女優としての保田圭


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 ・ネムレナイト
 ・MAMA LOVES mamboW
・2007年
 ・昭和歌謡シアター『新宿の女』
 ・楊貴妃の漢方薬
 ・ちがいますシスターズ
 ・コースター
・2008年
 ・志士たち
 ・THE☆どツボッ!!
 ・猫目倶楽部(ゲスト出演)
 ・レモンスター
・2009年
 ・ミコトマネキン
 ・エブリリトルシング'09
 ・ロマンチックにヨロシク
・2010年
 ・桃色書店へようこそ(ゲスト出演)
 ・マーダーファクトリー
 ・眠れぬ夜の1×8レクイエム

・映像化された舞台

マーダーファクトリー

2010年4月24日〜4月29日
東京都 THEATRE1010
全6公演

モーニング娘。卒業後の舞台出演第15作目。
話の内容が非常に暗く重く、
観ているのが辛くなった舞台というのは、
保田さんが出演した舞台では初めてでした。

保田さんは埼玉県警川越署の楠本刑事役。
先輩の青木刑事(演出も兼ねる藏信貴さん)にも発破をかけるような、
強気の、テキパキとした性格の役でしたが、
そうなると、やはりセリフ回しに、「強調のしすぎ」というか、
「過剰なアクセント」という弱点が出てしまっていたように思います。
特に、過去の事実や事件の真相を説明する「説明セリフ」の時に、
それが目立っていたように思います。
コンビを組む青木刑事が、一見ちょっと、とぼけた感じの役柄なので、
その対比で、敢えて強めのセリフ回しにしたというのもあったかもしれません。
また、刑事役である為、過去の事実や事件の真相の暴露といった、
どうしても強調されがちなセリフが多かったという事もあったと思います。
しかし、それらを差っ引いて考えても、
やはり過剰なアクセントが多かったように思うのです。
イントネーションや間は悪くないのに、アクセントが過剰な為に、
リアリティが失われてしまっているように思いました。

ただ、説明セリフではなく、青木刑事との普通の会話のセリフの場合は、
過剰なアクセントも目立たず、テンポの良いセリフ回しになっていたように思え、
保田さんは、どちらかと言えば、会話セリフでの演技の方が得意なように思いました。

またこれは、「エブリリトルシング'09」の玲奈役の時も思った事で、
上記の事とも関わってくるようにも思いますが、
大声でのセリフの時の、声の大きさも気になりました。
保田さんは、確か2回ほど、大声でのセリフがあったと思うのですが、
その声の大きさが、妙な言い方ですが、大きすぎたように思うのです。
舞台には、出演している役者さん方全体の、
声の大きさの閾値というようなものがあるように思うのです。
それは、それぞれの舞台によって違ってくるでしょうし、
また、同じ舞台でも、シーンによって違ってくると思います。
それは、誰かが意図的に決めるのではなく、
舞台を造っていく過程で、自然に決まってくるものであるように思います。
声が小さすぎれば、観客に聞こえないのは勿論です。
では、大きければ良いのかというと、やはりそうではないように思います。
小さすぎてはいけないけれども、大きすぎてもいけない。
保田さんの場合、頑張ろうとして力が入りすぎるのでしょうか、
その声の閾値を越えた大声になっていたように思います。
スピーカーの音量を上げていくと、当然音は大きくなります。
しかし、目一杯上げてしまうと、音が割れてしまう。
それと同じように、閾値を越えた保田さんの大声でのセリフは、
なんと言うか、芝居を割ってしまっていたように思えたのです。
勿論、閾値自体を変えてしまうような大きさのセリフというのはありえると思います。
しかし、今回の保田さんのセリフは、そのようなものではなく、
閾値をオーバーしてしまった為に、
セリフとしてのリアリティを失ってしまっていたように思うのです。

私が観た時の公演では、舞台終了後に、
出演していた役者さん方のアフタートークショーがあり、
保田さんがMCをしていました。
その時の保田さんが、緊張はしていたのでしょうが、
結構自然で落ち着いた話し方をしてたのが印象に残ったので、
日常的な実際の話し方と舞台のセリフとは違うものなのでしょうが、
いっそ、その時の話し方をベースにして、
演技を作っていけないものか等と思ったりもしました。

「ロマンチックにヨロシク」の聖美ママや、今回の楠本刑事のような、
強気な女性の役は、結構保田さんに合っている様に思います。
その適役性を、より生かす為にも、セリフ回しにもう一工夫欲しいと思いました。
(2010.10.9)