act.9 SHOくんの見解







あの2人は最近変だ。




そう思い始めたのはいつごろだったっけ。
確か、いつもじゃれ合っていた2人が微妙にギクシャクしていた時ぐらいからかもしれない。

お互いに触らない、必要以上に喋らない、お互いを目で追いかけない。

……確かに成人男子ではあるわけだからそれが普通なのかもしれないけど、あいつらの普通は違う。

それこそところかまわずベタベタスキンシップしまくって、行くとこ行くとこ2人で歩いてた。


それが一時期それをしなくなった時があったんだ。
2人仲の良さに惹かれて熱烈に応援してくれるファンもいる。
なのにその2人がいきなりよそよそしくなるのは俺たちにとってかなりのマイナスになるような気がしていた。

ある日の番組収録、はてさてどうなるもんかと2人を心配していたが、そこはさすがにプロ。
プライベートの気まずさなんて微塵も感じさせない「いつもの二人」を演じていた。

だけどそんな嘘が長くカメラの前で続くわけないぞ。
どうせ犬も食わないってヤツだろ。仲直りのキッカケが必要なだけだ。
それで収録中、罰ゲームのくじを裏でこっそりあの二人に合わせてやったんだ。

内容がキスという微妙なものだったけど、まあこの盛り上がりようならさらに気まずくなるということはないだろうと思っていた。


…リーダーは普通だったと思う。だけどニノの顔が硬直した。


それは些細な表情の変化でほとんどの人間は気付かなかっただろう。

でも俺は仕掛け人として失敗だったかも、と後悔していた。

しかし引き返せるはずもなく罰ゲームは強行された。


どういう事情かはわからないけど、こじれたら、スマン、二ノ。



だけど、状況は少し好転したらしかった。


ニノがリーダーに話しかけている姿をよく見かけるようになったからだ。
リーダーの前だとなんだかニノの表情が緊張していて、不自然な感じは抜けきらないような気もするけど…。

まあそれも時間の問題だろうとホッと胸をなで下ろしていた。




ある日ニノが

「翔くんって、初めてのデートってどこ行く?」
なんて聞いてきた。


「ははっ、番組アンケートみたいなこときかないでよ」
「イヤ、真面目に」
「なに、好きなこでもできたの?」
「そんなとこ」

こいつは会話の最中でもゲームから目をそらさないんだからなー。

「…じゃあマジに。俺なら人目につかないとこ探す。長く付き合っていきたいならなるべく見つかんないように遊ばないと、仕事の負担になって別れる羽目になるから。相手も守んなくちゃならないし」

「……そこは大丈夫。まあ、気を付けるよ」

「どこ行きたいか相手に聞いてみればいいじゃん。お前そういうのうまくやりそうなのにな」

「…マジだから慎重なんだ。絶対失敗したくないし、嫌われたくない。サンキュ、翔くん。参考にさせてもらう」

そう言うとゲーム機をパタンと閉じて収録に向かっていった。
なんか…涼しい顔してベタぼれなんだな…。

ニノの意外な一面を盗み見たような心境だった。

まさか智くんと彼女を取り合っているとか?

…まさかね。

心の中で苦笑していた。

しばらく経つと俺の予想通り2人はいつもの2人に戻った…、かのように見えたんだけど。


やっぱ違うんだよな〜。どこがっていわれると困るんだけど。なんか、例えて言うなら、まわりの空気がピンク?

今まで以上にひっついてはいるけど露骨じゃないっていうか…。


そうそう!ニノは彼女ともうまくいってるみたいだね。いきなりロケ交代してほしいって言われたときは驚いたけど、俺にはニノの緊張が伝わってきたよ。
デートのなんかのためにメンバーに苦労をかけることは後ろめたかったけど、自分が今盲目的に恋に落ちてることを白状することでみんなに誠意を見せていたことがわかった。

そりゃ睡眠時間1時間になっても協力したくなっちゃったよ。


休みの後は笑ったね。あのニノがポカーンと口開けて出番待ちしてんだから。


デートした日を思い出して、幸せオーラを出してることがわかった。


無理したかいがあったな。


それでそういう状態のニノの近くに必ず座るのが智くん。
智くんが来るとニノは穴があくほど智くんを見つめそれから肩によりかかる。


そして智くんもニノを見つめるんだよなー…。


コレ!この時間が今までとは違って変なんだよ!

今まではあらためてマジマジ見つめるなんてなかったような気がする。

どういうことかわからないけど仲が悪いわけじゃないから三角関係になってはないな。

ギクシャクして、ニノが恋人にゾッコンで、仲直りして、そいで今まで以上に仲
良しコンビ。



ピンッときそうなんだけどなー…。


だけどいくら考えたところでわからないものはわからない。


今度夕食おごるっていってたな、ニノ。

その時にでも幸せノロケ話でも聞かせてよ。






お前が無敵の顔をして幸せオーラをだすその源を知りたいからさ。