日々つれづれの、他愛ないお話。なんか、ふーんて感じの。

ハイテクおばあちゃん

こないだ、地下鉄の駅の階段を降りていた時のこと。
紬の着物をスカっと抜き衣紋で、いなせな着こなしっぷりの女性がいました。
年の頃からいえば「おばあちゃん」て感じです。
しかしフト見るとおばあちゃん、スタスタと歩きつつ携帯メールを打ちまくって
いるのです。
若い人がソレをしてるのを見てもあんまりそう思わないんだけど、いや、
カッコ良かったですわ。



即興

子供ってのは歌を作っちゃうのがウマイもんです。
電車に乗り合わせた5才くらいの男の子、即興で作った
歌をつぶやくように歌い始めました。

 ♪あおじるぅ〜 あおじるぅ あおじるぅるぅ 
  るるぅる〜〜

 青汁の歌。しかもバラード。




てんこもり

子供ってのは時として少ないボキャブラリーをナイスなフィーリングでカバーします。
ある日、ああもお、うざってえ〜ってくらい混んだ電車に乗りました。
暖房と人いきれで息がつまりそうなその車内に、3才くらいの男の子の、
鈴を鳴らすようなカワイイ声が響きました。
「おかあさん。いやだねえ、こんなやまもり」
そうだね、君の言う通りさね。今の今まで「ド畜生ぉ」くらいな気持ちで荒んでいた
大人のココロも、ひたひたと癒されてゆくのでした。




慌てん坊将軍

プルルル。ある日の電話。ナンバーを見ると見覚えのないものなので、
「ああ、多分間違いだろうな」と思いつつ出てみました。
相手は中年ぽい女性で、こちらの「もしもし」の声に、あからさまに動揺している様子。
そして、こうおっしゃいました。

「どちらさんですか?」
 
おばちゃん、聞きてえのはコッチさ。





慌てん坊将軍・2

 プルルル。また、とある日の電話。相手の方は30〜40代の男性。
 これって絶対ふんぞり返って喋ってんだろうなあという感じで、開口一番、
 「ア、社長いるぅ?」
 思いっきり秘書のような営業用の声で、慇懃にこう答えてやりました。
 「大変おそれいります。どちらにおかけでしょうか?」
 明らかに「はれ?」となった相手の方は、間違った事には気付いたものの、
 『
どういった場所に間違ってかけてしまったか』という認識が追い付かず、
 対応に混乱を来たしているようでした。
 「……あーっと、え〜〜〜。……◯◯工業様……ではございませんですか?」
 もうふんぞり返ってはいないだろうその声は、かなりの緊張感が。
 「いいえ、こちらは違いますが」
 「あッ、大っ変失礼致しました!」
 「とんでもございません。失礼致します」
 最後は絶対『気をつけ』をして喋っていた口調でありました。
 電話をかけるのを側で見ていた人は、きっと面白かったろうな♪




沈黙は金

 地下鉄で、ふと「日能研」の広告が目に入りました。クイズ形式で
 色々な設問が載っていて面白いアレです。
 どこかの中学校の入試問題がそこには出されており、
 『( )の中にはそれぞれ漢字一字が入ります。この流れでいくと最後の( )には
  何が入るでしょう』
 といった問題で、

 1.( )夜にちょうちん
 2.( )のないところに煙は立たぬ
 3. 焼け石に( )
 4.( )に竹をつぐ
 5.(?)

