三、戦略と戦術
マーケティングは戦略でセリングとは戦術である、ということを述べました。戦略も戦術も、その名の通り戦争の作戦からきたことばです。この戦略と戦術について、私の上司から分かりやすい例話を聞いたので次にご紹介します。
ある二つの国が戦争をしました。仮にA国とB国とします。A国もB国も空軍と陸軍をもっていましたが、その戦力はまったく互角だったため、なかなか決着がつきませんでした。そこでA国は相手に優る戦力を持つため、より強大な戦車を作ることに決めました。大きな大砲を積み、敵の弾が当たっても大丈夫なように厚い鉄板で装甲しました。
その間にB国は、小さな戦車を作りました。よけいな装備は付けずに、軽い戦車を作ったのです。
さて、決戦の日、勝利したのはB国でした。B国は小さな戦車を飛行機に積み、敵陣の後ろにパラシュートで落としたのです。後ろから攻められたA国は、あっという間に陥落してしまったということです。
さて、ここでいう戦車とは戦術のことであり手段のことです。そして、敵陣を潰すというのが戦略です。
手段にばかり目がいってしまうと、手段が目的になってしまいます。そうなると、本当の目的が分からなくなってしまいます。
小売店経営も競合他店に打ち勝つ「戦争」です。ですから戦略が非常に大切です。しかし、戦術にばかり目がいってしまう販売計画を立てて、手法の話にばかり終始してしまうことがよくあります。
例えば、ショウウィンドウの商品のディスプレイひとつとってもそれが言えます。ディスプレイで大切なのは「店の主張」を商品に演出させることです。それが、いつの間にか「凝った陳列をつくること」に夢中になってしまい、「店の主張」などどこかにいってしまった、という経験はありませんか。
戦術は一人歩きしやすいという性質をもともと持っています。戦略が観念的なものであることに対し、戦術は具体的なアクションだからです。だからそれだけに、今やっていることは戦略に則っているかどうか、常に自問自答しながら日々の活動を行うことが必要です。