↓ごくろうさまでした。

 

平成20年11月14日(金)  表紙へ  昨日に戻る

金曜日になりました。なんとか週末にたどりつきました。毎週毎週ご苦労なことですなあ。ぎぎぎ。

明日は休みなので、昼間からごろごろできる。昼間から、

北窓高枕誦陶詩。  北窓に高枕して陶詩を誦す。

北の窓の下、枕を高くして寝転んで、陶淵明の詩を暗誦してみる。

こともできます。

この句は、( @ )さんが「秋懐」(秋の懐(おも)い)と題して作った詩の一節なのですが、「北の窓」ということは直射日光は当らない場所で、何でそこがいいのかといいますと、秋の季節のことではないのですが、晋の陶淵明が次のように言うておるのを踏まえているのです。

五六月中、北窗下臥、遇涼風暫至、自謂是羲皇上人。(「与子儼等疏」)

五六月中、北窗下に臥し、涼風の暫(にわ)かに至るに遇えば、自ら謂う「これ、羲皇上のひとなり」と。(「子の儼(げん)等に与うるの疏」)

(わしはいつも)夏の間、(陰暦の)五月とか六月のころ、日の直接当らない北側の窓の下にごろんごろんして、そこへ凉しい風がすうっと吹いてくることがあったりすると、ひとりで「おお、わしは超古代、伏羲(ふくき)が皇帝であったころより更に以前の、理想的な時代のひとのようじゃ」と口にしていた。(「陶儼ら四人の子に告げる文(遺書)」)

さて。

陶淵明は「(給与である)五斗米のために腰を折っていられるか」とほざいて役人を辞め、郷里に帰って余生を送った、ということになっているひとです。(実際は大地主だから給与をもらわなくてもそうそうは困らなかったのですが。)この詩を作った( @ )さんも、

大馬長槍彼一時。  大馬、長槍、彼も一時。

大きな馬に騎上し、長い槍を持して軍事に従うた、そういうころもありました。

と言うておりますので、仕官、それも武官として、しごとしていたことがあった。

しかしそれは( A )までのこと、今は、

病客身辺秋到早、  病客の身辺 秋の到ること早く、

醒人宅裏月来遅。  醒人の宅裏 月の来たること遅し。

病気がちのわしの回りには、秋がひとよりも早く来るようですわい。

世間の騒ぎから離れて醒め切っているわしの家の中には、月光が差しこんでくるのが、みなさまの家よりも遅いようですわい。

という生活だそうだ。「醒人」とあるのは、

有客常同止、  客あり。常に止を同じくするも、

取舎邈異境。  取舎は邈(ばく)として境を異にす。

一士長独酔、  一士は長しえに独り酔い、

一夫終年醒。  一夫は終年醒む。  ・・・・・・

二人のひとがおりまして。この二人いつも一緒に行動しているが、

行動(取捨進退)ははるかに違ったことをする。

一人はいつもいつも酔っ払っており、

もう一人は年中醒め切っている。・・・・・・

という、陶淵明の「飲酒・其十三」の詩の、

わしというひとりのニンゲンの中に、年中酔うて礼教を無視するAと、醒めていてマジメに生きているBという二つの人格がある云々

という名高い設定を意識しているのでしょう。

病客である醒人であるこのひとは、

少年感慨老応悔、  少年の感慨 老いてまさに悔ゆるべく、

浮世交情窮始知。  浮世の交情 窮して始めて知る。

わかいころの野望は、老いてからは後悔に変わって来ざるを得ず、

浮ついた世間さまでの友情についても、貧窮してから実際のところが始めてわかりましたよ。

そして、

忘却従前栄辱事、  忘却す、従前の栄辱のこと、

琴書消日不囲棋。  琴書に日を消すも棋は囲まず。

晋・安帝の乙已の年、すなわち義煕元年(405)に、陶淵明は

帰去来兮。

と言って田園に帰ってしまったわけですが、その「帰去来兮辞」の中に

帰去来兮。              帰去来兮。

請息交以絶遊。           請う、交わりを息(や)めて以て遊を絶たんことを。

世与我而相違、復駕言兮焉求。  世、我と相違う、また言(ここ)に駕して焉(なに)をか求めん。

悦親戚之情話、楽琴書以消憂。  親戚の情話を悦び、琴書を楽しみて以て憂いを消さん

はいはい帰りますよー。

世間さまとのお付き合いを無しにし、郷里から離れていることをやめてしまおうと思うのですよ。

世間さまとわしとはずいぶん違っておるのじゃ。そんなところに出かけて行って、何かいいことがあるのかよー。

郷里で、親戚とじっくりと話しこみ、また琴を弾き書を嗜むを楽しんで、いやなことは忘れてしまうぞ。

云々

とある。だから、このひとも、琴・書に耽って暮らしているのである。

ただし、君子人のたしなみは「琴・棋・書・画」、すなわち琴と囲碁と書道と水墨画、とされているのですが、そのうち「琴と書」はやるけど、( B )の今となっては囲碁はしないといっている。

以前の栄誉とか屈辱とか(官位の浮沈)はもう忘れてしまいまして、

わしは今では琴と書に日を過ごす日々じゃ。・・・ああ、だが、囲碁はしないことにしています。(囲碁は、かつて自分がその中でなんらかの役割を果たそうとした天下の治乱興亡のことを思い出してしまうから・・・)

のだそうです。

さて、問題です。

( @ )には、この「秋懐」という詩を書いたひとの名前が、( A )には、このひとが経験した戦乱の歴史的呼称が、( B )には、この詩が作られた年が、それぞれ入るのですが、最も適切な組み合わせを選んでみなされ。

ア @ 李白  A 安史の乱  B 唐・乾符元年(875)

イ @ 諸葛孔明  A 赤壁の戦い  B 漢・建安元年(194)

ウ @ 成島柳北  A 戊辰戦争  B 本朝・明治四年(1871)

エ @ 三原脩  A 読売との日本シリーズ  B 本朝・昭和37年(1962)

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