で確認できます。誰が担当するか分からないような病院は避けた方がよいでしょう。眼科を掲げている病院でも眼科専門医でない医者は結構います。眼科専門医でないとしても、眼科の手術経験が豊富で信頼できると判断できる医師がいればそこで受けても問題ないかもしれません。
(1)千葉県眼科医会のホームページ
レーシックを行う医者の望ましい経験としては、CRSQAによると、屈折矯正手術を3年以上行っていて、500症例以上の経験があり、最近1年間に250症例以上行っていること、とあります。症例数が多いことを宣伝するクリニックは多くありますが、これには注意が必要です。まず、病院全体の症例数はあまり意味がなく、大切なのは担当医の症例数だということです。非常勤(バイト)の医者を多くかかえているようなクリニックは本当に経験豊富な医師が担当するのか疑問です。また、同じ症例数でも、その医師が流れ作業のような手術の一部にしか関わっていない場合の症例数と、医師が一人一人の術前・術後の経過までよく診た場合の症例数では重みが違うと思います。
3.術前検査は十分か
術前の検査で眼の病気が見つかった場合、先にその治療を行うか、レーシックを諦めることになります。とても重要な判断になりますので、術前の検査は眼科領域全般の経験豊富な医師にしっかり診てもらうことが望ましいでしょう。適応検査は時間のかかるものですが、時間があればいくつかの候補の病院で適応検査を受けてみて医師や検査員のレベルを下調べしてもいいと思います。
ドライアイの検査やコントラスト感度の検査などは行わないところもあります。レーシックによってドライアイが悪化することがあります。大抵は一時的で時間が経つと回復しますが、気になる場合は検査を受けたい旨を申告するとよいでしょう。ちゃんとした眼科なら、検査をしてくれるか、検査できる病院を紹介してくれるでしょう。
4.料金設定は良心的か
料金が安いクリニックを選ぶべき、と豪語するクリニックもありますが、当然ながら料金で選ぶべきではないと思います。ただ、料金設定の仕方で病院の良心をみることができます。まず、紹介者に多額の紹介料を渡す制度はどうかと思います。そういうクリニックでレーシックを受けた人は紹介料を受け取るために、様々な場所でそのクリニックの話をします。よさそうな特徴は絶賛し、都合の悪い話は隠すか過小評価するでしょう。そして、話を受けた人が他のクリニックに行きづらい雰囲気をつくってしまいます。レーシックは受けないと困る手術ではなく、リスクも伴うものなので、レーシックを受けたいと考えている人は最高だと思える病院を自らの意志で自由に選ぶべきだと思います。しかし、このような制度があり、紹介してくる人が近くにいると、これからレーシックを受ける人の選択肢を奪ってしまいます。病院はレーシックを受けるべきか否かに対して中立的な立場をとるべきであり、それを歪めるような制度を導入することは問題だと思います。もっとも、紹介制度であっても、紹介を受ける人が安くなるだけで紹介者を利さない制度であって、額が大きくないならば問題ないと思います。額が大きいと紹介する人の倫理を緩めてしまいます。紹介でレーシックを受けた人に問題が起きたために紹介者が逃げていったという話もWeb上のどこかで見たことがあります。
また、レーシックの術式によって料金が異なる制度も、問題というほどではないけど理想的ではないと思います。イントラレーシックやウェーブフロントレーシックなどを高めの料金に設定している病院は多くありますが、医師はレーシックを受ける人に料金で術式を選ばせるのではなく、最良の術式を選ぶべきだと思います。レーシックを受ける人は、レーシックの質を料金によって選ぶのではなく、医師の判断による最適な方法で受けることが望ましいと思います。術式によってコストが違うなら料金に差が出るのは当然ですが、それでも定額を貫いているような病院は良心的だといえるでしょう。なお、料金にはたいてい、術前術後の検診代、薬代が含まれていますが、再手術費用は含まれていない場合もあります。再手術を行うことになる割合は病院の方針により様々ですが、質問すれば答えてくれます。近視・乱視の悪い人ほど再手術の可能性が高いので、一定期間無料で再手術してくれるところが望ましいでしょう。この期間は長い方が安心ですが、再手術を行うべきかという判断は数ヶ月以内に決まることが多いのであまり長さにこだわる必要はないと私は思います。