 となっておりました。あーなるほどねえ、と思ってそのまま広告から目を離しました。
 程なく着いた駅で、開いたドアからどやどやと高校生らしき一団が乗り込んで
 来ました。
 ドア際にいたので、その一団にぐるりと背を囲まれる形になってしまい、
 漲る若さと、漲る声量がきゃいきゃい降り注がれました。
 うっせえ。はっきり言って。
 一団はふと上にある、件の広告に目をやりました。
 「ねえねえコレ、なんだろう?」
 「闇夜に提灯? ってアタリマエじゃんねえ」
 アタマの後ろでぎゃいぎゃい騒ぎつつ、彼等はようやく答えを出しました。
 「あ、金かあ」
 「金のつくことわざって、なんかあったっけえ?」
 「……あ、『沈黙は金』!!」
 「すっげえ〜! オレわかんなかったよ〜」

 君らに必要なのは、その意味を知る事だよ。



●煩悩の死神博士じいさん

 ある日、街中を歩いておりました。、待ち合わせの場所に急ぐべく、
 新聞社の横を通り抜けようとした時、前から白髪のじいさん(死神博士似)が
 自転車によれよれと乗って、歩道を走って来ていました。
 お、ちょっと危ないか。そう思った自分は気持ち徐行しつつ歩きながら
 それでも向こうもよけるだろうと考えていました。
 さて、まさにもう少しでスレ違おうかというその瞬間、なんとじいさんは
 ぐりゅん!と真横にハンドルを切り、目前を横切って新聞社の壁に向かって止まり
 カッと視線を固定しました。うおっ、危ねい! なんだじいさん!?
 じいさんの視線の先には、壁に見本で貼り出されたスポーツ新聞の一面が。
 それもアップで、寄せチチの金髪のおねーちゃんがデカデカと。
 老いてなお自らの危険なぞ顧みず煩悩に邁進するその姿は、むしろ清清しいものすら
 感じさせるのでした。


●本名

 
とある待ち合い室。長い待ち時間にあらかた面白そうな雑誌を読みおえ、
 ふと、「アニメ絵本」なる子供向けの小さな本を手に取りました。
 タイトルは「赤ずきんちゃん」。
 なるほどアニメチックで、ジブリ派っぽい印象の絵柄です。
 誕生日に赤いずきんをもらった女の子は、赤ずきんちゃんと呼ばれ
 おばあさんのお見舞いに行きます。
 久しぶりに見た童話絵本に、あーこんな話だっけと思いながら読み進むと、
 何やら子供の書いたらしい落書きが、そこここに出てきました。
 文中のセリフのかぎカッコの上に矢印を引き、人名が書いてあるのです。
 「?」と思ったもののふと見ると、絵の方にも名前が。
 どうやらキャラの名前を勝手に設定した様子でした。
 おおかみは『まもる』
 猟師のおじさんは『ジョン』
 おおかみに栗をぶつけたリスは『りか』
 おばあさんは『ゆうき』
 そして、主人公である赤ずきんちゃんはと言うと、

 『コロ』

 VIVA!って思いました。


●ダブるシアワセ
 
 
アイスクリームの「ピノ」。昔からあるのですが、最近出ている
 大箱に個別包装で入っているのが食べやすくてイイ感じです。
 で、箱の外を見たら、怪盗ルピノなるおっちゃんのコメントがついていて、
 「幸せのピノ」という特別なピノが、時々入っているらしいとの事。
 しかしそれがどういうモノなのかは一切書かれていなかったので、
 なんとなく忘れかけていました。
 とある日。あれ?と思ったらハート型のピノが。おおコレか幸せのピノ!
 珍しいのでまずダンナに。そして自分も次のピノをあせくっていたその時。
 なんとまた、幸せのピノが!!
 今まで全然出なかったのに、二つも。こいつは縁起がいいやね♪
 と、自分も頬張りながら、あらためて箱のルピノさんのコメントを読んでみました。

 『我輩は怪盗ルピノであ〜る。世界中から「幸せ」を盗んでピノ箱の中に
  隠しておいたぞ。この中にも入っておるかも……。
  君たちに見つけることができるかな』

 盗んで来たシアワセなのかいコレ!?
 あたしゃお前をそんな子に育てた憶えはないよ。盗んで来たシアワセをもらって
 かあちゃん喜ぶとでも思ってるのかい、ルピノ!! 
 などと、昔のドラマの田舎の母親のような事を考えながら喰いました。




