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札所1番〜札所15番 札所16番〜札所25番 札所26番〜札所30番 札所31番から結願まで

秩父観音霊場34ケ所 
(午歳総開帳)

(その3)


荒川沿いに白久まで

  (平14.5.30)

            
札所26番・円融寺から札所30番・法雲寺までを歩く

荒川は、秩父盆地西端の秩父湖と滝沢ダムからの水を大滝で集め、三峰口を通り秩父市内で流れを北にとる。この日の行程は荒川沿いに市内から三峰口の方向に歩く。秩父鉄道”おはなばたけ”(西武秩父駅と同所)と白久(しろく)沿線の巡礼である。道は山麓にあり、丘陵と山村のハイキングコースでもある。
   
 

札所 本尊 観音様のお姿
26.円融寺 聖観世音 一尺に満たない厨子内の立像にスポットライトをそそぎ拝観を助けているが、光が厨子内面に反射し、博物館展示仏を見るようなわけにはいかない。それでも、正面格子の下方から覗き込むと、おだやかな表情と形の良い両手の配置が分かる。 鎌倉末期、恵心僧都の作という
八寸七分
立像
27.大淵寺 聖観世音 お堂が新らしく堂内配光もよいので、小さな像であるが表情がよく見られる。ふっくらとした穏やかな表情をしている。 鎌倉末期の作
55cm
寄木造り
28.橋立堂 馬頭観世音 ねずみ色をした怒り顔の像で、小柄ながらどっしり座り込んで睨みをきかしているが、なんとなく可愛らしく、ユーモラスである。 鎌倉期
28cm
三面六臂
29.長泉寺 聖観世音 肉付き良くたくましい像と聞くが、定かでなかった。 藤原期
55cm
慈恵大師の作
30.法雲寺 如意輪観世音 楊貴妃を写したものという訳でもないが、気品があり、上品な表情と姿に魅せられる。 唐の玄宗皇帝の作という

馬頭観世音:八大明王の一。宝冠に馬頭を戴くのでその名がある。忿怒の相で、一切の魔や煩悩をうち伏せる働きを示す。

巡礼風景

山を越え、山村・農村を歩き、村で守っているお堂と寺院を巡る。「秩父観音霊場巡礼」も後半になり、趣も一段と味わい深いものとなる。残された絢爛とした寺宝、不思議な寺宝、土地の人の親切などすべて良い。

26.円融寺 (えんゆうじ)

AM9:53−10:14
西武秩父駅から国道140を横切り、山沿いの道を行く。野坂町から日野田町を過ぎ、下影森に入るとすぐに札所入口が見える。観音堂は山上の岩井堂であるが、本尊と寺宝は円融寺に保管されている。

本尊の近くには、寄木造りの勝軍地蔵(鎌倉期)などがガラスケースの中に安置されている。この寺は地元の人が管理しているが、納経所で鳥山石燕(歌麿の師)の「景清牢破り」の絵馬の在処を尋ねると、”正面格子の右下から覗きジット見つめていると見えてくる”と教えてくれた。なるほどガラス面での反射がうすらぎ、絵馬が浮かび上がる。石中女の「紫式部石山寺秋月」も並んでいた。

岩井堂参道に入ろうと巡礼道をたどると、昭和電工の守衛所の前に出る。??と思っていると人が出てきて、構内の通り抜け方を、用意された刷物で教えてくれる。刷物には”昭和電工樺&ヮ幕ニ所は化合物半導体・レアアース等の生産を行っています”とも記されている。構内に接して琴平神社の鳥居と太子堂があり、岩井堂への参道がつづく。

参道は204段の石段につながる。おばあさんと娘さんが降りてくる。おばあさんは、手すりにつかまって、ゆっくりゆっくり、”6年前はこの手すりがなくて、こわかったのですよ”と。
岩井堂

AM10:42−10:54

石段を登りきると右には札所27番への道で、左上の樹間に、やぐらで組まれた岩井堂が見える。幽玄な雰囲気がある。お堂の直下には文政八年奉献の銘のある灯篭がある。

お堂には納札が貼りめぐらされている。お堂の裏には弘法大師が護摩修法を行った石窟があり、石仏が並んでいる。清水の舞台のような回廊でしばし休んでいると、夫婦づれ二組が賑やかに登ってきた。

大淵寺への道は琴平ハイキングコースで、羊山公園から続いている。

AM11:20−11:30
コンクリート製の護国観音(大船・高崎と併せ関東三大観音)からは、大淵寺はすぐ下に見える。ここからの下りにカタクリ群生地がある。”今年は終わりました”と掲示されている。
27.大淵寺 (だいえんじ)

