act.26 バスタイム(18禁)







玄関のドアを開けると、さっき電話で話したばかりの恋人が、リビングのソファでゲーム雑誌を読んでいた。
たいしてゲームになんか興味ないだろうから、多分暇つぶしに手に取ってみたんだろう。


「ただいま」


声をかけたかかけないかのうちに、ピクッと反応して振り向いた。


「おかえりっ」


最近仕事が忙しいなんてものじゃなく、くたくたの体を引きずるように帰りついたはずなのに、うれしそうな智の顔を見たとたん体中の疲れが溶解していくみたいだった。

ホントは映画みたいに、走り寄って力いっぱい抱きしめて、キスしたかった。

けどそんな芝居がかったマネは恥ずかしくて出来ないから、そばまで行くと、とりあえずは肩を抱いてめり込むほど智にもたれかかってみた。

「何でうちに帰るといつもあんたが先にくつろいでんだよ〜」


甘えて憎まれ口をたたいたら、「ごめんね」って微笑んで甘やかしてくれるから、もっと甘えてみたくなって。
智のベルトを外してズボンを下げてやろうとした。

「おまえも帰ってくるなり何すんだよ」


口では文句を言ってても声は笑ってて、俺の全部を受け入れてくれようとする愛情が、体につもって染み込んでいくみたいだった。



智と、つながりたくなった。



「お湯ためてくるよ。一緒にはいろーぜ」


俺の言葉の意味を理解した智が、起きてソファに座り直し、大人しく俺を待ち始めた。

焦る気持ちを抑えられず、手早くバスルームの蛇口を捻り、智のところへ急いで戻った。

座ってじっと俺を待つ智の肩に手を伸ばし、ソファの上に乗り上げながら、智の唇にかみつく。
舌をねじ込んで、口の中を蹂躙して、ついばんで、キスで恋心を吐露した。

仕掛けたのは俺。
リードしていたのも俺。


……だったはずなのに。

いつのまにか形勢逆転されて…。

覆っていたはずの唇が覆われていて、上になっていたはずの態勢は、下にされていた。

普段のキャラからは考えられないほど情熱的な智のキスと愛撫に、気持ちの高ぶりはピーク。

当然体のほうも反応して、ズボンの締め付けが苦しくなるほど俺のソコは完全に勃ち上がっていた。


首筋を舌でなぶられながら押し倒され、智の手はTシャツの中に入り込んできた。
全力で求められてるのが伝わってきて…、どうやら今日の役割は決定したみたいだった。


「せっかく準備したんだし…場所変えよーぜ」

「うん」


…返事は聞いたと思うんだけど、イタズラする手はとまらない。


「あっ……!」


お尻にスルッと手を入れられ、やわやわと揉まれた。

早く侵入したがって入口を探す智の指を慌てて止める。


「来てよ」


手を引いて脱衣所まで誘うと、入るか入らないかのうちに後ろから抱きすくめられた。

俺の服を脱がそうとする智に向き直って、俺も智の服を剥いでいく。


もう止まらないくせに、
「…ごめん、疲れてない?」
なんて聞いてくるから、
「…疲れてるけど、セックスする元気はある」
って答えてやった。




「カズ、好き」
「知ってる」




もつれるように2人で入っていった浴室は、浴槽から溢れ出たお湯で、タイルも室温もポカポカしていた。
おかげで押し倒されても背中が暖かくて気持ちいい。



智が俺のアレに手を伸ばし、口に含むのをじっと見ていた。


「ア…ゥッ!」


柔らかくて温かい智の口の中に包まれた瞬間、激しい快感が体の中心を突き抜けた。
疲労でけだるくなっている頭にこの快感はたまらなくて、体がビクビクッと痙攣する。


「アッ…アッ…!」


ちゅ、ちゅる…って音と、ヌルヌル撫でる巧みな舌の感触に、あっという間に臨界点まで追い上げられた。


「っ…!でるっ、ちょっ、待っ…、さ、としっ」


一緒にイキたい俺の抗弁を聞かず、口の動きは激しさを増した。
キツく吸いしごかれ、本能にあらがえるはずもなく、抑えようとしても漏れてしまう声と一緒に智の口の中に放った。

「…ァゥ!!…ハァッ、ハァッ…」


解放感と満足感に体が一気に脱力し、くたりと横向きに寝そべると、智が覆いかぶさってきてわき腹や胸を撫でながら舐めてくる。


「カズ、色っぽい…」


乳首を片手でくりくりと摘まれ、もう片っぽは舌でねろねろ舐められた。

「あぁっ…」


放ったばかりの体に与えられる丁寧な愛撫に悶えて…。
…足に、すでにギンギンの智のアレが当たった。


「…俺も」


気持良くしてあげようと手を伸ばすと、

「いいよ」


とやんわり断られた。


「カズ、そこつかまって後ろ向いて」


智はペロッと下唇をなめ、俺を促す。
思考力なんてとっくに無くしてるから、いわれるがままのポーズをとった。

バックにヌルッと何かを塗られた感触。

…ボディーソープ…かな?


