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平成20年10月19日(日)  表紙へ  一昨日に戻る

昨日はMT家のバーベキューに御相伴して食わせてもらってきたです。コドモがどんどん増え、またひとりひとりが大きくなってくるのはよいことです。

帰ってきて頭が痛くてしようがなかったので更新休んだ。

ところで一昨日「すっぽん」の話をして、すっぽんが目で音を聴くとかすっぽんにはメスしかいないとか、が事実かどうかと問いかけて終わったのであるが、すでにそのこと、本朝・江戸の柏木如亭も論じておった。(「詩本草」による)

本草綱目諸説多可笑者。鰈之一目並行、前幅既弁其非。更有可笑最甚者、又不得不弁焉、曰、鼈純雌無雄、以蛇及黿為匹。

「本草綱目」の諸説笑うべきもの多し。鰈の一目並行すること、前幅既にその非を弁ず。更に笑うべきの最も甚だしきものあり、また弁ぜざるを得ず、曰く、「鼈は純雌にして雄無く、蛇及び黿を以て匹と為す」なり。

明の李時珍の「本草綱目」にある説には、おかしくて笑えてしまうのがたくさんある。かれいが一方にしか目が無いので並んで行く、という説は以前の章で既にその間違っていることを指摘しておいた(→※)。それよりもおかしくて、大笑いせざるを得ないようなすごいのがあり、これも正しておかねばならない。すなわち「すっぽんはすべてメスであってオスはおらず、ヘビや大亀をつれあいにする」という説である。

※「本草綱目」によれば「ヒラメとカレイは同じ種類の魚であり、ヒラメが大きくてオス、カレイは小さくてメスなのだ」そうである。そして、「ヒラメとカレイはそれぞれ体の左と右に目が寄ってしまっているので、一匹だけでは視界が狭い。そのため、オスとメスが引っ付きあって、左右をどちらも見えるようにしあって水中を泳ぐのである」とされている。なるほど、そうか。空に比翼の鳥(羽が片方づつしかないため二羽引っ付いて飛ぶ鳥)があるように、水にヒラメとカレイの比目の魚があり、ひとは夫婦協力しあって生きていかねばならんのだなあ。

・・・とみなさんは思ったかも知れませんが、柏木如亭は放浪生活で越後に行っていたとき、桶に塩水を入れて、中にカレイとヒラメを入れて実験してみたのだそうだ。すると、カレイとヒラメは引っ付きあう・・・ことはなく、それぞれに独立して泳いでいた。よって「本草綱目」の説は過ちであることが判明したのだ。

如亭はすっぽんのオスとメスは見分けがたいが、しっぽがとんがって甲羅の外に出ているのがオスで、曲って甲羅の中にしまわれているのがメスだ、という。その証拠に、しっぽの曲っているやつは卵を持っており、

卵味尤美。

卵、味もっとも美なり。

すっぽんのタマゴはたいへん美味いんじゃ。

との観察結果を報告している。

さすがに如亭先生は

余好食鼈。

余好んで鼈を食らう。

わしはすっぽんを食うのが好き。

と豪語するだけあって、すっぽんの雌雄を見分けることができたのである。

又曰鼈無耳、以目為聴。引淮南子無耳而守神証之。豈李時珍前生為此乎。若不然、聴不聴、何以知之。可為一噱。

また曰く、「鼈に耳無し、目を以て聴を為す」と。「淮南子」に「耳無くして神を守る」とあるを引きてこれを証す。あに李時珍前生これと為さんや。もししからずんば、聴と不聴と、何を以てこれを知るか。一噱(キャク)を為すべし。

また「本草綱目」にはこうも言う、

「すっぽんには耳が無い。目で音を聞くのだ」と。

これについては、漢の劉尚の「淮南子」に「(すっぽんは)耳が無く、これによって己れの精神が乱されたり出て行ったりしないようにしているのである」と書いてあるのをその証拠に引用しているが、(精神を守ることと聴くこととは別である。)もしかしたら、李時珍は前世ではすっぽんだったのだろうか。そうでなければ、どうして「聞こえる」「聞こえない」ということがわかるのであるか。大いに一笑いしてやるべきである。

「噱」(きゃく)は「笑う」。

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今日ひさしぶりで本屋さんに行ったら「朱子語類」も文庫本で読める時代になっていたのですね。驚いた。

さて、秋が深うなってまいりました。

ここへ移って来てから、ほんとうにのびやかな時間が流れてゆく。自分の寝床――それはどんなに見すぼらしいものであっても――を持っているということが、こんなにも身心を落ちつかせるものかと自分ながら驚ろいているのである。(中略)

家を持たない秋が深うなつた

霜夜の寝床が見つからない

(中略)

眠るためには寝床が与えられねばならない。よく眠るためにはよい寝床が与えられなければならない。彼らに寝床を与えよ。

という季節ですのう。

これはおそらくわしの前世の言葉であろうと思うが、では、わしの前世は(つまりこの文章を書いたのは)誰だったのでしょう。

@    大星由良之介

A    由比正雪

B    丸橋忠弥

C    種田山頭火

 

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