これも昨日と同じ、宋の元嘉年間(424〜453)のことじゃ。登場するのはまたまた三人組ですが、こちらは広州の物語。
この三人は昨日の三人同様、山に木を伐りに行った。
かなり奥山に入ったところ、大きな岩があった。
そのあたりで少し空腹を覚えたこともあって、三人は休息することにし、岩陰に入ったのだったが、そこで
「おお」
「これを見よ」
「なんと」
と、岩の割れ目にタマゴが三つ生みつけられているのを見つけた。ただし、ただのタマゴではなく、
大如升。
大いなること升の如し。
一升マスぐらいの大きさがあるのである。
一升というと現代の計算では1.8リットルですが、隋のころの一升は0.6リットル(宋代はもっと小さかったらしい)ですから、大したことないです。といっても巨大なタマゴであるには違いなかった。
三人はこのタマゴを取り、薪を集めると、
煮之。
これを煮る。
これをゆで卵にしようとお湯を沸かして煮た。
湯始熱、聞林中如風雨声。
湯始めて熱するに、林中に風雨の声の如きを聞けり。
お湯がようやく沸いてきたころ、周囲の森林がざわめきはじめ、激しい風と雨の音が聞こえ出した。
「やや」「一体」「なんじゃ」
と、突然現われたのは、
一蛇大十囲、長四五丈、逕来湯中、銜卵而去。
一蛇の大いさ十囲、長さ四五丈なる、湯中に逕来し、卵を銜えて去れり。
一匹の蛇であった。
太さは指で十抱えもあり、長さは15メートルぐらい。これがまっすぐに湯を沸かしているところへやってきて、タマゴを咥えると、すぐにどこかに去って行ってしまった。
去って行く前に、三人に向かって口から呼気を吐きつけて行った。
三人はしばし茫然としていたが、やがて誰からともなく立ち上がり、無言のまま山を降りて、それぞれの家にたどりつくなり寝込んでしまい、
無幾皆死。
いくばくも無くしてみな死せり。
間もなく三人とも死んでしまった。
三人ともだんだんと体が黒ずみ、死ぬ直前には、もう炭のように風が吹けば体の一部が壊れていくほどであったそうな。
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これは晋の干宝が「捜神記」より。