涯を物語り始めます。

千代女は松任に生まれ、幼い時から俳句の才能を発揮し、十七歳の時に美濃の俳人支考という人にその才能を認められ、千代女の名が天下に知られるようになった事。

十八の時に金沢へ嫁いだものの、すぐに夫を亡くした為、ふるさとに帰り、俳諧の道一筋に生きようと決めた事。

そして、加賀藩の命により、朝鮮使節への贈り物として俳句を献上した事などを語り、千代女の跡を弔うことを頼みながら、かき消すように失せてしまいます。<中入>

僧が回向をしていると、千代女の霊が現われ、歌舞の菩薩となって舞を舞い、そして

「月も見て  われはこの世を  かしくかな」

千代女の霊は一生懸命生きて、何も思い残すことが無い事を告げ、空が白々と明けるとともに胡蝶のように消えて行きます。夢から覚めた僧の眼前には、霊峰白山の厳かな姿だけがありました。

歌舞劇の普遍性―宝生流新作能「朝顔」を見ると題して、生方史郎(ハンドルネーム)様が御自分のホームページに観能の感想を書いて下さいました。是非、こちらから御覧下さい。
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