AM11:40−11:56
下ってくると、先ず観音堂(月影堂)に到着する。大正八年汽車の煤煙から火事になり焼失して、平成八年に再建された。

本堂は大正11年に再建されたもので、納経所がある。山門を入ってすぐに延命水が湧き出ている。

車または影森駅から参詣するときはこの参道に入り山門をくぐる。山門の上に護国観音が見える。
ここより札所29番までが橋立古道である。巡礼道は民家と畑の間を抜け、秩父鉄道を跨ぎ、線路沿いに歩き、再び線路を越し、林道を歩き橋立鍾乳洞へ向う。左間じかに武甲山の西面が見える。
28.橋立堂 (はしだてどう)

PM12:20−1:10
石段下で二匹の犬が吠えたて迎えてくれる。左が納経所兼鍾乳洞料金所である。右手に茶店・おみやげものがある。正面の石段上が観音堂である。

観音堂は江戸中期の建立で、高さ80mの一枚の石灰岩を背にしている。岩の下方が鍾乳洞で、洞穴一巡することを穴禅定と云う。洞内では、弘法大師の後姿、昇り竜の背、下り竜の頭などと名付けた自然の造形が見られる。

馬頭観音を本尊とするのは、百観音の中では西国29番の松尾寺とここだけ。馬頭観音は強力な力をもつと云う。本堂は江戸中期の建立で、お堂に掛けられた奉納絵馬では馬が群がって遊んでいる。境内には白馬が2頭祀られている厩舎まがいのお堂もある。

”安田記念”が当たるようにお願いしたが・・・、白い馬(
アドマイヤコジーン)が勝った。

秩父盆地では馬の文明が根強い。秩父七党の勇猛武者、農民の荷役や流通手段に馬が大切な役割を果たして来たと云う。
茶店で美味しい手打ちそばを食べて、
午後の歩きに備える


味噌おでん、お酒、ビールも売られている。暑さを凌いでお酒が進んだ賑やかな巡礼は、”楽しみは明日に残しておこう”と、ここで打切る相談になる。


橋立堂を出て少し下ると道しるべがある。次の札所へは、橋立古道はキャンプ場を通り抜けて行く。

橋立川に沿って少し行き、横切る自動車道の橋に登り、左に行く。

やがて浦山ダム(秩父さくら湖)を正面に見て、浦山川を橋で渡り坂を登ると、札所29番の門前に到着する。浦山川は荒川に注ぐ。
29.長泉院 (ちょうせんいん)

PM1:42−2:05
参道入口には右に延命地蔵、左に寺名の石柱があり、”よみがえりの一本桜”が山門の代わりをしている。境内は手入れされた形の良い植木が並ぶ。

巡礼ツアーが参詣に来ていた。本堂欄間に葛飾北斎の「桜花の図」を探していると、おばさんの二人づれの一人が物知りらしく、すぐ左上の額を指して説明していた。額の右1/4の部分の桜が残っている。

札所29番からは荒川村になる。札所30番までは7km余の歩きである。山裾の道は”巡礼通り”で無料の”ふれあいセンター”やトイレが用意されている。
土地の人に道を尋ねると、武州日野まで行き電車に乗る方が良いと教えてくれた。

武州日野近辺で一度国道140に出る。荒川のむこうに民家が点在する。駅前を通りすぎ、予定道り白久へ向って歩く。国道とは道の駅”荒川村”の近くで離れて巡礼道(ホソー)を行く。

楽しい荒川村教育委員会の看板を見かけた。白久の人形芝居は二人で操る珍しいもので、県指定無形民俗文化財である。白久の豆草原地帯で考案され、近隣の人たちで人形座を組み、札所30番の縁日や神社の祭礼で演じた。


白久駅前からは正面に見える熊倉山(1427m)登山口への道を行き、道しるべに従い札所に向う。
30.法雲寺 (ほううんじ)

PM3:55−4:35
寺への道はやがて三十番札所を示す石柱で行き止まりになる。すぐ右上にお堂が見える。「人形一座 農にかへりぬ 花のはし」の石に刻んだ句碑がある。

お堂には楊貴妃観音と呼ばれる本尊の他、左前面をガラスケースにして、天狗の爪(サメの歯の化石)、竜骨、楊貴妃の鏡と天文年間(室町時代)の納札を寺宝として展示してある。

お堂の一段下に品の良い池と庭園があり、一角に庫裏と納経所がある。池を前にしてお堂を見上げる所にベンチがあり、疲れた脚を休めることができる。ここには静かな空間がある。
お寺のすぐ側に、秘湯の湯”谷津川館”がある。

PM4:54 白久駅まで戻り、単線の秩父鉄道に乗る。今日歩いた道を沿線に見る。武州日野、武州中川、浦山口を過ぎ影森辺りから武甲山が右の車窓に入ってくるようになる。”おはなばたけ”駅にはPM5:15に着く。
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