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no.2――プラスチックグラタン皿事件
これは電子レン
ジに果敢に挑戦をしかけた勇敢なる記録である。
K市在住のk君
(仮)はある日電子レンジへの挑戦を心に決めた。
その挑戦とは、
グラタンの製造である。
野菜や鶏肉、マ
カロニなどの下ごしらえを終え、ついにレンジとの戦いの準備が整った。
彼は皿にバター
を塗り付け、具を詰め込んでホワイトソースを流し込んだ。
そしてチーズを
乗せ、すかさずレンジに攻撃を仕掛けた!!
レンジの耐熱板
の上に皿を乗せ、いざスイッチオン!!
そして待つこと
数分・・・
レンジのとびら
を開けた彼を待っていたのは衝撃的光景だった。
な、なんとそこ
にはただ丸く白いだけの塊が横たわっていたのだ。
その白い物体の
構成成分を調べてみると・・・
えっ!?プラス
チック!?
そう、彼は耐熱
皿の存在と電子レンジの力を知らなかったのだ。
プラスチック皿
でグラタンを作ろうとした彼の勇気には、
誰もが賞賛の声
をあげずにはいられないだろう。
ただ、k君の常
識のなさが心に深くしみるのだった。
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no.3――終点大噴火事件
これは紙一重の
差に打ち負かされた悲しい記録である。
S区在住のa君
(仮)はサークルの新歓コンパに出かけた。
自分の酒の強さ
もわからない若きa君は調子に乗って酒を口に流し込んでいた。
しかし財布の寂
しさを感じ、2次会を辞退して帰路につくことにした。
そして電車に揺
られるうちに記憶は遠のき、胃のむかつきのみが彼を支配していった。
終点まであと2
駅・・・このとき彼を激しい吐き気が襲った。
しかしa君は何
とかその衝撃に耐え、あと30秒で終点というところまできた。
そのときだっ
た!!彼に最大の苦痛が訪れたのは!!!
彼はとっさに口
を押さえ、胃から這い上がってくる悪魔を押さえようとした。
そして何とか終
点の駅に電車が止まった。
助かった・・・
そう思い、一瞬
気を抜いたa君を彼らは見逃さなかった。
一気に口のほう
へ攻め込み、電車のドアが開いた瞬間!!!
・・・
胃の中の晩ご飯
はa君の呪縛から逃れ、電車の床に撒き散らされたのだった。
その後も胃の中
の悪魔は少しの間a君を苦しめ続けたのだった。
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no.4――悪臭大魔王降臨事件
これは日本に降
り立った悪臭大魔王との壮絶な戦いの記録である。
あまりの凄まじ
さのため、これを見るだけの気力と体力のある人だけに見て欲しい。
もしこの記録に
触れる決心がついたならば、
内容はこちら・・・
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no.5――灼熱の浴槽事件
これは好奇心に
流され、留年の危機にさらされたつらい記録である。
S区在住のa君
(仮)は英語の試験前夜、リスニングのスクリプトをもらうため、
サークルの友人
宅へ出かけた。
そして試験勉強
をするでもなく、ただだらだらとしゃべっていた。
小一時間が過ぎ
ようとしたころ、どこからともなく、
ボコボ
コッ・・・ボコボコッ・・・
という音がして
くるのに二人は気づいた。
そして急いで風
呂場に駆け込み、湯船のふたをあけてみると、
そこにはボコボ
コと泡を吐き出し、湯気を立ちのぼらせる、
煮えたぎり沸き
かえった熱湯が顔をのぞかせていたのだった。
何とその友人は
a君が来てから2時間もの間、風呂をたき続けていたのだった。
しかしこの事件
はこれだけではおわらなかった。
煮えたぎる風呂
を見て、a君が発した言葉は、
「ゆで卵ができ
るかも・・・」
二人は好奇心に
流されるまま、湯船の中に卵を入れたのだった。
すると何と卵は
完璧にゆであがり、完全なるゆで卵ができたのである!!
そのゆで卵をほ
おばりながら、a君とその友人は感動と満足感で満たされて、
すぐに安らかな
眠りに落ちていったのだった。
そして英語の試
験を翌日に控えていたa君は、
案の定不可と背
中合わせの解答しか書けなかったのだった。
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no.6――ATMの逆襲事件
これは当然とは
何か?という疑問を全世界に投げかける驚きの記録である。
K市在住のk君
(仮)は家賃を払うためお金を下ろしに郵便局のATMへ立ち寄った。
そして家賃の5
万円を下ろす手続きを終え、お金が出てくるのを待つだけとなった。
待つこと数十
秒、札の出てくるところのふたが開き、
いざお金を取ろ
うとしたとき、k君は驚愕した。
そこには当然1
万円札が5枚だけしかないはずが、
なんと厚さ
1cmにもなろうかと思うほどの札の束が入っていたのだ。
そう、そこには
千円札が50枚も出てきていたのだった。
どうやら彼は5
万円を下ろす際、50千円と入力していたという。
そんなひねたや
り方にATMは逆襲の念を抱いたのであろう・・・
そしてその光景
を目の当たりにしたk君は、もう笑うしかなかったのだった。
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no.7――アイロン直火焼き事件
これはアイロン
の能力を過信したおろかな記録である。
T市在住のn君
(仮)はある日お気に入りの服にしわがよっていることに気づいたという。
そして彼はその
しわにどうしても目がいってしまい、気になって仕方なかったらしい。
そこでついにそ
の忌まわしきしわを消し去るためにアイロンを買ったのだった。
しかもワイヤレ
スという贅沢さであり、それを買うための資金は、
どうやら裏金と
いう話であった。
そしてどうにか
アイロンを手に入れたn君は、
さっそく自慢の
スーツのしわ撲滅作戦に立ち上がったのである。
そして彼は満足
げにアイロンを前後左右に動かし、
そのしわのなく
なった服を目を見開いて眺めたのだった。
そこには案の定
しわが消え去り、新品のようなはりのあるスーツが横たわって・・・
あれ?まだしわ
だらけや?
