先日、父がどこからか、「馬刺しのくんせい」をもらって帰っ
てきました。
それは、我が家の食卓に初めての「馬」の登場でした。
私を含めて誰も、箸をのばそうとしませんでした。やっと父がおそるおそる食べ、
「大丈夫だから食ってみろ」
と、”馬刺し仲間”を増やそうとしていました。しかし、他のメンバーは全員
躊躇し、緊迫した空気が流れました。
・・・
その張りつめた雰囲気をブチこわすように、母が、
「バサシっていったって牛肉でしょ」
と言い放ち、自分のおさらに「牛肉のばさし」をとりわけました。
それでも血はつながっている…
それは、赤福をお土産にもらった時のことでした。
わたしは、赤福のおモチの部分がとても好きで、あんこをちょっとからめた
くらいがちょうどよく、1つ分のあんこは、私にとっては多すぎました。
そこで、あんこをこそげとり、おモチの部分だけ食べていました。母は
黒砂糖の固まりをおやつにかじるくらいの甘党なので、わたしの残した
あんこはいつも母が食べていました。ある時、あまりのあんこ2個分で、
ちょうど赤福1個分くらいの大きさだったので、他の赤福と同じ形に
へらで成形して置いておきました。しばらくして、
「俺の食った赤福にはもちがはいってなかったぞ」
父が騒ぎ出しました。
小さい頃、
「ああ、あまくておいしいぞ〜。お前も食べてみろ。」
と、父にだまされて渋柿を食べて以来、弟は柿を食べません。
それは、母が友人に薦められて、初めてうちの食卓に「ニンニクの芽」が
載った日のことでした。
つね日頃、
「俺は好き嫌いはないよ。なんでも文句いわずに食べる」
と威張っている父が、無口になりました。父の皿からはほとんどニンニクの
芽は減りません。時間の流れとともに、父はまったく減らないニンニクの目
を前に、どんどん不機嫌になっていきました。
父に電話が入り、しばらく中座している間、母と弟と私は、父がニンニクの
芽が苦手に違いないと笑っていました。
父が席に戻り、母と弟はしらっと笑いをやめ、何事もなかったかのようにして
いましたが、私はおかしくておかしくてたまらず、ニタニタしていました。
すると、父は
「なんだ? あっ!おれのニンニクの芽がふえてるっ!お前、俺のに入れたろっ!」
と、騒ぎ出しました。あまりの大人げなさに、わたしはさらに笑ってしまいました。