●ダブるシアワセ(大漁編)

 
昨今の食玩(フィギュアなどのオモチャの入っているお菓子)の
 出来の良さには目を見張るモノがあり、とりわけ私には、
 海洋深層水「MIU」についている、海洋堂が作った深海生物フィギュアには、
 どうにも抗い難い魅力がありました。
 シリーズ第二弾の頃、コンビニ主流展開になったらしく、大手スーパーには
 置かれなくなり入手は少し困難になって来ました。
 それでも自転車を走らせていける距離のコンビニにある事が判り、
 時たま出掛けては、楽しみにちまちまと買っていました。
 ある日。
 「ナニコレ?」という物が入っていました。こんなの説明書に書いてないぞ? 
 それはシークレットと呼ばれる物で、公表されずにこっそり入れられている
 いわゆるレアアイテムでした。あめ色のダイオウイカに食らいつき死闘を
 繰り広げている、雄々しきマッコウクジラの姿がそこにはありました。
 ああっ、嬉しい♪ こんなの見た事も聞いた事もなかった。
 そして次にコンビニに行った日、なんとまたマッコウクジラは我が家に来ました。
 やったあ! トモダチにあげよう。
 そして。程なく仲間を追うようにクジラは3頭目が姿を現しました。
 「これ……本当にレアアイテムなんだろうか」
 さすがにそんな疑問も頭をかすめる頃、4頭目までもがおっつけ打ち上げられました。
 もう笑うしかありません。でも、トモダチに分けて喜んでもらいました。
 そしてしばらく経った頃。
 既にキャンペーンも終わったというのに、どこから在庫をひっぱり出して来たのか、
 市内のスーパーで少量ながらフィギュアつきのMIUが置かれました。
 実は私には、レアではないのにどうしても1種類だけゲット出来ないものが
 あったのです。
 つい「あとこんだけ」と5本のMIUを買いました。
 果たしてその中には、ゲット出来なかった深海魚の替りに、5頭目のマッコウクジラの
 勇姿がどどーんとあったのでした。

 先頃、マッコウクジラが多数漂着して町ぐるみの騒動になった海岸のニュースを見て、
 一般の人より3割増しくらいのなんとも複雑な気持ちがしました。
 



●らんち

 用事が昼過ぎまでかかってしまい、とあるソバ屋さんでお昼にしました。
 出された茶なぞをすすっていると、程なく食事が運ばれて来ました。
 「おまたせしました。天むすとあたたかいおソバになります♪」
 若いおねえちゃんがニコヤカに言い、目の前に置いてくれたソレを
 割り箸をパキリと割って食べ始めました。
 するとしばらくして、また店員のおねえちゃんが、ついと目の前に
 現れたかと思った途端、モノも言わずにタン!と何かが置かれました。
 それはひんやりナミナミと、グラスに注がれたビールでした。
 『あれ? 注文してないのに?』 『誰かのオゴリ?』
 『もしかしてランチにビールがつくのかな?』
 と、一瞬ぐるぐると思考が逡巡したそのスキに、おねえちゃんは
 フイときびすを返し、店の奥に引っ込んでしまったのです。
 しかし、つい立てを隔てた隣のおっちゃんが、そういやさっき2杯めの
 ビールを頼んでいなかったか。するとテーブルをひとつ間違えたんだろうな。
 「あのう、すみませーん」
 二つ隣のテーブルを拭いていた別のおねえちゃんに声をかけました。
 でもシカト。さらにそのおねえちゃんも店の奥に引っ込んでしまったのです。
 「ああああ、あのう」
 ビールの泡はへろへろと減ってゆく。おっちゃんのビールが危機です。
 どうしよう。しかもこんな時に限って、店員さんが皆奥に引っ込んで
 しまったってのはどういうワケなのか。
 緊迫の2分間を経て、新しいお客の一団が訪れ、注文を取る為
 店員さんも出て来ました。今だ。目でしきりに訴えながら「すみませえん!」
 一瞬おねえちゃんは「なんの用なの、この人」という目で私を見ました。
 最初の態度とえらく違います。
 「はい?」
 「あの、こちら、お願いしてないんですが」
 とビールを指差すと、きょとんとしたおねえちゃんは前掛けから
 紙切れを取り出すとありゃーという感じになり、
 「ああッ、すいません! 隣ですね!」
 と、その泡の沈んだビールを「お待たせしました、クラシックになりますぅ」と
 隣のおっちゃんに渡しました。私の緊張はピークに。おっちゃん怒るんじゃないか。
 しかしおっちゃんは黙って、そのビールを受け取りました。大人です。

