お話ごっこ

 わたしは4月の始業式から、「さようなら」の挨拶の後、一人一人と握手をして帰しています。子どもたちは、ドアのところでずらっと一列に並んでいます。わたしは「今日楽しかったことは何ですか。」「おもしろかったことは?」など、その日に応じて子どもと短い会話を交わします。ほんの1分程度のことですが、子どもたちのようすがわかってとても貴重な時間です。

 この時間の会話は文ではありませんので、話題をもとに、かんたんな話をできる子にしたいと思いました。言い換えればかんたんなスピーチのし方を身につけさせたいと考えました。今まで、子どもたちは「あいさつのしかた」「あやまり方」「発言のしかた」など、の話し方については学んできました。しかし、ふだんの何気ない題材をもとにスピーチする経験はすくなかったと思われます。 

 そこで、わたしが今、英会話学校で学んでいるやり方をまねしてみました。すごろくゲームをしたときのことが印象深かったからです。すごろくの用紙のます目にはいろいろな話題が書いてあり、さいころの目が出たところの話題を使って話します。もちろん、英語で。 そのとき、英語で文を組み立てることに四苦八苦することはもちろんですが、もう一つ気がついたことがありました。それは、わたしがふだんそんな話題について考えたこともないというようなことがたくさんあったのです。例えば「わたしの部屋」「こわかったこと」などです。こういう経験も自分を知ることになってとてもいいなと思いました。
 長い時間をかけて、頭からようやく英文を一つひねり出して話すのですが、外国人の先生からたくさん直していただきますし、その文から話題がはずむこともあります。たいていは外国人の先生がその話題でたくさん話してくれるのを聞いて、ああ、英語ではそう話すのかと覚えていくのです。


 わたしも、「話し方」の学習の試みとして、ゲーム形式でどんどん自分のことを話す学習をしようと考えました。そうすれば、自分のことを考える経験が多くなると思ったからです。自己を知ることは悪くないと思いました。
 英会話教室のように少人数ではありませんので、その都度問答して、話題をふくらませたり訂正したりすることはできません。教室で全員の授業が成立するようにするために少し工夫しました。画用紙をたて半分に切った用紙をたくさん用意し、そこに黒マジックで大きく話題を書きました。ランダムに子供に割り当て、即興で話させようとしました。
 話す内容は二文か三文でよいとしました。わたしだって英文を一文考えだすのに苦労しているのですから、子どもたちが文を即興で作るのは難しいだろうと予測がついたからです。


 5月28日金曜日、2・3時間目にやりました。まず、どんな題材で話せるかみんなで考えました。「好きな歌」「好きな動物」「好きな色」「入院」「好きな本」「好きな形」「なかよし」「はずかしかったこと」「好きな楽器」「好きな折り紙」「やさしい人」「飼っている犬」「はらはらどきどきしたこと」「雨降りのとき」「私のへや」「お母さん」「お父さん」「発表会」「お出かけ」「おとまり」「あそぶ人」「ないたこと」「弟」「妹」「など、結局60以上の話材を書き出すことができました。中には「しゃれ」というのもありました。自分の知っているしゃれを話すのです。これはほとんどの子が喜びましたが、中に「しゃれって何ですか。」という女の子もいました。

 次に、その用紙をランダムに配っていきました。自分に割り当てられた話題について文を作っていきました。が、何人かの子は「わたしは「入院」したことがないから、ほかのにしていい。」と言って、別の話題の用紙を持っていきました。「難しい」という子や「かんたんだ」という子さまざまでした。
 「みんなの前で話してちょうだい。」と言うと、「やっぱ、わすれちゃうからノートに書いてきていい。」と言う子がほとんどでした。書いても二・三文の子がほとんどでした。 


 書きあがると、ノートを見ないでみなの前で発表させました。ノートを見なくちゃ話せないという子には見てもよいとしました。なかなかおもしろく話す子もいて、みなが笑う話題もありました。二・三文なので、もっと詳しく聞きたいなという子もいましたが、今日はここまでとしました。全員発表してこの日はおしまい。

 その後は、国語の時間を設定せずに、「さようなら」の後の、一人一人と話す機会に、「お出かけ」とか「楽しかった事」などの用紙を見せて話させています。このほうがわたしと問答するので、よい機会になっています。話すことは格段に上手になりつつあります。

子どもの作品

 

2年生ことば日記