時期遅れ納涼緊急特別番組

飛び交う無数のオーブ(霊魂)、人魂に浮かぶ影。

夏の海辺に突如現われた「それら」は、何を訴えているのか。


美人局アナ(以下、美人局)←ツツモタセニ非ズ
    
皆様こんばんは。えー本日は、とても奇妙な体験と謎の物体が写った
    写真を撮ってしまったという、大河内源ノ丞さん(仮名)を
    緊急特別ゲストにお招き致しまして、霊能力者の
    じろだ☆つのお先生に専門的な見解をお聞きしながら、
    検証してみたいと思います。本日はどうぞ宜しくお願い致します。

大河内源ノ丞<仮名>(以下、大河内)
   
宜しくお願いします。

じろだ☆つのお(以下、じろだ)
   :どうも、宜しく。

美人局:えー早速ですが、大河内さん(仮名)。その奇妙な体験というのを
    お話頂けますか。

大河内:あ、はい。実はですね、先日海に行きまして、その時に起こった事なんですが、
    始めは皆で楽しく過していたんです。で、その内私はトイレに行きたく
    なりまして、少し離れた場所にある、トイレに行ったんですね。

じろだはアッッ!!

美人局:ぅわっ!? あっ、じろだ先生、霊視です! 早速霊視に入られてます!

じろだ:むうううん! ……ふゥ。あのー、アレですね。よく工事現場なんかに
    あるような感じのトイレじゃないですか。

大河内:あっそうですそうです! その通りです。

美人局:いわゆる「仮設トイレ」……といった感じの?

大河内:はい、そんな感じの場所でした。
    それで、入りましてさあと思った時……!

美人局:まさに「さあ!」という時に!?

じろだ:ふウウウウンッ! はい、
    今まさにズボンに手がかかってますっっ……!!

美人局:ああっ、じろだ先生! そのシーンは、そのシーンは霊視しないで下さい!
    放送出来なくなりますので!

じろだ:お、これは失礼。はっはっは。

大河内:で、その時に頭の上で、「ボゴン!」という大きな音がしたんです。

美人局:大きな音!? じろだ先生、これは……?

じろだ:典型的なラップ音でしょうね。特にこのお盆前後の時期、
    海や川、そういった水場に霊は集まりやすいんですね。
    それで、自分の存在を示す為にラップ音などを立てるわけです。

美人局:は、なるほど。
    で、その大きな音の後は、何かあったんでしょうか大河内さん。

大河内:それで思わず天井を見ましたら、天井のプラスチック板を通して
    くっきりと「水掻き」のようなモノが見えていたんです。

美人局みずかき!!???  

会 場ヒャァ〜〜〜〜!

美人局:どうでしょうか、じろだ先生。
    何かそれについてお感じになられますか!?

じろだ:むうう……これはですねえ。やはりこの海で亡くなった方の霊ですね。
    3年程前の夏、ここに遊びに来て溺れて亡くなられてます。
    若い女性ですね。
    ジャニーズ系アイドルなどが好きな方だったようです。

美人局:?? あ、はい。さすがはじろだ先生。細かい所まで霊視なさってます。
    それでじろだ先生。この「水掻き」というのは? 
    私どもなどはそう聞くと思わずこう「半魚人」であるとか、
    水に関係する妖怪めいたものを想像してしまうんですが……。

じろだ:はい、まあ水場で溺れて亡くなった方ですから
   「私にあの時水掻きがあればなあ」という無念さが残っているわけです。
    その念が何か妖怪のような形をとって現われてるんですね。

美人局:……………は。えっと……そ、そうなんですか。
    えー、こちらにですね、その時の様子をスケッチして頂いた
    フリップがありますので皆様ご覧下さい。

会 場キャァア〜〜〜!(叫ぶ観覧バイト)

美人局:これは〜……水掻きですね。間違い無く。
    はい、それで私共の番組では、科学的な検証をすべく、
    百科辞典の編纂などもされており、生物・妖怪など色々な分野にお詳しい
    専門家の先生の御意見をお伺いしたいと思います。
    今、電話が繋がっていますか? もしもし、アラマタ先生?

アラマタ北野(以下、アラマタ)
   :ハイ、もしもし。アラマタです。

美人局:あ、アラマタ北野先生でいらっしゃいますか。
    本日は宜しくお願い致します。早速ですが、先生
    このフリップをご覧になられて、先生のご見解というのは?

アラマタ:う〜〜〜〜〜ん。これはですねえ。
    水掻きを持つ妖怪……という事になりますと代表的なものは河童」
    しかし海ですから、その可能性は低いですね。その他ですと、
   「陵魚」というのがいますが、これは魚の体に人の顔と手足なので
    水掻きはないかと思いますね。
    あとですねえ「磯女房」。これが姿は普通の人間ですが、
    手には水掻きがあると言われています。

美人局:磯女房……!

アラマタ:はい。ですから便所の天井にカモメでも
   乗っかったのではない限り
その可能性はありますね。

美人局…………!

