+++命名+++


「お互いに、男の子ならジュール。女の子ならアリオーナと名づけましょう」

ジュール・ロスマリネ氏は、おおきなお腹を抱えたアリオーナ・ド・フェリィ夫人にそっと耳打ちをした。

「……」

「きっと、二人は結ばれる」ロスマリネ氏が呟いた。

「きっと、そうしますわ…」フェリィ夫人は恋人の言葉に頷いた。



ふたりは、自分たちが果たせなかった恋を、じきに産まれてくる互いの子供へ、
その名前をつける事で託したのだった。



やがて彼女は男の子を産み、恋人との約束通り『ジュール』と名づけた。ロスマリネ氏が言った。

「うちはすでに男の子が二人ですから、次は女の子。きっとアリオーナですよ」

数ヶ月遅れでロスマリネ家にも子供が産まれた。しかしそれは望んでた女の子ではなく、男の子であった。

「ジュールがふたりいてもしょうがないな…ほかに名前を考えてなかったし…」

彼はその子を『アリオーナ』と名づけた。