 あの空白の2分間に店の奥で何があったか、解るような気がしました。
 「昼間っからビールなんか頼んじゃってさ、あのオンナ」とか言われていたの
 でしょう。
 でも、他人のビールを心配して緊張する自分もまた、ちょっと情けないと思いました。


●サンリキさん

 最近話題の直木賞作家「山本 一力(やまもと いちりき)」さんを見て
 思い出した話。
 かなり前の事ではありますが、どこぞから電話がかかって来ました。
 「あの、ご確認でお電話させて頂いたんですが、サンリキさまはいらっしゃいますか」
 「はい?? ……え、えーと、ウチには『サンリキ』という者はおりませんが」
 なんだそのジーサンぽい名前は。
 相手の方は若い女性で、先日何かの手続きをした会社の名を名乗られました。
 電話番号や住所、苗字も合っています。でも、だ、誰ソレ?
 ウチの苗字はありふれているのもあり、ちょうどその頃、
 郵便物の誤配、未着などがいやんなるくらい続いている時でした。
 更に同じアパートの部屋に過去住んでいた人がたまたま同じ苗字で、
 カードローンの住所を長いこと変更手続きをせず、現在の我々の
 住所のままにしていたようで、返済分を何かのタイミングで払い損ねたのか
 請求書が舞い込んで来た事や、その人の子供であるらしい名前を指して
 進学塾の案内のハガキまでが。どうやら身元を追求されたくないものには
 昔の、つまり今のウチの住所を使っているらしいのでした。
 知らない所で、ウチの住所が悪用されてるかもしれないという
 懐疑の念が高まっている時で、いぶかしむこちらの様子に相手も困惑しています。
 「確かに『サンリキ』さまで書類を頂いている筈なんですが……」
 「どういった字になってますか」
 「漢数字の『三』に、『力』で、サンリキさまとお読みすると思うんですが」
 「………………………それ、『ミカ』ですわ。カタカナの」


●もちだんご村はどこにある

 もうずうっと前になりますが、美味しいおせんべいをもらいました。
 ふんわりサクサク。今まで食べたせんべいの中でも一番といっても
 過言ではないくらいの美味しさでした。
 ふと、私は箱の中に入っていたアンケート用のハガキを見やり、
 そしてそこに書いてある住所に目を見張りました。

 福岡県直方市下境字餅米 もちだんご村 餅乃神社前 

 「!?」
 実在していなければ、商売モノの返信ハガキに書く筈もないのですが、
 この平成の世にこんな民話ちっくな住所が実在しているのだろうか。
 あらためて調べてみると、マピオンなどの地図検索は、悩んだ挙句に
 エラーという答えを出しました。するとやはり実在しないのでは……。
 更に調べを進めると、件の会社のホームページがありました。
 そして、『よくある質問コーナー』では、やはり
 「もちだんご村、餅乃神社というのは実在するか」という質問が
 多数寄せられたらしく、「証拠写真」として餅乃神社前バス停の
 画像が掲げられておりました。
 どうにも、近代的な工場の中にしつらえられた囲炉裏端で、
 おばあちゃんとかおじいちゃんとかが、1コ1コ焼いて作ってるような気がして
 なりません。





 

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