自重による床のたわみについて
コンクリートや内部鉄筋の重さのみ
床(スラブ)コンクリートの内部には、鉄筋が配置されています。この鉄筋の重さやコンクリート自体の重さ、さらには、内装材などの重みが床(スラブ)にはかかりますが、これを長期荷重(固定荷重または自重)と言います。
また、長期荷重は、部屋の中に配置されたテレビや冷蔵庫といった大型家具や人の重みである「積載荷重」(床の上に置かれている物体の重み)を含みます。
家具などの重みがプラスされる
1.販売当初から何が起こっていたのか?
コンクリートの内部には鉄筋がある
コンクリートなどの重さで床が変形している(天井がずれ下がる)
長期荷重など上からの重みによる実際の事故で、記憶に新しいものは三豊百貨店崩落事故(建設から5年以上経って突然崩落)でしょう。
この建物では、梁(はり)を使用せず、柱のみで建物を支える建築工法(フラットスラブ工法)がとられていました。
本マンションでは、構造計算書(株式会社塩見)の床構造部分には『アンボンド工法』が採用されています。
このアンボンド工法とは、コンクリートの内部に電線のようなPCケーブルを配置し、これを引っ張ることで緊張させて、上からの重さを支えるというものですが、この工法の場合には「小梁(こばり)」が使用されません。
梁とは下の図Aのような天井部分の出っ張り部分(T字部分の┃部分)などのことをいいますが、アンボンド工法では、下の図Bの様に小梁をなくします。
図A、梁で上の階(天井)を支える
図B、アンボンド工法では、小梁をなくし空間を広くする
床のたわみとは、家具などの上からの重みか、コンクリートそのものの重みなどで、本来なら(剛性が確保されている強度であれば)、変形に抵抗できたはずであったが、剛性の低下などによって、下の図(横図)のようにコンクリート床が内部の鉄筋と共にUの字に変形することである。同時に、亀裂が発生するが、このたわみ(変形)がクリープ現象などで、進行すれば、亀裂もそれに伴って、進行する。
横図、横から見た図

下からみた図(天井)、この亀裂(黒い線)を下から見て生活していた
また、この床のたわみと亀裂が住民側の調査、日本建築構造技術者協会中部支部の調査、ともに59戸中の各階、各タイプのほとんどの住戸で確認された。
2.日本建築構造技術者協会中部支部(以下、JSCA)等の見解
あくまで、JSCAは本見解が、三交不動産らから『提出された書面に基づく判断』(レビュー)であることを強調していますが、以下が、同支部の見解である。
上記資料:平成19年7月27日JSCAの見解
◆アンボンドの配置・・・スラブの北側にPCケーブルが偏在。
◆アンボンドによる影響・・・配置が設計とおり適正に施工されたか。
たわみは、設計上・施工上の原因にコンクリートのクリープひずみと乾燥収縮等が加わって、ひび割れとたわみが助長されたものと推察。
3.現状(2007年8月5日〜現在)
原因について、三交不動産は、設計の配置偏りおよび、工事の施工時のミスから当初の設計耐力が保持できず(剛性の低下)、床スラブの変形が進行したとし、構造解析上の数値並びに、上記の原因だけでは、論証が不完全であるためさらにクリープ現象等による変形の促進があったことなどを、原因の結論としている。しかし、定量的・力学的な側面から考慮すれば、『クリープ現象』など、当該結論は、極めて論証に困難なものでもある。