5.説明は十分か
レーシックを受ける前に、どんな問題が起こりうるかを知る必要があります。半年以上合併症が続く場合があること(CRSQAによると3%未満、深刻な合併症は0.5%未満)、追加手術が必要な場合があること(CRSQAによると10%未満が標準)は覚悟しておきましょう。逆に、これらはないとの説明があれば疑った方がいいと思います。
高齢者や妊婦、精神病の薬を飲んでいる方などに対しては個々の特別な説明があると思います。例えば高齢者なら白内障になったらその手術で視力矯正も行われるということ、軽い近視を残せば老眼鏡がしばらく要らなくなること、などです。質問しても詳しく説明をしてくれないならば、病院を変えるか、セカンドオピニオンを受けることをお勧めします。
眼を使う仕事をしている人は特に、よく相談する必要があります。夜間視力を必要とする人、非常に細かい作業をする人などはレーシックを受けることで見え方が変化することを十分納得した上で手術を受けるか否か考えることになります。
6.病院(担当医)の安全性に対する考え方に同意できるか
安全性に対する考え方は病院により異なります。その一面は、角膜の厚さをどれだけ残すかという基準に表れます。角膜が十分に残れば、追加矯正を行うことができ、術後に近視が戻るリスクが小さくなります。角膜を削る量は、フラップの作り方や機器、矯正の度合い、ウェーブフロントか否か等によって異なります。病院によっては、追加手術ができなくなるほど削る必要があっても手術を実施するようです。レーシックを受けた場合に再手術が可能かどうかは、確認した方がいいかもしれません。傾向として、レーシックを希望する人のうち断る割合が高いところほど安全性重視の傾向があるように思います。
7.誇大広告をしていないか
術後視力の成績が異常に高い宣伝をみかけます。日本眼科学会によると、90%以上が1.0以上になっているそうです。米国のCRSQAによると、術後視力が1.0以上になる確率は65%が標準だそうです。日米でなぜここまで差があるのか分かりませんが、これらより異常に良い成績が発表されているところがあるのはなぜでしょうか。ここからはあくまで推測ですが、成績が異常に高い理由を2つ考えました。1つは、視力検査をいい加減に行っているのではないかということ。測る場所によって視力が違ったという経験をもつ方は多いと思いますが、こういうところでは恣意的に良い値が出るような検査を行っているのではないかと思います。また、術後のいつの時点の視力を採用するかで数字をよく見せる操作もできそうです。次に考えたことは、遠視気味に矯正しているのではないかということです。ふつう、矯正は正視(±0D)を目標に行います(矯正には誤差があり、遠視の矯正は難しいことからやや近視よりを目標にしている病院もあります)。しかし、視力の値は+1.0Dとかの遠視の方がよい数字が出ます。そのため、あえて矯正を強めにして遠視気味にしているかもしれないのです。ちなみに、遠視とは視力を調整する筋肉(毛様帯)を緩めた状態でピントがどこにも合わない状態です。遠視の人がモノをみるためには常に毛様帯を緊張させる必要があり、ひどいと疲れやすかったり頭痛がしたりします。老眼を自覚する時期も早くなります。視力の成績があまりに良い広告をみると心配になります。1番目の理由ならまだしも、2番目の理由が当っていないことを祈ります。
イントラレーシック(フェムトセカンドレーザーによりフラップを作成する方法で、機器メーカーによってiLASIKやzLASIKとも呼びます)は従来のレーシックよりずっと優れているという宣伝をよくみかけます。しかし、その宣伝文句はイントラレーシックの機器の会社が発表しているものをそのまま引用したもので、学術的な調査では従来のレーシックと視力・視機能に差はないという結果も出ているようです。米国では以前からイントラレーシックが普及していますが、絶対的にどちらが優れているという評価は確立されていません(1)。いくつかメリットもありますがデメリットもあるのです。