act.8 日没







あぁ…、キレイだな…。



日本海の向こう側がオレンジ色に染まっていた。
静かな波の音だけが聞こえてくる。

俺たちは二人、浜辺に座って海をぼんやりと見ていた。





穏やかな時間だけが流れていて…、隣にはニノ。



ゴロンと寝転がって、日がな一日見ていたとしても足りないだろう、彼の顔を眺めた。


オレンジ色に染まってる。
…可愛くて…、綺麗で…、格好良くて…、実は情熱的で…、真摯で…、努力家…。


「釣りしたかった?」


石を海に投げながらニノが聞いた。


「別にいいよ。…二人でいられれば」



俺の海に行きたいという希望も考えてくれたニノが、海の近くの宿をとってくれた。

いい場所だけど、今日は平日だったからほとんど人もいない。




だからといってベタベタするわけにもいかない。


だからふと聞いてみたくなったんだ。



「俺のこと好き?」


ニノは拾った棒きれで砂をがしがしつついた。


「…うーん……」


当然すぐ返ってくると思ってた返事がなかなか返ってこない。

にわかに緊張が走った。

がしっ、がしっ、と棒で砂をつつき続ける彼の背中を見つめ、言葉を待つ。



「というか……、愛してる」




一瞬のうちに目の前の世界が輝きはじめる。
…それからじんわりと涙で視界がゆがむ。


精一杯の気持ちが言葉になる。
そして休日が終わる。





「俺も」