西洋骨董洋菓子店1〜4巻
(新書館 wings 1999年〜2002年掲載)

 「西洋骨董洋菓子店」は、元商社マンの・天才パティシエの小野・元ボクサーのエイジ・橘家の家政夫千影が運営するケーキ屋さんのお話です。
 小野が「魔性のゲイ」であることと橘が誘拐された過去を持つ人間だったことから、様々なトラブルが発生し、物語が面白く進んで行きます。全体的に笑いが満載ですが、ホロリとさせられる場面も多数。4人それぞれの人間関係もしっかりと描かれいるため何度読んでも楽しく、後味のよい作品です。

 私は物語の中でへタレな小野が最もツボで、彼を取り巻く3つの人間関係がとても好きです。
 小野と橘の「友愛」、小野とエイジの「師弟愛」、小野と千影の「恋愛」です。
 3人の「愛」の力で少しずつ更生(?)していく小野先生はなんとも素敵で・・時に感動的です。
    
 西洋骨董洋菓子店を読むと確実にケーキが食べたくなります。ケーキの名称から作り方等、やたらと詳しい内容です。
  
登場人物の紹介&感想

 

橘 圭一郎 

 橘は顔は髭づら、口を開けばちょいと乱暴な言葉使いですが、文句のつけようのない「イイ人」です。その上家柄もよく高学歴で容姿もステキ。

 橘は親の前ではイイ子を演じ、小野に吐いた暴言をずっと気にかけているような優しい人です。女にふられ、ヤケで始めた(?)ケーキ屋ですが、従業員の面倒をよくみて、「オヤジ」呼ばわりされようが、ミニスカウエイトレスを阻止させられようが、エプロンの紐が結べない男が居ようが、メゲズに経営に取り組んでいます(笑)。

 そして彼の最も賢い所は小野に恋愛感情を抱かない事!

 橘はどーして結婚できないのか不思議です。可笑しいほど振られています。3高で育ちもいいし、しかしそんな事は鼻にもかけず単純で明るく、優しいし、料理はできるし、フェラーリだし、結婚を前提に付き合うし、避妊はちゃんとしそうだし(CD漫画参照)・・・とにかくバックグラウンドだけでなく性格もイイッ!・・・難を言えばケーキの説明が「立て板に水」ということくらいです。
 結婚したいだけに可哀想!よい人をお世話してあげたい・・


小野 裕介 

 小野は4人の中で1番自分を大事にしない、しょーもない人です。両親が浮気三昧の家庭で育ち、自分はゲイであることから、多少屈折した人なのでしょう・・。

 彼は寂しがりやで、お人好しの優しい人ですが、「魔性のゲイ」(自称)に変身した時が恐い!色気ムンムンでコック姿からは考えられない別人に(←ほとんど病的)。そのカッコイイこと、可笑しいこと!とにかく小野の流し目は天下一品です・・。クラッとくる男の気持ちがよ〜くわかります(笑)。

 小野は恋愛対象にかなり優しいくせに本気じゃないので、相手に恨まれがちです。このため常に恋のトラブル多発です。情の薄さがシンプルに人生を送れない結果を招いていると思われます。
 
 一見何事にも温和で冷めた対応をしそうですが、物欲(ブランド好き)・性欲(男殺し)ありまくりなので侮れない人です。

 彼の幸運は橘が小野に恋愛感情を持たなかったこと・・。
 お陰で失業もせず、弟子育成の喜びを知り、パティシエになってよかったと思え、女性恐怖症も微妙に改善・・・。後は人としての誠実さを身につけるだけ〜!