メリットは、正確に薄いフラップを作成できること、フラップ作成時の合併症が起きにくいことですが、従来のマイクロケラトームを用いるレーシックでも最近のマイクロケラトームでは薄いフラップをつくることができますし、フラップ作成時のトラブルは熟練した医者であれば頻繁に起きることではありません。イントラレーシックのデメリットとしては、手術時間が長くなること、フラップ作成後に別のレーザー機器を受ける台に移動しなくてはならないこと(移動しなくてすむ機械も出ています)、術後にDLKという合併症が起きやすいこと等があります。最近の論文では、フラップを正確に戻すために目につけるマーキングペンを用いなければ術後DLKが起きなかったという報告があります(2)。イントラレーシックは歴史が浅い分、まだ安全性が向上する余地がありそうです。ちなみに、病院がイントラレーシックを導入するにはお金がかかります。そのため、イントラレーシックを導入したら経営上、たくさんの手術を行っていく必要があります。イントラレーシックの宣伝が誇張気味に感じられるのは、イントラレーシックを受ける人を増やさなければならない病院経営上の課題と関係があるのではないかと私は疑ってしまいます。私の場合、結局どちらも大差ないと判断して従来型のレーシックを受けました。いずれにせよ、良い医者を見つけることの方が大事、というのが専門家で共通の意見のようです(1)。
(1)リンク集9)の記事 "Blade versus bladeless LASIK",2008.1
(2)Outbreak of diffuse lamellar keratitis caused by marking-pen toxicity. J Cataract Refract Surg. 2008 Jul;34(7):1121-4
8.レーシックを受ける人に厳しい条件を守らせるか
レーシックを受ける前には、いくつか守らなければならない制限があります。例えば、レーシックの術前検査や手術の前には一定期間コンタクトレンズを外す必要があります。コンタクトにより角膜の形状が変化しており、元に戻るまでに時間がかかるからです。その期間はソフトコンタクトの場合、FDA(米国食品医薬品局)は2週間以上、CRSQAは4週間以上を勧めています。多くの病院はレーシックを受ける人に負担をかけないようにこれより短い期間を設定していますが、良い結果を望むなら自主的に長めにした方が良いでしょう。良い結果になるよう、レーシックを受ける人が嫌がる負担をあえて強いる病院は良心的だと思います。逆に、あまりに制限が緩い病院は注意した方がいいと思います。
9.レーザー機器は十分な性能があるか
レーザー機器は様々なメーカーから出ており、初期のものより改善しています。日本では国産のNidek社と米国のVisix社のものが初期に厚生省の認可を得たことから、日本の眼科ではこの2社のものが多く使われています。性能の比較によくFDAのデータが用いられますが、データは統一の方法で調べたものではないため単純に比較できません。それに、FDAに申請するデータは導入初期のもののため、実際はそれより良い結果が出ます。よほど古い機種でなく、定期的なメンテナンスを受けているのであればあまり気にしなくていいと思います。最新の機種は良い成果が出そうですが、新しい分、未知のリスクがある場合もあります。例えば、販売されてからプログラムのミスが発覚し使用禁止になった機種もあります。機器に関して事前に確認したい点をあげるなら、ウェーブフロントレーシックに対応しているか否かということです。
ウェーブフロントレーシック(機器メーカーによってカスタムレーシック、CATzなどと呼び方が異なります)は、術後の見え方が理論的に優れているとされる術式です。出たばかりの頃に期待されたほど結果に差はなかったようですが、ないよりはあった方がいいだろうと行っている病院は多くあります。最先端の技術を用いた方がレーシックを受ける人に受けがいいからなのか、研究が進んでよい結果が望めるようになったからかは私は分かりません。ウェーブフロントではハロ・グレアが改善されているそうですが、角膜を削る量は3割ほど増えます。角膜の厚さに余裕があり、夜間視力を重視する人は選択した方がよいと思われます。ウェーブフロントレーシックが可能かは分かりませんが、希望する場合は対応している病院を選びましょう。