クリスマスにはハラは立ちませんが、メリーにハラが立ってくる。
・・・などという個人的なことはどうでもよいといたしまして。
五代のころ。
呂師造なるひと、安徽の池州刺史となったが、すこぶる強欲で人民から聚斂すること甚だしく、怨嗟の声多かった。
その娘が楊州の一士人のもとに嫁することとなり、何艘もの舟を仕立ててこれに(人民から収奪した財産で用意した)嫁入り道具を積み込んで、大勢で送っていくこととした。
晩泊竹篠江。
晩に竹篠江に泊す。
ある晩、船団は竹篠江というところに停泊した。
夜半。月はすでに沈み、星のきらめきのみが江水に映ってかそけく、船中のひとびとがほぼ寝静まったころあい。
突如として岸の上から、
あーははははははははははは・・・
と大声で笑う声が聞こえてきた。
一度息が切れたか笑い止んだが、すぐに
いーひひひひひひひひひひひひ・・・
とまた笑い始めた。
「なんだなんだ?」
船中の者、何ごとかと起き出すと
岸上忽有一道士、状若狂人、来去奔走。
岸上たちまち一道士あり、状は狂人のごとく、来たり去りて奔走す。
岸の上にはいつの間にか一人の道士がいたのである。その道士、見た目はどうやら精神異○者のようで、こちらへ走り来たるかと思えばあちらに走り去り、あちらこちらと駆け回っているのである。
岸の上で走り回っているだけなので害が無いのであるがうるさくて眠れぬ。どうやって追い払おうかと話していると、その道士、ぴたりと立ち止まり、続いてにんまりと笑顔を見せ、そして、
あーははははははははははは・・・
とひときわ高く笑い声をあげて、
忽躍入舟中、穿舟中過。
忽ち舟中に躍り入り、舟中を穿ち過ぐ。
今度は突然舟の中に飛び移ってきて、「あっ」という間に舟の中を突き抜けて行ったのである。
ああ、しかも、
随其所経、火即大発。
その経るところに随いて、火即ち大発す。
その通り過ぎたところに沿って、大いに火が熾ったのだ。
「うわー」
「なんだなんだあ」
突然のことに手を束ねている舟人らを尻目に、道士は
いーひひひひひひひひひひひひ・・・
と笑い声を発しながら、
復登後船、火亦随之。
また後船に登るに、火またこれに随う。
次の船に乗り移ると、次の船にもまた火がついた。
凡舟之所載、皆為煨燼。
およそ舟の載するところ、みな煨燼(わいじん)と為る。
舟に載せてあった嫁入り道具の数々はみな燃え尽きてしまった。
船上の人たちは慌てるばかりで消火まで手が回らなかったが、
一老婢髪亦尽尺余
一老婢の髪また尺余を尽くす
ひとりの老侍女の髪を一尺余ばかり焦がしてしまった
のを除くと、
人与船了無所損失。
ひとと船は了として損失するところ無し。
荷物以外の人間と船には、まったく被害無く、いつの間にか火は消えてしまった。
道士亦不復見。
道士もまた、また見えず。
(火が消えるのと同時に)道士もまた姿を消していた。
のであった。
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結婚式は無事できたのかどうか知りませんがニンゲンは無事だったのだからおそらくできたでしょう。
しかし、悪によって得たものは滅びるのである。もったいないですが、悪人の手元に残るよりはずっといい・・・という考え方のようです。五代・徐鉉「稽神録」より。
個人的には、今日は三軒茶屋というところでひとりでもんじゃとやきそば食った。ひとりで食べるには普通でない量を注文してしまった気がする。残すよりはずっといい、と思って食うたのである。