「確か…このへんがイイんだよな」

にゅるっと指を入れられた。
まるで理科の実験でもするみたいに観察しながら中をグリグリいじられて、さすがに顔が赤くなった。


「ちょっ…!」

「このへんだっけな」


ある一点をぐりっと擦られたとき、物凄い快感に襲われた。


「…ああぁっ!!」

「みっけた」


ソコを擦られる度、イッたばかりだっていうのにまたアレがぐんぐん膨らんで、完全に勃った。


「なんで俺ばっかイかせようとすんだよ!」


恥ずかしさとない交ぜになってわぁわぁ抗議した。
けど智はどこ吹く風。


「今日は和を気持ち良くするって決めたの」



擦られて、嬌声をあげ、また仰向けになるよう促されて、促されるまま智と向かい合う。
指でクチュクチュバックをいじりながら再びフェラチオされ、目の前が真っ白に染まり意識が飛びそうになった。


「〜〜〜んっ、あっ、あっ、あぁん!あんっ!!」


…プライドなんてもってられたもんじゃなく、女みたいな声を上げ続け、放った時には声がかれていて…。

智は一回目も二回目も飲み下して、ぜェゼェと肩で息をする俺の様子をうかがった。


「気持よかった?」

「…ヨすぎて…」

「さすがに体が冷たくなってきた。風呂入ろ?」


脱力してる体を抱き起こされ、とぷんと湯船の中に引っ張り込まれた。
浴槽にもたれてクテッとしていると、反対側にいる智が俺の手を掴んで引き寄せる。


「カズ」


………はいはい。
ニコニコと可愛い顔しちゃって。


智の首に両腕をまわし、深く口付けてから抱き締め、もたれた。

…なんか、足に当たってるものが今にもイきそうにおっきくなってるけどホントにこのままでいいのかな…。
もう一回触ってみようか。

そう思って智の股間に手を伸ばそうとした時、智の両手が俺のお尻に伸び、揉みほぐしながらバックを探り始めた。

バッと顔を起こして智を真正面から見る。


まさか……。



「さっき俺、二回もイッたばっかりなんだけど…」


恐る恐る聞いた。
智は口をとがらせ上目づかいで俺を見てきた。


「だって和の中に入りたい」


「…あんた俺を殺す気?」

「この体勢なら俺だけ動くから。和休んでていいよ」


…休んでてって…、休めるワケないだろ!

少し怒りながら全身の力を抜き、智に抱きつきのしかかった。

休めっていうからには俺は一切動かないぞ。


智はお構いなしに指を二本入れ、すでにだいぶほぐれているソコをクチュクチュと広げた。



…あぁっ、もう、…何でこんなに気持ちイイんだよっ。


「…さとし…、さと、しぃ…」


どうしようもなくでてしまう甘ったるい声を智の耳に吹き込み、そのまま耳朶をあまがみした。



「和、潜っちゃうよ」


そう囁くと、智は入口に自分をあてがい、ぐぐぐぅっ…と宣言通り俺の中に潜り込んできた。


「あぁぁっ…ン」



…俺の中は、根元まで智に満たされ…、愛して愛されていればこそ、繋がる喜びは快感と相まってまた格別…。
しばらく2人でお互いを抱きしめあい、また深く口付けを交わし…。



水面が…、チャプ…っと小さく波打った。




…チャプ、…チャプ…。


最初は緩やかに…、そして次第に速く激しくなっていく。




チャプッ、チャプッ、チャプッ。


ジャブ、ジャブ、ジャブ。


ジャブッジャブッジャブッジャブッ!!



智の首に両手で掴まり、それてしまう上体を支えた。
指に力が入り爪で彼の肌に跡を付けてしまうっ。


あまりの快感に声も出なくて、体がまるで操り人形になったみたいに智に揺さぶられる!
先の笠が俺の中を執拗に攻める!!



…………飛ぶっ…………!!




「…カズ!!?」





自分の顎がカクッと下を向いた…、ところまでは覚えてる…。








……………ん……。

唇を舐められている感触で目が覚めた。



「…………んふ…、ん…、チュ…、気…失って…た?」



湯船の中、俺を後ろから抱きかかえながら、しゃべる暇も与えず智が舌を絡めてくる。


「…うん。…ホントはもっと気持よくしてもっと乱れさせたかったけど…やめとく。無理させてごめんね」

なんていいながらうなだれてる俺のアレをまだ名残惜しそうにイタズラしてくるから…、その手を握って俺の肩にまわさせた。


「うん、もう降参…。なんだよ今日は。いつもよりしつこいっていうか…」

「しつこいとか言うなよっ」

「はは。…じゃあ情熱的?」

「…二人で会えなかったからストレス溜まってたのかも」

「もっと即物的に溜まってたんじゃない?」

「茶化すなよ。…お前が可愛くて、好きすぎて、頭のてっぺんから足の先まで愛したいだけじゃん」




……………この人は…ホント。




照れっていうもんがないよな。



そっぽを向いた俺をなだめるように、智が顔を覗き込んでくる。


「なに、和、照れてんの〜〜?」


「ウルサいなっ。恥ずかしいこと平気で言うからだろっ」


ニコニコと笑って俺を捕まえて離さない智。

ホント可愛いけど、ホント恥ずかしい奴!



いつの間にか湯船に浮かんでたクジラのおもちゃがこっちを向いてる。




俺のとんでもない姿を見たのはお前だけだからな!




絶対内緒だぞ!



俺は穏やかな目をしたそのクジラに、心の中で言い聞かせていた。