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| まつり |
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日本には、五万をこえるのではないかといわれるさまざまなまつりがあります。一日平均一四〇近くのまつりが、日本のどこかで行なわれている勘定です。滋賀県の代表的なまつりは、一九三(「滋賀県の祭事・行事」滋賀県在京観光懇談会)あります。このうち、甲賀郡内のまつりは二八です。 |
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二八を月別に見ると、一月・三、二月・二、四月・二、五月・六、七月・八、九月・五、十月・一、十一月・一となっています。七月にまつりが一番多く、次いで五月・九月が続きます。田植え、疫病送り、新しい稲穂を祝うといったまつりがこの三月に集中しています。稲作作業と密接な関係のまつりが甲賀郡の特徴といえます。まつりは「日をきめて神と人との交渉を具現する儀式。またその日にお祝いとして行う歓楽的なもよおし」(岩波国語辞典)といわれています。そして私たちは、家族のものはもちろん、地域の人たちが、同じようなごちそうをつくり、食べて楽しむものと古老から聞かされています。連帯意識の再確認として、まつりが受け継がれているのです。まつりの中には、先祖からの生活の知恵が生きています。二八のまつり以外にも、数多くの鎮守の森で、神と人間の接点としてのまつりが、いたるところで行なわれています。こうしたまつりは、生活により密着したもので、けっして華やかでも、賑やかでもありません。そこで、数多くある甲賀郡内のまつりと芸能の中から、各町一つずつ紹介します。
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| 「鬼ばしり」(石部町) |
常楽寺・長寿寺の「オコナイ」の一つ。一月十四日・十五日の二日間行われます。養老年間(七一七〜七二四)の始まりと伝えられ、長男である青年三名が鬼子となります。面をつけ、装束し、本堂内を走り回るところから、鬼ばしりと呼ばれています。 |
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| 「ぼんのこへのこ」(甲西町) |
七月三十一日、平松地区で行なわれる奇祭です。「煩悩男根」の意味で、火難の神、三宝荒神(女神)へ男性を捧げて火を鎮めるまつりです。まつりの三日前に松尾神社に集まり、男と女のシンボルをつくります。そして、まつりの当日、このシンボルをかつぎ地域内を練り歩きます。“ぼんのこ、へのこ、さあくら、なすびやぁい”“ドンドン(太鼓をたたく)”といったうたをうたいながら。 |
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| 「水口まつり」(水口町) |
四月二十日に行なわれる水口神社の祭礼です。一番の見せものは、曳山が引き出され、賑やかな囃子(はやし)につれて町内を練り、水口神社へむかって行列するところです。この曳山は、享保年間(一七一六〜一七三五年)に天神、天王、西町、東町、伝馬、梅町、新町、中町、美濃部の九カ村の氏子が新造されたといわれています。 |
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| 現在は十六基あり、すべて町の文化財に指定されています。曳山の上では、県の文化財に指定されている「水口ばやし」がかなでられます。水口ばやしには、江戸・神田ばやしの枠を取入れた馬鹿ばやし、大廻、八妙、大蛇などの曲があります。動と静、低と高、自佐に変化するすばらしいはやしです。 |
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| 「花笠太鼓おどり」(土山町) |
四月十五日に行われる大宮神社の祭礼です。室町時代から伝わるというこのおどりは、無形民俗資料県選択に指定されています。元来は、雨乞いまたはその返礼に踊られていたものです。黒川の四つの地域から、衣装をつけ行列しながら大宮神社へ向かいます。 |
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| そして、花笠太鼓おどりを奉納するのです。紺の頭巾に鬼面をかぶり、頭に山鳥の羽根をさし棒を振る「メン」と色紙を貼った花笠に造花をたてたものをかぶり締太鼓をつけた「タイコ」が神前で踊ります。 |
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| 「大原ぎおん」(甲賀町) |
七月二十三日・二十四日に行なわれる大鳥神社の祭礼です。このまつりは、応永二十二年(一四一五年)から始められています。本神・須佐男命の八岐大蛇退治を模して、すべての災い、病気の悪魔をはらう祭礼で親しまれています。本祭の二十四日には、花うばいという勇壮な行事があります。 |
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| これは、地元の氏子たちによって献上された花鉾の花枝を、参拝客が先を争い奪いあうというものです。「飾られた花を奪う人」と「取らせまいと青竹でたたき回る人」とで、壮烈なさまが展開されます。花うばい神事、ケンカまつりの異名をもつまつりです。 |
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| 「くノ一おどり」(甲南町) |
昭和四十八年の町制三十周年を記念して創られたおどりです。八月の第一土曜日には、町民総おどりとして行なわれる全町的なおどりとなっています。このおどりは、忍法くノ一流をもとに、曲と振付けをしたものです。一年で一番暑い一夜の風物となり、郷土芸能として育ってきています。 |
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| 「信楽陶器まつり」(信楽町) |
七月の第四金曜日から三日間、長野を中心に行われます。信楽焼の伝統をふまえて開かれるこのまつりは、先人への感謝と明日への発展を願う祭典です。土と炎に感謝し、暗闇に灯るたいまつの明り。この光の中に自己の座標を置き、これからのやきものづくりの明日への活力を祈ります。 |
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愛宕山陶器神社の祭典から始まり、火まつり・総おどりと続く三日間は、信楽焼・人・神の三つがおりなすまつりで、しがらきならではのものです。新しい陶芸作家を生み出す場、火の神秘さを改めて知る場でもあります。
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