アイノ.ウタ DV, 28min. COLOR
☆長岡アジア映画祭 「審査員特別賞」授賞
☆Asian independent film forlam入選
☆蓼科高原映画祭 入賞
☆多摩映像フォーラム NEW WAVE ある視点部門 入選
☆函館イルミナシオン映画祭にて上映
物語
会社員の男は、出勤途中に交通事故に遭ってしまう。
頭を強打した男は、その日から、奇妙な夢を見る様になる。
それは、暗い取調室で、刑事の様な男たちに、問いつめられる夢だった。
又、現実世界でも、男は、その日を境に、
「モノ忘れ」に悩まされ、仕事上のミスを繰り返すのだった。
思い出す事が、困難になっていく男は、一人の女の姿を思い浮かべる。
その女にいざなわれて、男が、たどり着いたのは、
かつて、その女と過ごした部屋だった。
そして男は「事件」を目撃する。
そこには、過去の自分と女がいて、SEXをしている。
女は男に言う。「ズッと一緒にいて...」と。
そして、寝入った男に血を浴びせる様に、
自らの首を、カッターナイフで、切ってしまうのだった。
見ている「今」の自分は、思い出した。忘れようとした事...。
かつて、本当に愛した、そして、いまも愛している女は、
自分の眼の前で自死した事を...。
そして、男は、夢から醒める。
パラパラと、今までの出来事が、頭を駆ける。
女と初めて出逢った時の事を思い出す。
思い出して、男は、死んで行く。
事故で、男は、死の淵にいたのだった。
全てを思い出した男の死顔は、
少し、微笑んでいるようにも見えるのだった。
配役
女 桐野 花
会社員 平出 龍男
小林 康雄
佐々木 螢
大道 幸成
横山 よしひろ
松沢 有沙
男 古本 恭一
作業員
撮影監督 三本木 久城
助監督 宮脇 信行
音 楽 野口 真紀
製作 脚本 監督
古本 恭一
CO-PRODUCER...(有)リボ
感想集(誉められたのだけ!)
非常に良かった。嫉妬するほどきれいな作品でした。「カッコイイ」とも思った。
映像も内容も、監督の力量と気心の知れたカメラマンとのバランス!!
監督に興味がわく作品。この人はどういう人なんだろう?みたいな...
マジメに自信をもって作っている。「ナンチャッテ」がない。人を信じている。愛している。
人間の弱さ、業、宗教感、といったものがにじみ出ている。
編集操作による時間の流れが映画的で快感。
キスシーンの微妙なパーンによるカットバックも微妙。普通に撮ったらあのシーンは成立しない。
普通なら必要ないほどのカット(スロー)の長さ。でもあれは必要だと思った。
決して説明過剰になっていない。
DV独特の質感ではドラマ的作品は無理だと思っていたが、映像処理(色付け、フィルターワーク)で
ここまで出来れば全く問題ない。ブラックプロミストによってファンタジー感も出ている。
DVの可能性を100%以上引き出して見事。
見る(観る)側にいろいろな意味で(人それぞれの)良い誤解(解釈)を与える作品だと思う
僕は好きです。
今関あきよし氏(映画監督)
● 構成が面白かったです。30分に上手くまとめていて、見事でした。
どこに重点を置くかわかってつくっているので見やすかったです。
熱い思いを客観的に映像に出来ており、作家としてこなれていると感じました。
● 人間が死ぬ寸前に走馬灯のように自分の人生を振り返る事があるというけれど、
具体的に映像化するのは容易な事ではありません。
しかし、本作品では恋人との生活に舞い戻るまでの導入部が実に円滑に機能しており、
そしてなによりもこの二人の生活を描く演出が卓越しているので、
その一瞬を映画のなかで堪能するのに留まらず、
もし自分がその瞬間を迎えたら何を思い出すのだろうかとまで考えさせられました。
30分間に凝縮された見事なドラマ。
第3回TAMA
NEW WAVE VIDEO部門 作品評より
などなど、いろいろありますが、誉められてばかりでは、有りません。
結構、批判もありました。
いや、たくさんありました!
頭に来て、棄てました。
撮影後記
2000年11月3日、横浜、日吉のドブ川の横で クランク・イン。
その日のシーンは、俺="男"が、川っぺりをチャリンコで通勤している。というだけのシーンだ。
この時点で映画がどうなって行くのか、その色彩(カラー)のようなものは誰一人として見えていない...。
カメラマン、三本木は、いつも俺のわがままに付き合ってくれるが、
この作品の撮影は大変だったろうと思う。
何せ、監督である俺がなあんにも見えてない!