小早川 千影

 千影は驚くほど何もできない35歳ですが、純粋で人が好く、何事にも見返りを期待しない優しい人です。

 勉強も仕事もできないので(もちろん家事も)橘家のお荷物のように見えますが、実は橘が自分の弱点をさらけ出せる相手なので、お目付け役として又「影」として重要(?)です。

 そしてイザとなると頼もしい!!「若」がうなされていれば飛んで行き、小野を守るためなら暴力だって厭わない。体は大きく睨みも効くし、とにかくカッコイイです。 
 その上やる事はやってました・・。1児のパパで、娘と良好な関係を保っている姿は微笑ましいです。

 彼の哀れな所は小野の魔性に引っかかってしまったこと・・。
 小野が誘惑すればのってしまうし、小野が恋愛にストップをかければ引き下がってしまう。とにかく相手の気持ち重視な人で、実は理性的です(単に鈍いだけかもしれませんが・・)。

 何をやらせても素早くできませんが、マジメで一生懸命、よく泣く可愛い人です♪


神田 エイジ

 エイジは単純で素直で素朴です。そして顔と同じく中身も可愛い頑張りやです。

 オーナーに対する無礼語と先生に対する尊敬語の差は激しいですが、いざとなれば橘にちゃんとお礼や謝罪ができるイイ子です。

 エイジは捨て子でヤンキーだったわりに流石リングのジャニーズ、ケーキ修行も根性あります。そして元ヤンは情に熱い!小野に対する尊敬心には異常なものを感じます(笑)。

 そして彼のケーキ好きも異常です。ケーキを食べた時の感激ポーズは脳裏に焼きつきます(笑)。 お店のケーキを毎日全種類食べ、更に休日はお弁当の代わりにケーキ持参・・・成人病が心配な人です。

 エイジの幸運は甘党だったことと、容姿が小野の好みから外れていたということ・・。 お陰でラーメン屋にならなくて済んだわけです。
 この人の魅力は潔さと自分の感情をストレートに表現する所(でもズバズバもの言いすぎ?!)。ボクサー時代に稼いだお金はスパッと寄付し、小野に捨てられると思った日には恥ずかしげもなくオイオイ泣く。・・とにかく可愛い、解りやすい人です。

 



〜笑いどころ〜


 笑いどころはやたらとあります。私は全巻ぶっ通しで笑いっぱなしでした。本当はこの5倍くらい挙げ連ねたい!
・・・でもくどいので絞ってみました。

       注)@→1巻

@P.138「僕は魔性のゲイなんです」 もうこれは橘と一緒にかなり爆笑しました。魔性って、魔性ってどーゆー事〜と思ったら、その後の小野の豹変ぶりにポーっとなり、色気にクラクラきまして・・ユーちゃん伝説に納得!
@P.151「どんな男もむしゃぶりついてきた。あなただって本当はもう僕を抱きたくてたまらない筈だ」 どーして?この自信はなんなのー!!(笑)マジ怖いですよ。
@P.40 「うめえ・・・っ!!」
 P.170 「おケーキさまさま」と呼ぶしかねえっ!
方ともエイジのポーズに爆笑〜!脳裏に焼きつきました。以来美味しいケーキは「おケーキさまさま」と呼んでいます。
@P.168「こいつは魔性のホモ、恐ろしいホモ伝説のホモ・・・」 凄い言われよう・・・聞いた事ないっ、そんなホモ
@P.173 「親方になら抱かれてもイイっす」 「親方」って大工の修行みたいだ
AP.37「影です」 忍びのよーだ・・。大岡越前ごっこ見てみたいっ!
AP.48ダンシング イン ザ レイン♪ 小野ぉ〜あなたは二重人格者?(でもこのギャップがたまらない!)もう表情からポーズから全て爆笑です。ものスゴイ誘惑オーラでした。その後千影と行った飲み屋さんでもオーラは全開、千影と一緒に脳殺されました・・。
AP.153・157サンタ橘のクロカンブッシュ作成ポーズ 踊りのような作成姿は脳裏に焼きついて爆笑!これに続く「私もちょっとお客様のことを好きになってしまうじゃないですか」という台詞も笑えました。後半ウケテよかったね!橘さん。
AP.77「どっかに連れ込んで押し倒して犯してしまえたら」 「乙女のよーにこういう事を考えるなっつーの」→作者様の突っ込みが可笑しい
BP.42今いたのは女装してただけで本当は綺麗 な男の子なんだ・・綺麗な男の子なんだ綺麗な男の子なんだ むちゃくちゃ無理な自己暗示ですゥ〜!
BP.65僕の愛(モナムー)!! これに続く「ジャン&橘の戦い」と映画「愛欲と修行の日々」はかなり面白かった!あと、P.71の「嘘つき」P.77「・・院生の彼とはもうとっくに別れてるって言ったらあなたどうする?」と言ってる小野の顔が悪そーで誘ってて、とっても好きっ!
BP.66「すげえまさにパティシエのチャンプ。うおー俺抱かれてもいい・・!!」「あのね、この人もそれシャレになんない人だからね・・」 言葉通じなくてよかったね〜エイジ。でも小野にも「抱かれてもいい」って言ってましたが・・もしかして願望あるの?どーしたって「攻」だと思う・・エイジは・・。
BP.134「もしあいつが魔性の両刀になったら俺はどんなに困ったとしても速攻で奴をクビにする!」 「魔性のバイ」は恐い!そーなったら本物の「悪党」に・・。
CP.37「男夫婦みたいですよね」「エイジのヤローだな?!そういう下世話なコトバをお前に仕込んでんのは!!」 なんか幸せそうに「男夫婦」と言ってる千影が可笑しい!・・訳わかってない?
CP.41「げ〜マジ?!日本語だってよく訳わかんねーのに!!」 自分のことをよく判っていらっしゃる。でもあれだけエゲツナイこと言えるから、そーでもないかも(笑)
CP.188「目立つんだよ・・33才と33才と35才の男が3人でさ・・」 3人それぞれが凄く面白いです!「じろじろ見てはいけません」という通行人も笑えるし。でもこの「空港の図」は4人の人間関係がとてもよく判るというか、「愛」を感じます


