北國芸能賞の宴
平成16年11月3日、藪俊彦は北國新聞社より石川県内の芸能の発展に尽くした人に贈られる北國芸能賞を頂戴いたしました。
この栄誉は皆さま一人ひとりのおかげと深く感謝申し上げます。
「楽しめる能」演じたい ―北國新聞「道をひらく」より―
演ずるというのは非常に苦しいことでして、まさに自分との闘いです。断崖絶壁に立たされ、そこから落ちていくような怖さも感じます。この曲が何を表現したいのか、何を訴えたいのか。それが分かった時は本当にうれしいですね。前向きに、意欲的にまた稽古ができるわけです。
《加賀宝生流職分として数多くの舞台でシテ方を務め、その芸風は円熟味を増している。幅広い活動は能舞台にとどまらず、金沢21世紀美術館の開館記念式典では、能舞「ヒラキ」を披露し、国内外のゲストの視線を集めた》
決して舞がやりやすい場所ではありませんが、断るべきじゃないと思いましたね。21世紀美術館は時代の先端をいくだけじゃなく、金沢の伝統の上に生まれたということを頭に入れてほしい、そういう自分の訴えみたいなものがあったんです。金沢の伝統とかかわりを持つ中で現代美術も伸びると思いますよ。
―現代的な展開追及―
《金沢能楽会などの活動とは別に、1997年から独自の「能の会」を始めた。昨年は「千代女」をテーマに、笛、朗読、能でその生涯を表現し、来月は日本舞踊、語りとの合同公演も計画する。他の芸能分野と積極的に組み、能の現代的展開を追及する》
謡や仕舞をやっている人が能を見にきた時代と違って、今は見るだけの人が増えている。舞台芸術として鑑賞するわけですから、分かりやすく、楽しく見せることが求められる。いろんな視点からスポットを当てることによって楽しみも倍増すると思うんです。能を見て楽しみ、そこから習う人が出てきてほしい。
《社中「篁宝会」は百人以上を数え、金沢市の「加賀宝生子ども塾」でも講師を務める。金大を卒業後、金沢市内の小学校で九年間の教員経験があり、指導力には定評がある》
子供を教えていかないと能の将来はないと思っています。もっと大きく言えば、日本の文化の将来もない。畳に正座して謡をうたったり、畳の上で舞ったりする機会がなくなっています。そうしたことを経験させて畳の文化も知ってもらいたい。「子ども塾」では今年、子どもだけで「羽衣」を演じました。シテもワキも地謡も囃子方も。これは全国的にも珍しい。家族のお祝い事などでも積極的にやってほしいですね。
―先人に深く学ぶ―
《多彩な企画能、二十数カ国の海外公演参加など精力的な活動を重ねてきた。六十歳を目前に思いをはせるのは、伝統を受け継いできた先人の生き方である》
加賀宝生の歴史については学術的な資料もあるわけですが、もっと生活のにおいがする、生身の生きざまを知りたいですね。先人が能を通じて喜びや悲しみをどう享受してきたのか。江戸、明治、戦中はどうだったか。時代によって能への向き合い方があるはずです。いつも悩んでいることのヒントも、そこにあるんじゃないかと思っています。
北國芸能賞受賞記念の宴  平成16年12月18日金沢国際ホテル

会場に飾られた「北國芸能賞」の楯と賞状。記念の宴は加賀宝生子ども塾の連吟「老松」で幕を開け、箏の「羽衣」バリエーション、そして能「羽衣」が子ども塾生により謡い舞われました。
飛田秀一北國新聞社社長のご挨拶では、過分なお言葉を頂きました。
石川県能楽楽師会会長山田太佐久師による乾杯の音頭の後、師範の連吟「四海波」。
松島維成さんの小松曳山の「口上」をアレンジして行われた「義血侠血」の口上。
加賀宝生子ども塾生と箏による「羽衣」バリエーション。お囃子は山口眞智子さんと中谷浩子さん。
ひとり芝居―滝の白糸、天神橋の場―鏡花劇場の高輪眞知子さんと「篠笛」八木繁さん。



麦谷清一郎師と吉野晴夫師。
チャイコフスキーのアンダンテカンタービレに乗せて舞われた藪俊彦「猩々」中の舞。
渡邉容之助石川県能楽文化協会専務理事の「千秋楽」で締めくくられた。
記念の宴の前にロビーではお茶が呈されました。
お茶席や受付やカメラ撮影など、支えてくださった皆さまお疲れ様でした!
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