ゴム製水枕の種類
ゴム製水枕(氷枕)は乾性冷罨法に分類され、クーリング
[cooling] とも言います。専門用語では、ひょうちん(氷枕の音読み)と読みます。種類は、大人用水枕、子供用水枕があり、大人用は、普及型およびボックス型の二つのタイプがあります。
このページでは、発売当時から変わっていない昭和を代表する不朽の名作「普及型水枕」(平枕)そして改良型であるボックス型水枕について調べてみました。普及型水枕のサイズは長さ約48×巾22センチ、重さ約500グラムです。天然ゴム製で職人さんによる一つ一つ手作りです。ボックス型水枕のサイズは、長さ約48×巾18センチと、巾を狭くして肩を冷やさなくし、中央部を接合して水を入れた際に、頭がぐらつかず安定するように作られています。そのため安定型と呼ばれることもあります。
生ゴムに薬品を加えて、配合ゴムをつくり、その後厚さ1.15ミリのゴム板を作ります。水枕より一回り大きいサイズに切り抜いた2枚のゴム板を用意し、張り合わせます。張り合わせには、水枕の内側の形をした金型を、2枚のゴム板で挟み、外側から鯛焼きのように水枕の金型でさらに挟み込みます。高温高圧で加熱し、2枚のゴム板が袋状の水枕に変身し,冷えたところで、内側の金型を取り除くのです。内側の金型は水枕の口から取り出すそうですが、さすがに天然ゴムの特性で、無理なく?広がり取り出すことができるそうです。合成ゴムでは天然ゴムほど伸びにくいため、未だに水枕は天然ゴム製なのです。このように一つ一つ手作業で作られているのです。でしたが平成21年初のシリコン製水枕が発売されました。水枕史上初のシリコンゴム製です。
日本のゴム工業の始まりは水枕から
水枕は、明治36、37年(明治27年の説もあります)ころ兵庫県住吉のラバー商会で誕生しました。日本で最初に作られた医療用ゴム製品です。当時の水枕はゴム引きの布を枕の形に貼り合わせ、木製の締め木が付属していました。日本で最初に作られたゴム製品だそうです。明治42年ころには、イギリス製ゴム製湯たんぽの形をした白色ネジ口氷枕が登場しました。このころの水枕は貼り枕と言われ、手貼りだったそうです。現在の型製水枕は「シームレス枕」とも呼ばれ、大正12年にはダンロップが生産を開始しました。大正14年に浪華ゴムでも作られ、現在までモデルチェンジされていません(ボックス型水枕は改良型ですが) 現在の水枕に使用されている、口金は、正式には「コマ付締め金」と呼ばれ、明治43年ころ宇都宮商店(現在の宇都宮製作株式会社)「宇都宮 宇作氏」が発明したもので、これもまた当時そのままです。昭和14年8月に実施された臨時国勢調査ではゴム製氷枕が調査対象でした。当時から生活必需品であったことが伺えます。水枕は、平成12年8月日本テレビ「おもいっきりテレビ」で夏の安眠、ストレス解消にゴム製水枕が紹介されて、再び脚光を浴びる機会に恵まれました。流行の保冷枕は、手軽な反面、いつ使うのかわからないのにいつも冷凍庫を占領し、氷点下20度と極端に冷たい等の欠点があり、水枕の自然な冷たさが、心地よいのです。水枕と言うと氷をたっぷり入れて使うと思われがちですが、真夏以外ならば、水道の水だけでも十分気持ちいいものです。普通の枕の「もわっ」とした暖かさが苦手な方には、水だけの水枕がお勧めです。ただ天然ゴム製ですから、ゴムの臭いが強いのは否めません。使っているうちにゴムの臭いは少なくはなるもののこれが苦手な方には、ちょっと?です。昭和30年代の水枕全盛期には各社から普及型水枕が販売されていました。
ボックス型水枕は、昭和40年ころに普及型の改良型として発売されました。ベスト安定水枕が当時ヒットしたそうです。現在では、普及型よりボックス型水枕の需要が多いようです。
私は、水枕を調べるために資料収集をしました。ダンロップホームプロダクツからは、水枕の歴史がすべて網羅されている同社刊行「ダンロップ水枕70年の歩み」をお借りし、平成17年には創業100年を迎える浪華ゴム工業は、資料から、コピーまで送付していただきました。(澤森様より)また雑誌で取り上げられている水枕の取材先も同社が多いです。良い物は末永く作っていこうと言う堅実な社風が感じられます。水枕は年々販売数が減少しているそうですが、発熱には水枕と言う根強いファン?が多いのも事実です。
水枕は日本の文化です、今でも年間85万個の生産量。海外での入手は困難です。海外赴任の際はぜひ持参してください。
なぜか水枕表面にある説明書きは英語です。
発熱、頭痛などで後頭部を冷やす習慣がある国は、日本、お隣韓国、中国、台湾があります。医療用具として頭を冷やすためのゴム製水枕を検索したところ、「韓国、台湾、ベトナム、インド、タイおよびドイツ」のメーカーが販売していました。それ以外はイタリヤのアンティークショップに出品されているほか純粋な水枕はほとんど見当たりません。韓国、台湾のホームページには、(漢字なのでなんとなく意味がわかる)氷枕の作り方が日本と同じように、
「氷を枕の三分の一から半分くらい入れ、水を入れて封をする。漏れを確認して布にくるんで当てて適宜交換する。」
とあります。
海外にて暮らす日本人を対象とした、持参すべき生活用品の中にも、水枕、保冷枕は現地での調達はほとんど不可能で日本から持参すべきであると紹介されています。
もっともオカモトは、水枕をスリランカで製造していますが、あくまでも日本用です。そのかわりに海外では、水枕そっくりの湯たんぽを使っています。この湯たんぽは、世界共通で、お隣中国からアフリカまでも同じ形で同じ用法で使用しています。ほぼ同じ物を「冷やす」「暖める」と両極端な使用方法も珍しいものです。面白いのは、海外であまり使用されていない割には、水枕の表面の説明書きは、すべて英語です。海外のゴム製湯たんぽスケルトンからハート型まで遊び心十分ですが、、水枕は、色も一部を除いて、ほとんど赤茶色です。ダンロップでは、別の色も考えたようですが、販売には至りませんでした。今の時代ですから、若者受けする、スケルトン、グリーン、ブルー、イエロー等の遊び心があっても良いのではないかと期待しています。

普及型水枕
ボックス型水枕
赤茶色の不思議