水枕の歴史
ダンロップホームプロダクツ「ダンロップ水枕70年の歩み」からの抜粋です。

国産初のゴム引き製水枕と貼り合わせ水枕

我が国に水枕らしきものが登場した記録は、明治5年(1872年)京都博覧会に海外から(国名は不明)ゴム枕が出品されたそうです。また明治11年(1878年)刊行された「医科器械図書」には水枕が紹介されています。翌明治12年(1879年)から本格輸入され貿易年表に記録されています。明治36〜7年(1903〜4年)には兵庫県住吉のラバー商会が国産初の水枕を製造しました。この水枕は、布にゴムのりを塗り、枕の形に貼り合わせたもので「ゴム引き製水枕」と言ったそうです。締金は木製の「締め木」が付属していました。この水枕は日本で最初に作られた医療用ゴム製品であったそうです。明治42年(1909年)には、浪華ゴムの前身である、浪華ゴム製造所大島商会がアメリカグッドリッチ社のネジ口付総ゴム製水枕を参考として「白色ゴム水枕口金付」を完成させました。この水枕は現在のゴム製湯たんぽを大きくした形で、口金が真鍮製(ネジ口)でした。明治43年(1910年)には、口金を真鍮製(ネジ口)から締め金具にした水枕を発売し、真鍮製(ネジ口)に比べて安価であることから販売量も多かったようです。締め金具もこの頃にほぼ完成しました。締め木は不完全であることが多く水漏れが発生したため宇都宮商店(現在の宇都宮製作株式会社)の創業者 宇都宮 宇作氏が改良して「コマ付締め木」を完成させその後、金属製になり約90年以上現在でもその形は不変です。この頃の水枕の価格は、3円50銭と伝えられ(ネジ口付か締め金具タイプかは不明ですが)大正時代に入ると総ゴム製の貼り合わせ水枕が多く製造されるようになり、ゴム引き製水枕は次第に姿を消していきました。

現在の型製水枕の発明(シームレスタイプ)

大正12年(1923年)ダンロップ(極東)が国産初、当時は革新的技術であるシームレスタイプ水枕の開発に成功しました。シームレスタイプ水枕とは、現在発売されているゴム製水枕の形で、二枚のゴム板を「たいやき」の様に挟んで熱を加え、溶かしてゴムの袋を作る技術です。この技術が開発されるまでは、二枚の水枕型のゴムの板を貼り合わせる手法がとられていたのです。当時ダンロップ水枕の形は、現在までほとんど不変です。表面には、弓矢の矢にある、矢羽根模様、J.B.ダンロップの肖像(髭のおじさん)、英語での注意書き、SEAMULESS DUNLOPの商品名が描かれています。

激動の昭和時代、日本人の健康を支えた水枕

昭和元年から昭和2年にかけて東京を中心にインフルエンザが大流行し、水枕が爆発的に売れたそうです。昭和3年には、三百番水枕、イージー水枕など多くのメーカーが水枕を発売しました。その後、昭和15年9月8日水枕の統制価格が設定され小売価格(型製水枕)となりました。また太平洋戦争時には、軍隊へ多くの水枕が納入されたそうです。沈没した潜水艦の中から防水のため水枕に入れて封を閉じた乗員の遺書が発見されたこともあったそうです。昭和23年医療用ゴム製品の統制価格が撤廃され自由価格に移行しました。昭和25年再びインフルエンザが大流行し水枕が飛ぶように売れました。この頃から水枕の全盛期の始まりでしょうか。昭和31年には、小島ゴムから、ベスト安定水枕が発売されました。ベスト安定水枕の特徴は、頭のぐらつきを抑えるために水枕の内側を接着した、当時としては画期的なタイプの水枕でした。

統制価格時の型製水枕の値段

昭和15年 9月18日 1円67銭
昭和19年12月28日 2円48銭
昭和20年 8月20日 4円
昭和21年 1月26日 16円
昭和21年 5月 8日 不明
昭和22年 4月 1日 25円36銭
昭和22年 7月 5日 25円10銭
昭和22年10月 4日 59円

昭和27年からのダンロップ水枕の価格推移

普及型水枕 安定水枕
昭和27年 350円 未発売
昭和30年 480円 未発売
昭和41年 600円 750円
昭和46年 800円 1000円
昭和47年 1000円 1200円
昭和48年 1200円 1400円
昭和49年 1500円 1800円
昭和50年 1700円 2000円
昭和53年 2100円 2300円
昭和59年 2200円 2500円
昭和60年 2400円 2700円
平成元年 2600円 3000円
平成3年 2800円 3500円

氷のいらない氷まくら」アイスノンの発売

昭和40年7月(1965年)白元から「氷のいらない氷まくら」のキャッチフレーズでアイスノンが発売され、半年で約100万個の売上が記録される大ヒット商品になりました。翌昭和41年には400万個も売れ空前のヒット商品に躍進しました。同時に水枕は売上が40パーセントも落ち込み「近いうちに水枕はなくなってしまうのではないか」とまで言われるようになりました。その後水枕の持つ耐久力、心地よい冷たさ、感触の良さが見直され昭和44年から45年にかけ販売量も回復しました。

 平成時代の水枕

昭和の時代を象徴する水枕も絶滅するのではないかとささやかれましたが、ブログなどで水枕の持つ良さが見直され少しずつ目にする機会も増えました。平成18年ころには、「おやすみひつじ ひんやり水枕」が発売されたり、木下ゴムが日本人の体格に合わせた従来より一回り大きい改良された水枕を販売するなど少しずつ見直されています。