「地球は青かった」の名言を残したロケット基地の飛び地
バイコヌール
ロシア領
1991年12月16日 カザフスタンが独 立を宣言。レニンスクの宇宙基地は引き続きロシアが使用
1994年 ロシアがレニンスクを20年間租借する協定を結ぶ
1995年12月20日 レニンスクをバイコヌールと改称
2005年6月8日 ロシアの租借期間を2050年まで延長
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世界最初に宇宙へ飛んだ人といえば、ソ連のガガーリン少佐。「地球は青かった」という言葉が有名だが、そのガガーリンを乗せたロケットが発射さ れたのがバイコヌール宇宙基地。つまりバイコヌールは世界で最も歴史のある宇宙基地なのだ(※)。
※ちなみに、1990年に日本人で初めて宇 宙を飛んだ秋山豊寛さん(TBS特派員)も、バイコヌール宇宙基地からソユーズに乗った。宇宙基地のあるバイコヌールは、もともとチュラタムという村だった。しかしソ連は宇宙基地の場所を誤魔化すために、500km離れた鉱山町・バイコヌール の名を宇宙基地に付けた。当時は偵察衛星なんて無かったから、ソ連が「バイコヌール基地からロケットを発射」と発表すれば、(鉱山町の)バイコヌールから 打ち上げたと思い込ませることができるだろう…ということらしいが、アメリカは偵察機でとっくに見抜いていて、「チュラタム発射基地」と呼んでいたらし い。
かくして1955年に宇宙基地が建設され、57年に世界初の人工衛星の打ち上げに成功、61年にはガガーリンを乗せたボストーク1号の発射にも成功し、当 時世界最先端となった宇宙基地と都市は、66年にロシア革命の指導者・レーニンの名を冠してレニンスクと改称した。
さて、ソ連が崩壊すると、レニンスクはカザフスタン領となったが、宇宙基地は引き続きロシアが使用した。しかし混乱によって都市のインフラは機能しな くなり、断水が続く状態に。これではロケットの打ち上げもままならなくなってしまった。
そこで1994年にロシアとカザフスタンは協 定を結び、翌年からレニンスクの基地と都市など、東西90km、南北85kmのほぼ円形の領域を、ロシアが年間1億1500万ドルの租借料を支払うことで カザフス タンから20年間租借した。ロシアの手でインフラの再建が進められ、レニンスクは再びバイコヌールと改称。96年からは正式にロシアの経済 圏(ルーブルを 使用)に入り、商業衛星の打ち上げによって徐々に経済も潤うようになり、2005年には租借期限が2050年まで延長された。
バイコヌールの街は、周囲とは壁で仕切られ、その中はロシアが管轄している。最近では日本からロケット発射の見学ツアーも行われているが、その場合、必要 なのはロシアのビザだけで、モスクワからバイコヌールへ飛行機で飛ぶとき、パスポートにロシアの出国スタンプは押されるが、カザフスタンの入国スタンプは 押されない仕組みだ。
バイコヌールの街にはレーニン像がそびえ、ガガーリンを冠した通りがあり、旧 ソ連の雰囲気を色濃く残しているが、カザフスタン化も進んでいる。ソ連時代に 11万人いた人口は7万人を切り、ロシア人やベラルーシ人が中心だった住民も、カザフスタン人が55%を占めるようになった。
ロシアには他にも宇宙基地があるのに、なぜ毎年多額の租借料を払ってまでバイコヌールを使い続けているのかと言えば、旧ソ連で一番南に位置する基地だか ら。ロケット打ち上げに当たっては、緯度が低い、つまり赤道に近い場所から打ち上げるほど、遠心力を使えるので燃料消費が少なくて済む。だから年間1億 1500万ドルを払っても、トクだと言えるらしい。
しかし、カザフスタンは今のところロシアとは友好的だとはいえ、基地周辺の環境問題やバイコヌールで暮らすカザフスタン人の教育問題(ロシア語教育からカ ザフ語教育への切り替え)などの問題を抱えており、ロシアはバイコヌール宇宙基地の軍事利用を中止。さらに自国領内のボストチヌイ(アムール州)に新たな 宇宙基地を建設中で、2015年に完成する予定だ。
かくして ロシアは バイコヌールの宇宙基地を2020年に放棄する予定だが、カザフスタンとしては宇宙基地を返還されても宝の持ち腐れにしたらもったいないと、自らも宇宙局 を設置して、ロシアの支援で衛星ロケットの打ち上げを開始。ロシアと共同で企業を設立し、商業衛星の打ち上げを続けていこうとしている。
ガガーリン少佐を乗せて人類が初めて宇宙へ旅立ったロケット発射台は、今も現役で使われている。設備が古いと言うか、それだけソ連製は頑丈だと言うこと か・・・。
●関連リンク
russianspaceweb.com ロシアの宇宙基地のサイト。バイコヌールの昔の写真もあります
驚きのバイコヌール バイコヌールで開かれたスペースモデリング世界選手権の出場記
●参考資料
AFP http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2378935/2838451
宇宙・海・山そして単車を愛するサイト http://www4.zero.ad.jp/gd_since_1976/2005- 3rddiary.html
wikipedia
冨田信之 ロシアの新宇宙活動(10) ヴォストーチヌィ宇宙基地 http: //www.soranokai.jp/pages/russian_space_new10.html