下記のグラフは 2002年11月にTAO研究会が
九州大学医学部付属病院リハビリテーション部で行った
感覚による神経系のレッスン(TAO 気づきの体操)の前後における
安静立位~前屈時の左脊柱起立筋の筋電図データです。
数値が高いほど 筋肉が緊張していることを表しています。
左がレッスン前、右がレッスン後のデータです。

ご覧になるとわかるとおり
レッスン前に筋肉の緊張が強すぎた人は
レッスン後に筋肉の緊張が和らぎ
逆に筋肉が弛み過ぎていた人は
筋肉が少し目覚めてくれたようです。
TAO 気づきの体操では
“中庸”というありようを大切にしています。
右に片寄ることもなく 左に片寄ることもない。
背骨が反り過ぎることもなく 丸まり過ぎることもない。
それでいて 真ん中で固まってしまうことなく
いつでも自由自在に 右にも左にも動き出せる。
中心を保ちながら そこに縛られることなく
自由に動き出すことのできる状態を ニュートラルといいます。
人が動く時には
静止状態の時に保たれていた バランスを崩さなければ
動き出すことはできません。
“歩く”という動きも まっすぐ立っていた静止状態から
バランスを崩して 重心を移動させることによって
可能になります。
じっと立っている時でさえ
本当は微妙に揺れ動いているのです。
TAO 気づきの体操は ニュートラルの状態から
いつものクセとは違う動きを いろいろと試みては
またニュートラルに戻り
どう動けば 一番心地よくスムーズに動けるのか
自らの感覚を頼りに 探究していきます。
その結果として コチコチに緊張していた筋肉が弛み
だらんとだらけていた筋肉は 自然に目覚めていきます。
その場の状況に応じて 一瞬の内に筋肉を発動させることも
ゆったり 緩やかな動きをすることもできる
融通無碍に しなやかに動ける体を目指しています。
【 *感覚による神経系のレッスン(TAO 気づきの体操)を
科学的に検証すべく行われたこの測定においては
身長、指高、体前屈の測定で 変化が数値として明確に表われ
コンピューターによる筋電図と足圧分布の分析結果は
感覚による神経系のレッスンの効果を強く訴えるものでした。
感覚による神経系のレッスンがもたらす身体的な変化が
数値で顕著に明らかとなりました。】
< 2. 意識 >
“気づく”というのは それまで気づいていなかったことが
ふと 意識に上ってきて
“あれっ?” と意識の眼が向けられる状態を指しますが
それまで 無意識の内にしていたことが
意識で捉えられることによって いったい何が起こるのでしょうか?
意識は 脳科学の中でも 最後に残された難問だと言われています。
意識があるというのは 自分が自分であることをわかっている状態
隣の人とは違う “私は私である” ということが
認識できている状態のことですが
さて 私たちは果たして 一体 どれだけ 自分のことが
わかっているのでしょうか?
たとえば あなたが今 もし座っているとしたら
あなたの背中は 丸まっていますか?
それとも 背中を反らせていますか?
あるいは どちらでもない ニュートラルな背骨の彎曲でしょうか?
首の後ろが縮んで アゴが前に突き出ていますか?
それとも 首の後ろが伸びて アゴが胸に引き付けられているでしょうか?
あるいは そのどちらでもないでしょうか?
人は 意外と 自分が今 どんな姿勢をしているのかに
よほど そこに意識の眼を向けていない限り
ほとんど気づかないものです。
私たちが目覚めていると思っている状態は 眠っているも同然
夢を見ているのと変わらない などとも言われています。
TAO 気づきの体操は 普段 気づくことなくしている自分の姿勢や
動きのクセに 意識の眼を向けて 気づくことにより
そのクセから解放されて よりスムーズで自由な動きのできる体へ
変わっていこうとする体操です。
体を動かすことによって “動き”を通して 気づいていきますので
“体操”と呼んでいますが 本当は 人間が動きを学ぶ際の
脳の学習機能をうまく用いて より効率の良い動きを身につけていくための
脳のレッスンをやろうとしているのです。
動きの質が向上すれば 心と体は一つですので
それに連れて 感情や思考の質も向上していき
人生全体の質の向上につながっていきます。
体そのものも たとえ 年齢に伴う筋肉の低下などが起こったとしても
重力を利用して 効率良く動ける 身のこなしが 身についていれば
いくつになっても 自分の足で立って やりたいことがやれる。
そして 感覚の質も向上することにより
毎日が 新鮮な思いで 楽しく イキイキと暮らしていけることでしょう。
気づいて 行動すれば 変わっていくことができます。
気づかなければ いつまでたっても変えようがありません。
心を澄ませて 今 自分がどんなふうに動いているのかに
意識の眼を向け
自分の体の声に 耳を傾けてみませんか?
< 3. エナジー >
エネルギーのことを 英語ではエナジーと発音します。
量子物理学によれば 物体もまたエネルギーであり
宇宙そのものが エネルギーでできているのだそうです。
この気づきの体操では 感じることを大切にしていますが
感じることには ものすごい力があります。
通常 感覚といえば 視覚や聴覚など
外部の情報をとらえるための 五感のことを指していますが
感覚にはもう一つ 体の内側の神経を通して
脳に送られてくる 運動感覚というものがあります。
感覚を研ぎ澄まし 体の動きに意識の眼を向け
感じることによって 脳に感覚情報がインプットされ
新たな動きを習得する チャンスが生じます。
外部から これが正しい動きだと 教え込むのではなく
いろいろな動きを経験する中で
脳自らが より心地良い動きを選択し 学習していくことによって
それが無意識の内にしている
日常動作にも 反映されていく可能性が生まれます。
日常生活における あらゆる動きも
運動そのものであると とらえるならば
この気づきのレッスンによって
動きの質が より良いものに向上してゆけば
日常動作もまた よりスムーズで楽な動きに変わっていくはずです。
人間の脳には いくつになっても 学習する能力があります。
むしろ年齢を重ねた方が 若い頃には学び得なかった
また質の違う学び方ができるとも言われています。
人間が本来生まれ持っている
感じることのエネルギー 意識し 認識することの力を用いた
学習能力を使わないのは もったいないと思いませんか?