X、近代の教育(2)
X-1 啓蒙主義の教育
☆ 啓蒙主義の誕生
中世のキリスト教の権威に根拠を求めるのではなく、人間の理性による納得や事物認識を拠り所とする
【エルヴェシウス】
・ ロックの思想の影響
・ 『精神論』『人間論』を執筆
・ 『教育はすべてをなしうる』=教育版万能論
→ディドロやコンディヤックなどの(※)に影響を与える
※ 百科全書派(アンシクロペディスト)とは『「百科全書」(フランスの百科事典で、フランス革命の思想的準備をなしたと言われる)の編纂・執筆に従事した一群の啓蒙思想家・学者。監修者ディドロ・ダランベールをはじめ、ボルテール・チュルゴー・ドルバック・エルベシウス・モンテスキュー・ルソー・ケネーなどが挙げられる』
☆ ルソー
・ 『学問芸術論』や『人間不平等論』で文明批評家として主張を展開
・ 『新エロイーズ』『村の占者』(むすんでひらいて♪で有名)で文学者として主張を展開
・ 『社会契約論』で政治史思想家として主張を展開
・ 『エミール』で教育思想家として主張を展開
・ エミールの書き出し『万物は創造主の手をはなれるときは、すべてが善いものであるが、人間の手にかかると、それらがみな例外なく悪いものになっていく』(性善説)は有名
・ 子どもの発見、発達段階に応じた教育課題の設定、消極教育、経験主義、直観主義
・ 主観的自然主義(人間の内なる自然の存在⇔客観的自然主義(コメニウス)=外界の中にいくつかの法則を見出す)
☆ 汎愛(はんあい)派
ルソーの思想に共鳴した穏健派
【パセドウ】
・ 『初等教授書』を刊行
・ 汎愛学者を開校し,市民社会を担う人材の養成や,教会支配の排除に努める
・ 汎愛派の祖
【ザルツマン】
・ 『蟹の書』『蟻の書』を著す
【その他】
カンペ(生活に即した汎愛学校を開く),トラップ(プロイセン初の教育学教授),ロホウ(農民学校)
☆ ペスタロッチ
・ フランス啓蒙主義,ルソーの影響
・ 子どもの学習と農場労働を一体化した貧民学校
・ 農場経営と貧民学校に失敗して書いたのが『隠者の夕暮れ』
・ 『玉座の上にあっても木の葉の屋根の陰に住まっても同じ人間,その本質からみた人間,そも彼は何であるか』(隠者の夕暮れ)
・ 『リーンハルトとゲルトルート』で民衆教育の必要性を述べる
・ 『探求』『ジュタンツ便り』『ゲルトルート児童教育法』
・ 3H’sの思想(精神的(Head)・道徳的(Heart)・身体的(Hand)の調和的発達を重視)
・ 直感教授(労働しながら知識を習得し,常に実物に接触しながら,具体的に認識させようとする)
X-2 新人文主義
☆ 新人文主義の思想
18世紀後半から19世紀にかけて,ドイツを中心に啓蒙主義批判がおこり,その欠陥を修正しようとする動きが活発となった。人文主義→実学主義→新人文主義と揺れ動き。ルネサンス期の人文主義(ギリシャ・ローマ・ヘブライの古典的教養を通して人間形成をはかる立場)的な自己完成を国民性と歴史とに立脚して実現しようとする。
☆ 新人文主義の教育思想家
【カント】
・ 『純枠理性批判』で理性の構成的活動を説明し,『実践理性批判』で意思の自律性を強調。
・ 『人間は教育されなければならない唯一の被造物である』(『教育学(講義)』)
・ 『人間は教育によってはじめて人間になることができる』(『教育学(講義)』)
【フィヒテ】
・ ナポレオンとの戦いに敗れたプロイセンには国民が必要と考え,『ドイツ国民に告ぐ』という演説を行う
・ プロイセンを救う唯一の方法は,道徳的な世界秩序に対する強い情熱と,その実現をめざす意思の形成であると主張
【ゲーテ】
・ ドイツの文豪で,新人文主義の代表
・ 『ヴィルヘルム・マイスター』で,市民社会における人間像を追求し,宗教的・人道的方面(一般的陶冶)と新時代の工業的要求(職業陶冶)とを統合し,全体的な人間形成を目指す
【フンボルト】
・ ドイツの思想家
・ 教育行政官
・ ベルリン大学の創設,中等教育制度の確立,ペスタロッチ主義の導入