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【タイトル】 タオルケットをもう一度1
【ジャンル】 RPG

 

 ●簡単に紹介●
 流血などのアクセントは頻出であるものの、基本的にほのぼのした自作グラフィックのRPG。それでもやはりグロ表現注意。敵ロボットが主人公やヒロインの脳みそを狙っているので。
 一作目が『3』、二作目が『2』、三作目が今作である『1』。
 プレイ時間は七時間前後。
 ツクール2000製作。戦闘もデフォルトのまま。
 基本的にストーリーを辿る一本道のRPG。

 引っ越し途中で主人公はタオルケットにくるまり箱の中で眠る。ところがふとしたひょうしに箱は引っ越しのトラックから飛び出し、川に落ち、主人公は孤島へ流れ着く。孤島では三人のヒロイン「コンチェル」「ラザニア」「ぱりぱりうめ」がいかだを作っていて――

 

 ●前作との相違点、システム●
 ヒントをくれるシステムはなくなってしまったが、広大なマップでも迷うことはないと思われる(RPGに不案内だったり方向音痴だと別だが)。
 「思い出」がなくなってしまったのが凄く残念だが、膨大な時間を行き来し輪廻や永劫回帰の概念まで含むストーリー展開を考えると思い出という要素はそぐわないし持ち込みにくい。
 敵を倒すとときどきステータス増強アイテムであるネジ系アイテムが手に入る。
 レベルの上昇に伴いどんどん新しい技能を習得していくのでレベルアップに張り合いがある。

 

 ●ややネタバレしつつ感想+内容紹介●
 シリーズ最新作(そして最終作?)がやってまいりました。いつものほのぼのグラフィック。相変わらず冴えています。ヒロインが喋るときはヒロインのグラフィックまでついてくる。プレイする上でちょっと恥ずかしい。いらんところがグレードアップ。「思い出」で技を習得するところがストーリーに補足的な強度を与えていただけに、それがなくなってしまったところにがっかり。そのぶんストーリーは壮大に(そして穴だらけに)なっている。
 主人公が流れ着いた島で、まずは脱出用の筏の動力を求めて探索が始まる。前作、前々作をプレイした人なら「りんご」「オレンジ」を集めるところ。回復アイテムが無駄に入手しやすい傾向にあるのがタオルケットシリーズ。ところが今作、アイテム取り放題はこのはじめの無人島だけ。後々、もっとたくさん収集しておくべきだったと思うことになる。『3』『2』を裏切って回復がシビアに設定されただけでも苦しいのにボスの強さまで増している。きっちり回復アイテムを蓄えて万全の状態で挑み、ステータスを強化してから殴らないと勝てないところがこれまでともっとも違っているところ。
 それでも無事に島から脱出。今回は『3』のようにほのぼのとした話かなと油断しているとメインヒロインの頭蓋骨がさっそく開けられてるし! まだ序盤も序盤というところでヒロインの頭が空っぽの状態。気を引き締めさせられた。
 それにしても今作はタオルケットが大活躍。主人公はたびたび冷蔵庫の中に隠れ、凍り付き、永い時間を仮死状態で過ごして遙かなる未来に蘇る。時間は容易く進むし、場面が切り替わって新しい章にはいると時計の針が一気に舞い戻ることもしばしば。何度か重複する場面も出てくるが視点の担い手が変わっているので必ず新しい発見が出てくる。そういう意味では上手い語り方をしている。いっきに十五億年前に話が舞い戻ったりする。

 

 ●ひよこのちゅん●
 遠慮呵責なしに辛口で評するとタオルケットシリーズは『2』だけで十分。しかし『1』の「ちゅん」パートは見てみる価値がある。まさにストーリーを追っていくだけなのだが、一個の自我が宇宙に溶け込み宇宙と同一のものとなり、宇宙が一巡するまでの過程とそこからさらに何巡もするところの語り口が哲学的内容を鳥の頭でも分かりそうな平易なものとして説く。仏教の輪廻転生やニーチェの永劫回帰といった観念を、そういった宗教や哲学の難しい言葉なしに哀愁に溢れたテンポで語る。

 