〜萌えどころ〜

私が好きになるキャラは意外性豊富な人が多いです。つまり「豹変」する人です。
犬だと思ったら狼だった・・みたいな・・・(身近にいたらイヤですけどね)。
だから小野が1番好き!
なので他3人が小野に優しくしてくれると嬉しいです


小野&エイジの「師弟愛」

AP.90「なにしやがる先生に、このジジイッ!」 「ジジイ」呼ばわりですよ・・橘は・・。
BP.117「あんの外人よくも先生を・・!!」 シロート相手に手は出せないと言ったのに、小野の傷を見た途端、「テメーのヘドの中でのたうち回さす・・」になってました。とにかく先生が何をしたかも確かめず、無条件に味方な人です。
BP.24でも箱をぶつけた人に怒ってました「てめっ先生に何しやがる!先生はオカマじゃねーぞ、ホモだぞ」とかなんとか(笑)「先生命!」って感じ・・?!
BP.118「彼を君のような本当にいい職人にしてやりたいんだ」 3倍の給料を振って、育てることに前向きです!この後のエイジの「頑張ります!!」に対して微笑む小野の顔(P.120)が優しそうで好き〜。
BP.121「この金、俺は本当にいらねえから、その分先生にあげてくれよ」 ・・本当に真っ白ってゆーか謙虚で健気だ!(涙)
CP.55「俺と先生の城によくも勝手に・・」 橘には妙に対抗心のあるエイジ君。「嫉妬」ですね、これは。

CP.57「・・ごめんなさい」「見せてごらん、ああこんなに思いっきりオーブンにくっつけちゃって・・」

ドジやっても優しい対応の小野。・・2人がくっついてるでしょ、このコマ♪邪まに好きだなぁ。
CP.67「ずっとあの店で先生と一緒に働いていてえよう・・っ!!」 ビービー泣いてるエイジと一緒に泣きそうになりました。エイジが外で暴力してようが、泣きわめこうが、しっかり諭せる小野は寛容で温和な人です(・・普段これだから・・魔性化するとより可笑しい)。
CP.68「君みたいな子に会えて本当によかった」 本当によかったと思います。こんなに慕ってくれる弟子は2人といないっ!
CP.84「あたなの先生は誠実な仕事をする、本当 にいいパティシエね」 コンスタンスにこれを言われた時のエイジの顔がね〜凄い満足げで可愛いすぎる!


