〜 Φ Ψ 〜


          〔祈り:六道説諭〕


 『華厳経』では、三界唯心といいます。三界とは欲界・色界・無色界。後二者は高度な瞑想状態のなかで到達される心的世界といえます。欲界はさまざまな欲望に支配されている心的世界で、地獄・餓鬼・畜生(傍生)・修羅・人間・天(六欲天)の六道からなります。これらすべては唯だ心の作り出したものであるというのが三界唯心の意味です。ですから、あなたのなかに少なくとも六道があります。そこで、この六道説諭はあなたの(無意識の)心への呼びかけでもありますが、あなたが未来に赴くかもしれない六道世界の衆生への祈りとして、あなた自身が行なってもよいでしょう。威圧的な感じがするならば、命令形でなく勧誘表現で祈ってもよいと思います。そのときあなたは、菩薩の慈悲行を行なっています。



●地獄界の者たちよ。汝、迫りくる災厄のなかで外に向かって安穏を求むるなかれ。外の苦海は必定なり。汝の内なる不苦不楽のほのかな灯へと向かえ。

●餓鬼界の者たちよ。汝を焼き尽くす欲望の炎から離れよ。欲望の炎は別の欲望に火をつけ、汝の望むあらゆるものは、それによって焼き尽くされる。欲望がすべてを破壊し、汝を飢えさせる。求むべきものは、それを敢えて求めない者のもとにこそやって来る。満足は無欲のなかにこそある。物惜しみせず、何ものも求めず、何事もありがたく受け容れる者となれ。

●畜生界の者たちよ。おのが肉体の生命と快楽とを貪り、怠惰と放逸のなかで暮らすことなかれ。粗暴な言葉を吐き、殺生されるものの苦に無知なまま、弱肉強食の世界を生きることなかれ。これらから汝の心に穢れが生ずる。無知の闇から生ずる貪りや怒りや怠惰から離れ、汝の心根を清めよ。

●修羅界の者たちよ。この世に毀誉褒貶は絶えることなし。汝が受けた傷の痛みに耐えて、怨みを他者に向けることなかれ。敵を倒す者は勇者ならず。己の不名誉や怒りに動じないものこそ真の勇者なり。汝が安穏は闘いの内にあらず、闘いの果てにもあらず。闘いを離れてこそ汝の喜びと安穏は見いだされる。

●人間界の者たちよ。他人を騙すなかれ。自分にウソをつくなかれ。ただまっすぐに真実を見る者には、真実しか存在しない。真実の前では、真実でないものは愚かさでしかない。汝が騙そうとしたその瞬間に、真実はすでに汝のウソを見抜いているのだと知れ。

●天界の者たちよ。愛着こそが汝の最大の煩悩なり。安楽に ( なず ) みて我を忘ることなかれ。我を忘れて業を重ね、今ある安楽を ( けが ) すことなかれ。清浄なる楽こそが修行の糧なり。糧あるうちに我に目覚めてその糧で菩提を育てよ。


願わくは あらゆる生ける者たちの 無上の悟りに赴かんことを。






〔2004年 6月23日〕
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