番外 with Reborn




リボーンの前にはエスプレッソ、俺の前にはオレンジジュース。食べているものじは同じバタークッキー。母さんが俺たちのおやつ用に作ってくれたものだ。
母さんは町内のどこかで井戸端会議をしてる。リボーンが来てから、母さんもよく出かけるようになった。俺とリボーンのふたりきりのおやつは習慣になりつつある。
俺はふと思いついて、リボーンに頼んだ。
「ねぇ、最初に見せてくれたやつ、あれ見せてよ」
「いやだ」
「なんで、べつに減るもんじゃないいだろ、」
「面倒くさいだろうが」
「……けち、」
皿を見れば、クッキーはのこり1枚になっていた。俺はすかさず手を伸ばす。しかし、リボーンにかっさらわれてしまった。
「あ、」
恨めしそうな俺の視線に遠慮することなく、リボーンは一口でクッキーを食べてしまった。
「それにな、お前。戦闘機にものを頼むには、それなりの頼み方があるんだ」
「頼み方……?」
「ああ、俺が実践してやる」
にやり。リボーンの浮かべた笑みはどう見ても不吉で、とてもいやな予感がした。しかし、頭でそう判断したときには、時すでに遅く。
リボーンの人形みたいに整った顔が間近まで迫っていた。
(わ、睫毛ながーい……)
俺は完全に混乱していた。頭はどうでもいいことを考える。くちびるにやわらかな感触。すこし触れて、音を立てて離れた。
「こうするんだ」
そう言って、リボーンがにっこり微笑んだ。
「………」
「ツナ?」
「……な、」
事の次第が飲み込めて、俺は真っ赤になって口を押さえた。まだ、リボーンのくちびるの感触がありありと思い出せる。
「いま、いま、いま、なにを」
「キスだが? ……もしかして初めてだったとか、あるまいな」
「……その、まさかだったんだけど」
俺の言葉にリボーンは妙に優しげな表情を浮かべた。肩をぽん、と叩いて一言、
「ヒバリには黙っておいてやるからな」
なんて答えたらいいのか、わからない。
俺が完全に固まっている間に、リボーンはエスプレッソを飲み干し、キッチンを出て行こうとしていた。出入り口のところで俺に振り返る。
「さっきみたいに頼むなら、何度だって見せてやるぞ」
「……断る!」
真っ赤になって即答した俺に、リボーンは心底おかしそうに肩を震わせていた。