女優としての保田圭


・はじめに

・2004年
 ・羅生門 女たちのまぼろし
・2006年
 ・夏ノ夜ノ夢
 ・ネムレナイト
 ・MAMA LOVES mamboW
・2007年
 ・昭和歌謡シアター『新宿の女』
 ・楊貴妃の漢方薬
 ・ちがいますシスターズ
 ・コースター
・2008年
 ・志士たち
 ・THE☆どツボッ!!
 ・猫目倶楽部(ゲスト出演)
 ・レモンスター
・2009年
 ・ミコトマネキン
 ・エブリリトルシング'09
 ・ロマンチックにヨロシク
・2010年
 ・桃色書店へようこそ(ゲスト出演)
 ・マーダーファクトリー
 ・眠れぬ夜の1×8レクイエム

・映像化された舞台

エブリリトルシング'09

2009年8月10日〜8月16日
東京都 天王洲 銀河劇場
全8公演

モーニング娘。卒業後の舞台出演第13作目。
大村あつしさんの小説『エブリリトルシング〜人生を変える6つの物語』の舞台化作品。
ベテランの役者さん方の演技もさることながら、
若い役者さん方の熱演も、非常に印象に残る舞台でした。

保田さんの主な役どころは3つ。
・「少年の話」での小学校の先生。
・「彼女はいつもハーティーに」での高校の先生:玲奈。
・「ビジネスカード」での未亡人。

・「少年の話」
子供達に寄り添って、一緒に泣いたり笑ったりする小学校の先生役。
裏表の無い、気の良い役柄で、
「昭和歌謡シアター『新宿の女』」の「安子」を思い出しました。
保田さんには、「明るく元気で前向きな女性」という「ベースの役」があると思うのですが、
おそらく今回の先生役が、その最新の形のような気がします。
以前の演技に加えて、さらに肩の力が抜けて、自然らしさと安定感が増し、
保田さんらしさが良く出ていたように思います。

・「彼女はいつもハーティーに」
「少年の話」とは打って変わって、
こちらでは生徒を非常に厳しく管理しようとする先生:玲奈役。
大声で、力の入った台詞が多く、熱演ではあったと思うのですが、
その分、保田さんの「台詞の強調のしすぎ」という弱点が
かなり強く出てしまったように思います。

保田さんの早口での台詞回しは、非常に安定していると思います。
加えて、必要とされるのが大声での台詞となれば、
そこに現れてくるであろう、迫力と緊迫感のある演技は、
おそらく、観客に非常に強い印象をもたらすと思われます。
しかしながら、台詞の強調をしすぎると、逆に、演技の迫力が阻害され、
緊迫感も失われてしまうように思うのです。
意図的なものではなく、力が入るあまり、ああなってしまうのではないかと思うのですが、
そこの所は思い切って半歩ぐらい引いてから、
もう少しストレートに発声してみても良いのではないかと思うのです。

それでも、終盤で、生徒を叩いて自分の心情を吐露する場面では、
台詞の強弱や間、イントネーション等が適切で、とても良かったと思います。
台本自体が持つ力を、余すところなく形にしていたのではないかと思われ、
叩かれた生徒が心を開いていった事が十分に納得できるほど、
心のこもった良い演技だったと思います。

・「ビジネスカード」
夫(「彼女はいつもハーティーに」に出ていた教師(小橋賢児さん))を亡くした未亡人役。
ちょっと長めの台詞でしたが、
「ミコトマネキン」の時のようなスピードは必要とされず、
ゆったりとした台詞回しだったこともあり、
良くまとまった演技になっていたように思います。
夫の教え子(内山理名さん)に話しかけながら、
次第に、亡くなった夫の姿を思い出してゆく様子が丁寧に演じられていたと思います。

これ以外にも、「アフター・ザ・プロム」のちょっと意地悪な女子高生役や、
「ボクはクスリ指」のマクドナルドの店員役などがありました。
オムニバス形式ということもあり、全体的な出演時間はさほど長くはありませんでしたが、
「彼女はいつもハーティーに」での「強調のしすぎ」を除けば、
全体的に見て、大きな破綻もなく、堅実な演技になっていたのではないかと思います。
(2010.4.14)