元々シナリオは、俺が確か、25,6の時、真冬、風邪をこじらせて寝込んでいた時に、
サラサラと書いたものだった。
ぴあで賞を取ったりして「さあ、早く次を!」と思っていた俺は、
それを元に、短編を撮ろうと思ったのである。
まだまだ「アイノ・ウタ」はグニャグニャの粘土のようなものだったのだ。
ただひとつ、俺は、「血の混じり合い」をやりたいと思っていた。
このドラマの男は、女の血を浴びて、再び、赤子になるのだ。
台詞も全くなくなった。
必要ないと思ったのである。
そういうグニャグニャしたまだ型にならない内に、見切り発車的にクランクインした。
....良くも悪くも、とにもかくにも、「始めなくては、終わらない」のである。
ただ、計画性がないだけ、とも言える...。
しかし、この時点で、最終の編集になるまで、2年もかかるとは、俺は思ってもみなかった。
旧知の役者連中も、会社のシーンで集まって来た。
この会社も叉、頼りになる男、我が、映画生態倶楽部の宮脇の調達であった。
会社の一室を控え室に、そこで皆が雑談しながら、メークをほどこす。
俺は元々役者だから、こういう空間がたまらなく好きだ。
ドーランのちょっと甘い匂いに、独特の緊張感もある。
女優の美人さんたち(俺は美人しか使わん)が、「カントクウ..、メイク、みてくださあい」
などと聞いてくる。
「どれどれ...」と鼻のしたも伸びる...。
...莫迦だなあ...。
三本木は、カメラと照明をセッティングしている。
彼も又、早くこの映画のカラーを決めたい、と思っている。
俺は、とにかくこの男を信用し、高く評価している。
しかし!!そうやって人のメークや、セッティングを「イイなあ...」なんてボーッと見ているヒマも、
鼻のしたをのばしているヒマも、俺にはない!
まず、最初のカットは...!っと「シ、シナリオがない」「みやわきィ!」と叫ぶ。
すると、宮脇はちゃあんとシナリオを持っている。
「す、すばらしい」何というチームワーク!というよりも、このだらしない俺に何とやさしいんだ!
と、感謝しながらも「当たり前」の様に振るまってしまう、ダメな俺...っっっ。
と、落ち込んでいるヒマはない!!
....皆、この作品がどうなるのか...不安と期待の中で、カメラの前に立っていた。
勿論、俺自身も。
みんなの芝居を見ながら、だんだん、俺の中にあるモノが固まってくる。
朝礼のシーンで、一人一人のアップを撮る長廻し....。
「カット!」と俺が、声をかけると、三ちゃんがやっと息をする。息を止めているのだ。
良いカットが、撮れた時は、笑顔が見える。
この笑顔が俺のガソリンにもなる。
どんどんガソリンがたまる。役者やスタッフが俺にガソリンをくれる...。
...で、次ぎのカットは...っと「カット表」が無いっっ「みやわきい!」と叫ぶ。
「これですかあ?」と三本木。「....ああ..そう...それそれ」
...皆の冷ややかな視線を感じ乍ら撮影、深夜に終了!
役者たちは、そこでバレて、皆で酒を飲んでたりするのだろうが、
俺は、その後にVTRでチェックがあるので、そうはいかないのである。うーっ。
そして次の週(皆、働いている為、撮影は土日中心なのである。)
旧真空鑑(劇団である)のアトリエで取り調べ室のシーンを撮影。
このシーンの撮影は辛かった。アトリエの空間は大好きで、芝居するのは良いのだが、
ちょっと詰め込みすぎたか?!
1日14時間。ほぼ、ぶっ続けで2日続けたので、皆、本当に疲れた様子だった。
いつもは、皆の様子にいち早く気付くんだが、此の時は、さっぱり気付かなかった!
俺は、1度、8mmの映写機のを照明にして、撮ってみたかったのだが、それも出来て面白かった。
そして、いよいよわが家で、ベッドシーン及び、雨のシーンになるのであった。
3日間、ずっと、すっ裸で頑張った尊敬すべき女優、桐野!
首を切るシーンでは、買って来た2万5千円のコンプレッサーは全くの役立たずであり、
結局「オルガン」の時にもやった「ホース形式」で、血を吹き出させた。
(ただ、ホースを喰わえて、吐き出すだけ...)一発勝負だったのだが、見事に決めてくれた!
このベッドシーンの撮影は、三ちゃんと俺と桐野、そして猫(この猫は、交通事故で死んでしまったが...)のみでの撮影。
ビミョーなシーン故、話し合いながら、なかなか、カメラも回さず、贅沢な時間を過ごしたのである。
贅沢な時間といえば、俺の作った、冒頭と、エンドロールに出てくる地球の撮影も贅沢であった。
グラスファイバーの星や、豆電球を入れた地球を操作しながら、皆、子供の様に愉しんでいた。
まだまだ、ここに書き切れない様々なエピソードがあるが、近い内に、また、書き込もう!
(多分、無いが...。)
とにもかくにも「アイノ・ウタ」に協力してくれた皆!!ホントにありがとう御座居ました!!