法定後見制度の説明と手続の流れ
全体として2〜6カ月程度かかりますが、平成20年度の案件のうち、2か月以内に終局したものが全体の約64パーセント、4か月以内のものが約89パーセントと、大半を占めています。迅速に審判を進めるためぜひ専門家をご活用ください。
法定後見とは、認知症,知的障がい,精神障がいなどによって物事を判断する能力が十分でない方(ここでは「本人」といいます。)について,本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで,裁判所の監督のもとで本人を法律的に支援する制度です。
法定後見には後見,保佐,補助の3つの種類があります。後見は判断能力が全くない方、保佐は判断能力が著しく不十分な方、補助は判断能力が不十分な方です。
本人がご自身で判断ができない場合に,後見開始の審判とともに本人を援助する人として成年後見人が選任されます。この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した成年後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。
法定後見の手続の流れ
二つ事例をあげておきます。
@本人は20年前に統合失調症を発症し,15年前から入院しているが,徐々に知的能力が低下している。障害認定1級を受け障害年金から医療費を支出している。本人は母一人子一人であったが,母が半年前に死亡したため,親族は母方叔母がいるのみである。亡母が残した自宅やアパートを相続し,その管理を行う必要があるため,母方叔母は後見開始の審判の申立てを行った。
家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始された。そして,母方叔母は,遠方に居住していることから成年後見人になることは困難であり,専門職が後見人に選任された。
A本人は,一人っ子で生来の重度の知的障がいがあり,長年実母と暮らしており,実母は本人の障害年金を事実上受領し,本人の世話をしていた。ところが,実母が脳卒中で倒れて半身不随となり回復する見込みがなくなったことから,本人を施設に入所させる必要が生じた。
そこで,本人の財産管理と身上監護に関する事務を第三者に委ねるために後見開始の審判を申し立てた。
家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始された。そして,本人の財産と将来相続すべき財産はわずかであり,主たる後見事務は,本人が今後どのような施設で生活することが適切かといった身上監護の面にあることから専門職が成年後見人に選任された。