n君は疑問を抱
きながらも、かけ方が足りないと自分に言い聞かせ、
再度アイロンを
走らせた。
しかしやはりし
わがのびない。
不思議に思った
彼はアイロンの製造元に抗議しようとも考えたが、そこは踏みとどまった。
そしてもう一度
スーツに手を当ててみたとき、重大なことに気がついたのだ。
なんと彼はアイ
ロン台を用いず、じゅうたんの上でじかにアイロンがけをしていたのだ!
その後n君は
「金がなく邪魔だからアイロン台を買わなかった」と言い訳をしていたが、
その声は誰にも
届かなかったのだった。
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no.8――衝撃の裂け目事件
これは物持ちの
よさもほどほどにすべきことを示唆する教訓的記録である。
S区在住のa君
(仮)はその日体育があるので、意気揚揚と体育館のフロアへ駆け上がっていた。
その3時間ほど
前、着替えるときにふと彼が抱いた、
とりとめのない
不安感などすっかり忘れて・・・
そしてゲームを
始め4分が経過したころ、
a君は不意に快
感とも嫌悪感とも取れぬ妙な開放感に襲われた。
その開放感はお
尻のあたりを突き抜けていったのだった。
その瞬間a君の
顔は青ざめ、脳裏を嫌な予感が走り抜けた。
彼は勇気をふり
しぼり、その予感を確かめるべく腰を軽く落とした。
ビリッ!ビリビ
リッ!!
激しく鳴り響く
音とともに彼はその場にくずれ落ちた。
そう、やぶれた
のだ!
a君の最初の不
安感はこれを予言していたのか、見事にその予感は的中したのだ!
長年はきつづけ
薄くなっていた彼のパンツが、
その圧力に耐え
切れずのれんのように何重にも裂けたのだった。
そしてその音に
気づいた周りのちょっと引き気味の視線の中、彼はどうすることもできず、
ただ、
「俺パンツ破れ
たで!最悪や〜〜!!」
と、恥ずかしさ
を振り払うかのごとく大声で叫ぶしかなかったのだった。
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no.9――心神喪失の子の刻事件
これは日本酒の
恐ろしさを改めて痛感させられる悲劇の記録である。
S区在住のa君
(仮)はその日サークルの合宿をさぼって先輩達と飲んでいた。
その日の飲みを
心待ちにしていた彼は、非常に気分よく酔っ払ってきていた。
そして、ある一
つの間違いを起こしてしまったのである。
あの悪魔を自分
達の卓に呼んでしまったのだ。
そして”熱燗2
合”と呼称されるその悪魔は、
甘美な香りと濃
厚な味でa君を魅了し始めたのだった。
さらに運の悪い
ことに、店員がお猪口を一つしか持ってこなかったことも災いした。
当然先輩から勧
められた杯を彼が断れるわけもなく、また断る理由もなく、
次々に悪魔がの
どを下っていくのをただただ許すのみであったという。
そして徳利を5
本ほど空けたところで飲みはお開きとなり、
a君を前後不覚
のまま帰りの電車へと乗り込んだ。
しかし当然あの
忌まわしい悪魔が独りきりになった彼を放っておくはずもなかった。
5駅ほど進むと
悪魔の憤りはピークに達し、
辛うじてホーム
へ降りた彼は、たまらず胃の中のものをぶちまけた。
幾分か楽になっ
たa君は再び帰路についた。
しかしアルコー
ルという悪魔はまだひそかにその力を残していた。
電車に乗るとす
ぐに再度彼に襲い掛かったのだ。
この場もなんと
かしのいだa君だったが、
その疲労は頂点
に達し駅のホームで意識を失うこととなった。
そして再び彼が
目を覚ましたとき、すでに終電の終わった12時半を回っていた。
仕方なく彼は出
口の方へ歩いていった。
その時になって
ようやく違和感を覚えた。
あれ?出口がな
い・・・
なんと彼が意識
を失った駅の出口があるはずの方向に出口がなかったのだ!!
そして仕方なく
反対方向にある出口に向かうと、あろうことか寝込んでしまった駅ではなく、
全く別の駅で彼
は意識を取り戻したのである。
その事実を目の
当たりにしたa君であったが、
過去に記憶をな
くした後に行動を起こした経験がなかった彼は、
妙にハイテン
ションのまま家までの道のりを歩いて帰っていったという。