 ●戦闘で苦労したことを少し●
 最初のボスが最初に登場するにしては硬くてなかなか倒れてくれず、セーブをおろそかにしていたためかなりの痛手を被った。前触れなくボス戦に突入してしかも予想より一段階丈夫というのはタオルケットシリーズの戦闘をなめていた自分にとってきっつい洗礼だった。経験値を稼いで挑めばどうということはないが、それまでタオルケットシリーズでそんなことした試しがなかった。「あれ? 敗北必死のイベントバトルなのかな? いやでも、しっかりと[BOSS]って書いてあるし、負けたらゲームオーバーなんだろうな」ゲームオーバーでした。
 長老に一人で挑まなければならなかったバトルもきつかった。レベルを上げて、長老をびりびりさせて、防御を高めて、回復アイテム連発して、どうにか勝った。それまでに五回くらい負けているのは自分がゲーマーとして温いだけなのかもしれないが。
 それからラザニアのパート。十五億年も時間が遡って、ラザニアのレベルは初期レベル。ボスの血まみれロボットにころっとやられてしまった。金穴だったため装備もそろえられずじまい。十五億年の時間移動をする前に主人公の装備を外しておいてラザニアに持たせることで攻略した。

 

 ●ストーリーの穴について●
 十五億年の時間移動なんて刹那のようなものといわんばかりに悠久の時は流れ宇宙は流転する。その壮大さと多面的な視点はよかったのだが、大小様々な疑問が解消されぬまま物語は終わりを迎えてしまう。一度きりしかプレイしていないため把握できていないのかもしれないが、そういった疑問や穴を列挙してみる。

1.ロボットはなんで脳みそ吸いたがるのだろう? 記憶(情報)が欲しいにしても頭蓋を切り開いて脳みそを取り出す必要はあったのか?
2.ロボットは敗北すると「ひどいやハカセ」というがハカセは出てこない。ロボットは誰に作られたのか。
3.主人公と三人のヒロインはなぜ宇宙を征服できるほどの鍵を握る実験体なのだろう? 一般の人間とどう違うのだろう? なぜ違うのだろう? 何が特別なのだろう? 四人の実験体をすべて入手できたなら何が起きたというのだろう?
4.弧を描くと×印にとばされる装置(ネジ)はいつ取り付けたのだろう?

 続けてストーリーの弱いところ。
1.ちゅんは主人公を解放するため冷蔵庫のスイッチを押す役割を持っていたし、宇宙は流転するという設定をプレイヤーに明らかにしたが、そういった設定的な側面でしかメインストーリーに絡んでいない。ちゅんパート以後は空気も同然だ。
2.ラザニアはなぜ猫足昆布に絡まれていたのだ? 猫足昆布は結局なにもの? ロボットとは無関係?
3.ぱりぱりうめはストーリー的にどうなの、必要だったの? 実験体の一人という大きな役割のはずなのに彼女が陥っていた状況がほとんどわけの分からないものでしかなくって、どう捉えていいものか。

 あんまり深く考えずにプレイしていればいいのかもしれないけれど。

 

 ●結末を迎えての感想●
 うんーーー……?
 壮大で、ハッピーエンドなのだが、そのあっけなさのためか味気ない。
 『3』だと正義は勝った、ヤッターとカタルシスがあるし、『2』だと圧倒的鬱エンドと一方向に突き抜けている。ところが『1』はどこかしまらない。記憶を保有したまま宇宙の循環を経た主人公が、これから起きることを知悉しているがゆえの爽快な快進撃を貫いて悪の芽をあっさりと潰してしまうことでめでたしめでたしという流れなわけだが、なるほど確かにめでたいがそうすると一巡前の宇宙でのあの永い戦いはなくてもよいものでしたということになってしまって、醒めてしまう。
 もっと分かりやすくいうと、『2』のラストで「なんつって」とコメントが入ることでしらけてしまうのと同じことだ。一巡後の主人公の快進撃が、そのまま『1』での「なんつって」の役目を全うしている。作者がそれを故意に狙ったのなら、その皮肉に拍手を送って終わりにしてもいいが……。多面的な語りが壮大な物語を可能にしていただけに、結末の結果的「なんつって」がものすごく効いてくる(物足りなくなってくる)。

 

 ●作者に礼●
 なにはともあれ、なんだかんだいって楽しめました。
 ストーリー一本道のゲームを避けている私がシリーズすべてをやりぬいてしまったのだから、それなりのパワーがあったのだと思います。
 もし『4』を作るつもりがあるのなら期待します!