  
一同硬直。ディレクター蒼白

美人局:あああのえっと、アラマタ先生、お忙しいところ有難うございました!
    また、後程ご意見をお伺いします。失礼致します!

アラマタ:はい。あ、そういえばそれカモメの…(ぶちッ!)

いきなり電話が切れ、唐突にCMに突入。

美人局:はい、謎の水掻きは妖怪「磯女房」かもしれないという
    専門家の先生の御意見に、我々も恐怖を新たにしたんですが、
    更に、この日の夜、大河内さんが撮影された写真の中に、
    どうにも不可解なものが写っているという事なんですが、
    大河内さん、その辺りを詳しくお話頂けますか?

大河内:はい、夜になってですね。皆で花火をしようかという事になりまして。
    それで、その時何故そう思ったのかは分からないんですが、
    ふと、夜の海の写真を撮ったら写るのかなあといった感じで、
    デジカメのシャッターを切ったんです。

美人局:そして、その時の写真がこちらですね。

会 場ぅわ〜〜〜〜……

美人局:何か無数の光の玉が写ってますね。
    じろだ先生、いかがですか。

じろだ:これは、う〜ん。典型的なオーブ(霊魂)ですね。
    しかも数が多いです。海のような水場、特に夜は
    さまよっている霊がこのようにして集まって来ますからね。

大河内:一枚撮ってアレッって思いまして、漁り火とか、何かの光の
    加減かなとも思い、少し下がった駐車場の所でもう一枚撮ったんです。
    それにも沢山同じようなものが写っていまして、
    さすがに怖くなってしまったんですが……。

じろだ:あ〜、この一帯で、昔何かありましたね。あと、ここの場所がですね、
    霊を呼び込みやすい磁場があるんでしょうね。

美人局:はい、じろだ先生の霊視も熱を帯びてらっしゃいましたが、
    大河内さん、その撮られた時の様子というのを
    もう少し詳しくお話頂けますか。

大河内:えーとですね。そう、夏とは言ってもなにやらうすら寒い感じでした。
    それが霊気のせいなのか……とは今になって思う事なんですが。
    昼間も海の色もどんよりしていましたし、どことなく不気味な雰囲気でした。
    今年の夏は雨ばかりで、この日も少し霧雨が降っていましたし……。

美人局:? ……えっと……、コレはフラッシュを焚かれて、撮影されたわけですよね?

大河内:はい、夜でしたから。

 一瞬何か言いあぐねる司会者。ディレクターの形相を見て我に返る。

美人局:あ、は、はい。えー、世にも不思議な写真がこうして目の前にある事で、
    なにか私達の知る由もない異世界があるような気が致します。
    さて、更にですね、この後大河内さんが撮られた写真には、
    実に決定的なものが写っています!
    こちら、ご覧下さい!!

会 場キャヮアアアアア〜〜〜〜!!(騒然)

美人局:はい……これはもう紛れもなく「人魂」ですね。
    くっきりとその形が出ています。
    じろだ先生、いかがですか!?

じろだ:これは……いけませんね。何か重た〜いものが伝わって来ます。
    注意しなければいけないのは、人魂よりもコチラです。判りますか?
    この、横にぼんやりと赤く写っているもの、コレです


会 場:
キャア〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!(絶叫)

美人局:こっ、これは!!

じろだ:はい、ですね。しかも赤い色は警告色で大変危険です。
    この場に入り込んだ事を霊が怒っているんですね。

美人局:なるほど、人の横顔に見えます……。
    どういった霊であるかは、お分かりになりますか?!

じろだ:……ここは昔、古戦場でしたね。首を斬られて亡くなった侍の霊です。
    好きな食べ物は茄子の煮びたしとイワシ。
    奥さんは美人であったようです。

美人局:…………は? え、ええと、そういった事だそうですが、
    え〜〜〜〜〜、それでですね。ここでまたアラマタ先生に、
    科学的な観点からご意見をお伺い……しなければならないですね。
    ふたたび、アラマタ先生?

アラマタ:はいはい、アラマタです。

美人局:いかがでしょうか、こちらの写真をご覧になられて。

アラマタ:ハイ、これはすごいですね〜。
     古くからの文献にある通りの人魂に酷似してます。

美人局:あっ、すると、これは本物の人魂であると!

アラマタ:そうですね。あのー、夏に花火として売っている『ひとだま』、
     こう、綿に燃料をしみこませて火をつけた針金を人が手に持つアレ、
     それに使われているエチレングリコールを
   燃やした時の感じ
に非常に似てはいますが、
     本物ではないでしょうか。

美人局・会場:………………………。

またもや唐突にCMに入り、12分経過。

美人局:はい、えー、生放送な事もございまして、視聴者の皆様に電話、
    ファックス、メール等、大変な反響を頂いております。
    ですが、大変残念な事に、急遽お時間となってしまいました
    私共の番組では機会をあらためまして、また違った観点からの
    専門家の先生のご意見も踏まえつつ、徹底的な検証を行いたいと思います。
   それでは皆様、ごきげんよう!!



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