旧制松本高等学校思誠寮寮歌
『春寂寥』
春寂寥の洛陽に 昔をしのぶ唐人の
痛める心 今日は我
小さき胸に抱きつつ 木の花陰にさすらえば
哀れ悲し逝く春の 一片毎に落る涙
岸辺の緑夏木立ち 榎木葉陰のまどろみに
夕暮れ誘う蜩の
はかなき定め呪いては 命の流れかげあせて
哀れさびし火の面に 黄昏そむる雲の色
秋揺落の風立ちて 今宵は結ぶ露の夢
さめては清く 窓の月
光をこうる虫の声 一息毎に巡り行く
哀れ寒し村時雨 落葉の心人知るや
嵐は山に落ち果てぬ 静けき夜半の雪なだれ
ほだの火赤く さゆらげば
身を打ち寄する白壁に 冬を昨日の春の色
哀れゆかし友どちが あかぬまどいの物語
『信州哀歌』
春は小諸の懐古園
桜吹雪を背に受けて
信州乙女は泣いて言うた
今宵散ってもいいわと言うた
夏は星降る千曲川
水に影りし月を見て
信州乙女は泣いて言うた
今宵濡れてもいいわと言うた
秋はリンゴの木の下で
長い黒髪なびかせて
信州乙女は泣いて言うた
今宵あげてもいいわと言うた
冬は静かに降る雪に
たもとをぬらして切なげに
信州乙女は泣いて言うた
早く卒業してねと言うた
メロディ:『春寂寥』(前ホームページ管理人、川村 政春さんより引継ぎました)