小野&橘の「友愛」

AP.90「だからお前も千影に謝れ、今のお前の言い方はフェアじゃなかった」 高校時代の負い目はあるものの、こーゆー所はけじめがよくてナイスです。橘さん。
BP.101「俺がもしお前と寝るっつったらお前うちの店にいてくれる!?」 「絶ッッッッッ対やらねーぞ」と前置きありますけど、その位店に残って欲しかったわけなのね(笑)。「悪代官の前で帯を解くよーな気持ち」って流石「若」だ。
BP.104「もう少し器用な奴かと思ってたけど案外捨て身の人生なのなお前」 これと P.122「ファミレスのねーちゃんとはいえ女と笑って話してたぜ・・」という台詞・・小野のことをよく見てるとゆーか、理解してて好きです。
CP118〜120小野に「死ねホモ」と言った後の橘の表情 橘には何をされたか思い出せない誘拐事件の恐怖がずっと付きまとっています。この無言の3ページの表情は「恐怖」を小野にぶつけてしまった切ない橘がよく描かれていてとても好きです。最後に33才の橘の顔に繋がる構成が上手い!ああ〜でも高3の橘もハンサム〜!
CP.139「平 気・・?」「何が?」「・・お疲れ」 お互い多くを追求しないところが大人の関係
CP.188「すぐ戻ってくるじゃねーか今回は、泣くなよ」 この「泣くなよ」って小野の頭を触るのがね・・ポイントなの〜♪
CP.218「そうかよ。俺は覚えてたぜ卒業式の日からずっとな」 暴言の被害者より加害者の方が覚えていたんですね。橘は小野のことを「ただの変態」として記憶していたのではなかった・・。これがこの2人を上手くいかせている理由で、この言葉に小野はとても救われたと思います。
ずっと覚えていたと言われた時の小野の驚いて、ちょっと微笑んだ表情はジーンときます・・・。


小野&千影の「恋愛」

AP.46ヤバイ・・激タイプ・・・!!超好き・・!!超エクセレント・・・!! 始まってしまいましたね、恋が。「この人が僕に取りすがってあんあん言ってくれたら」って続きますが、こんな大きい人が「受」でもいいんだ・・。「本物め・・」という作者様も笑えます。
AP.78「私が早く帰ってさしあげなければ」 橘を心配する千影に嫉妬する小野・・ムッとしたような切ないような表情がツボでした。そして、スイッチオン!
AP.82「自分でも自分がよく分かりません。な・・何 でこんな急にあなたにキッ・・キッ・・キッ」 千影は小野のタラシパワーに負けました。土下座して謝ってる姿といい、頭ぶつけて帰る姿といいメチャ可哀想で可愛いです。
AP.95「僕みたいな人でなしには千影さんはもったいなさすぎるんですよ・・・」 職場のためというのもありますが、これは小野の千影に対する優しさです。これだけ好みの人を目の前に踏みとどまるのはやっぱり「愛」かな・・と。
AP.150「後は私だけで大丈夫ですから」「小野さんはどうぞ厨房にもどってらして下さい」 千影がカッコイイ!守護系の男になってる!でもって2人がくっついてるコマがね〜このままチューして欲しいくらい!
BP.34千影さんの方がずっと心細いんだ。僕がしっ かりしなきゃ!」 今度は小野が頑張ります!泣いてる千影を守るため。でもこれの前の台詞は「もっと泣かせたい・・」って喜んでましたが・・。
BP.105「やった〜!!小野さんはずっとこの店にいてくれるんですね〜」 チーちゃんよかったね〜。パジャマ姿で万歳してる彼は本当にラブリーです。
BP.111「小野さんから離れろ!」 この凄み!カッコイイです。サングラス床に投げちゃってますからね・・。キスすらしてないけど「やっぱり小野が好き」という証明ですね〜。普段情けないのにやる時はやる人なのね。
BP.115「そんな悲しい事言わないで下さい・・」 自分を大事にしない小野のために涙してしまう優しいシーンです。
小野がチーの涙を拭きながら言う「なのに今の僕にはそれがどういう気持ちだったのかもう思い出せないんだ」という台詞は共感できます。大人になるってイイような悪いような・・。