act.3 キスゲーム

≪N視点に戻ります≫






「はいっ、ニノとリーダー、罰ゲーム!!みんなの前でキスしてください。あっつ〜いやつ!」


きゃ〜〜〜〜!!

翔くんの声と黄色い大歓声をぼんやり聞きながら、マジかよ…、と内心青ざめた。

いつもなら恥ずかしい気持ちを抱えつつ、これも仕事だと半笑いで思い切りよく実行するところだが、
今は少々状況が違うのだ。

誰もプライベートの俺たちの微妙な緊張感を知らない。

この前楽屋で二人きりの時、秘密のキスをに会した。
一回目はオレから。
二回目は彼から。

一回目のキスの後、彼はその意味をやたら聞きたがって困ったが、その気持ちがやっとわかった。

二回目のあのキスの意味はなんだったんだろう。

もともと無口でつかみきれない性格なのに、いきなりあんなことされると不思議でしょうがない。


今でもリアルに思い出す。雑誌に目を落としていた視界が急に暗くなって、唇に温かい感触が広がった。
舌こそ入ってないが、深く、長く、唇を重ねた。

何が何だかわからなくて、吐息が触れる距離でなにしてんの、なんて聞いてしまった。

答えは、キスだけど?という抑揚のない言葉。
その後スタッフが部屋の戸をノックしたからすぐに俺たちは何もなかったかのように体を離したけど、内心は穏やかじゃなかった。 

俺が悪ふざけしたことに対する復讐なのか(本音は悪ふざけではなかったのだが)、それとも、何か別の…。

イヤイヤまてまてまて。男同士だぞ?週刊誌にお互いの女の記事がスクープされたこともある。
別の意味なんて考えるほうが変だ。

…でも、あの瞳の色は、冗談とは思えなくて…、その証拠にあれから、お互いに異様にギクシャクしている。

松本くんに「ケンカでもしてんの?」なんて心配されたぐらいに。


怒ってるわけでも困ってるわけでもない。ドキドキしている自分に戸惑ってるんだ。

俺の彼への気持ちが特別なのは確かだ。
尊敬であり、信頼であり、親しみであり、ある種の愛情。
別にそれはそれで戸惑ったことなんてなかったのに…。