T、教育心理学の歴史・意義・定義

 

T-1 教育心理学と心理学

          教育心理学

教育心理学は、教育に関する諸事象について心理学的に研究し、教育の効果を高めるのに役立つような心理的知見と心理的技術とを

提供しようとする学問である【新版心理学事典】

          動物と人間

霊長類→道具の使用が見られる

ウミウシ→学習能力が存在する

人間→学習するだけでなく、教えるという行為も行う=教育とは、人間に固有の行為である

 

T-2 現代の心理学の始まり

1879年                 ヴェントがライプツィヒ大学に実験心理学を創設する→独立した領域としての心理学の始まり

こころを実証科学的に研究するために、実験、観察、調査、心理検査などを発展させてきたが、実証性を最優先した厳密な方法論に縛られて『こころ』を忘れた心理学といわれたこともあった

          内観(内省)

@          虚偽や錯誤の報告かどうかを判別する方法がない

A          言語報告をするので、言語をもたない対象(幼児、言語能力に障害のある人、動物など)に利用できない

B          意識化できない部分については報告できない

→意識を直接研究する方法がないことから、人間の行動を研究の直接の対象とし、その行動からこころを推測するという方法がとられる。

 

T-3 行動主義の誕生

          ワトソンの行動主義

          こころや意識については不問に付し、行動の予測と制御をその研究目的とする

          刺激に対する反応の種類、刺激の変化に対応する反応の変化などを探る

          こころをわすれた心理学

          やがてトルーマンによって、人間の中で何が起こっているかも考慮に入れる新行動主義が生まれる

 

T-4 行動主義の思想的な背景

          経験論

          ロックやバークレーに代表される

          刺激と反応を経験によって結びつけることが学習であるという連合主義をとる

          この組み合わせの積み重ねという概念が、やがてドリル学習やプログラム学習へと繋がっていく

          人間を受動的な存在と考える

          刺激に対する反応は規則的であり、刺激から反応が予測できるという決定論的な見方もする

          進化論

          人間と他の動物は連続したものであると考える

          人間以外の行動による研究は、人間を知る上で有効である

 

T-5 ゲシュタルト心理学と認知心理学

          ゲシュタルト心理学

          ウェルトハイマー。コフカ、ゲーラーが主張

          あるまとまりのあるものは、部分に分解不可能である

          個々のものが集まることで個々のものから予想できない性質を全体が持つ

          生得論の流れを組む

          刺激に対する反応の間に、それから自由な過程の存在を仮定し、人間を能動的な存在と考える

          認知心理学

          人間を情報システムと見なし、そのシステムをモデル化していこうとする

          1960年代に出現

          反応までの過程を重視する

          個人の能力レベルだけ無く、学習スタイルに対応した最適方法があると考える

 

T-6 精神分析学

          ブロイアーとの共同研究から、フロイトがまとめ、提唱した

          自分の行動はすべて自分の理性が知っているという合理主義的な考えを否定し、自分でも意識化できない心の領域(無意識)があるとした

          本人は意識化できない無意識を、他者が意識化する方法

          無意識に蓄えられるエネルギーは、人生の初期の体験に基づいて形成される

          機械論的(無意識が人間を動かす)であり、決定論的(幼児体験が成人の性格を決める)でもある

          個人心理学のアドラーや分析心理学のユングを輩出する

          ネオ・フロイト主義と呼ばれるホーナイ、サリバン、フロムらも業績を残す

          またフロイトが見落とした性格形成における社会や文化の影響を見出したエリクソンも有名

 

T-7 教育心理学の歴史

          児童研究と個人差研究にその始まりをみることができる

          プライヤーが児童研究を始め、ゴールドンが個人差研究を始めた

          19世紀の初めに教育の方法を心理学に求めたヘルバルトを出発点と考えることもある

          19世紀の終わりには、アメリカでホールが児童の科学的かつ系統的研究の端緒と言われる研究を行う

          20世紀の初め、ドイツのモイマンが『実験教育学入門』、亜m理科のゾーンダイクが『教育心理学』を刊行

          日本では大正に『教育的心理学』が、昭和になって『教育心理学』が刊行。また1952年に日本教育心理学協会、1959年に日本教育心理学会となる。現在会員6300

 

T-8 教育心理学の課題と領域

          個性的記述的接近法と法則定立的接近法

法則定立的接近法=人間一般に通用するような法則を確立することを目的としてなされる研究

→行動主義やゲシュタルト心理学のような実験心理学がとる方法

個人記述的接近法=個人を詳細に記述してこうとする立場

→臨床心理学がとる方法

※互いに対立するものではなくて、相互補完的な関係であるべき

          教育心理学の多様な研究方法

@          観察法

特定の条件を設定せず自然な状態にある被験者の行動を客観的な基準に基づいて記録していく方法

A          実験法

因果関係を明確にしていくのに役立つ

B          統制群法

特定の要因が研究対象となっている行動にどのような影響を与えるかを研究する

C          その他

調査法や心理テスト法など