2005年の夏くらいから2006年の秋口くらいの話
小学4年生軍団が当店に社会見学にやって来た。迎え撃つのはシフトの関係で自分ひとり。 当世の子どもはどんな質問をぶつけてくるのだろう。予測がつかずドキドキである。 お出ましなさったお子たちは、ちょっと照れたり好奇心を炸裂させたりしながらどやどやと現れ、 予め学校の班で考えて来たのであろう質問などをぶつけて来た。 Q. 1日にどのくらいのお客さんが来るんですか? A. そうですねえ、平均して100人くらいでしょうか。 Q. 外国のお客さんも来るんですか? A. アジアの方が多いですが、欧米の方もいらっしゃいますよ。 一通りの質問が終わり、興に乗った男の子が傍らに並べてあったCDを指し 「この端から端まで、ぜ〜〜〜〜〜んぶ買ったらいくらになりますか?」 笑いながら電卓を持って計算し、金額を示すと「……たっけぇ」と一言。あははは、そりゃそうだねえ。 そんな男の子を冷ややかに横目に見ながら、落ち着き払った女の子がぽつりと訊いて来た。 「この仕事は、好きでやってる仕事ですか?」 いきなり職業意識にバッサリと斬り込み。 「ええ。 楽しいですよ♪」 「……『たのしいです』と……」 淡々と答えをノートに書く女の子。 ごめんね、ホントはあるんだ、やってらんねえ事だってイッパイね♪
ゴミ袋が有料になった。今までも指定の袋を買っていたが、一気に一枚80円。可燃不燃を10枚パックずつ買えば、一気に1,600円の出費がかなりの割高感を醸し出している。 そんな切なさを反映してだろうか、遣り手のオバサマを目にした。 ショッピングセンターのサッカー台。購入したトレイに入った肉だ魚だ惣菜だののラップを引裂き、 備え付けのビニール袋にドカスカ移している。傍らには空トレイの山が築かれて。 そのトレイを汚れかさばるままに側のゴミ箱に突っ込み、オバサマは揚々と帰ってゆかれた。 じぶんに やさしく エゴロジー。
九官鳥は、そこの様子というものを如実に表現してしまう侮りがたい鳥である。 とあるペットショップの九官鳥は、若い女の子の声で、低く吐き捨てるように 「うるさいよ」 「うるさいッてんでしょォ」 と、無表情で淡々と喋っており、涙を誘う。 その言霊に込められた負の感情を、鳥が解らぬわけはない。 それでも、なぞらずにいられない性を持って生まれた生き物。 優しい言霊をその身に受け、なぞる事の出来る居場所が、早く見つかればいいと願う。 また、とある場所では、楽しそうにひょいひょいとカゴの中を行き来しながら、 「あれぇ?」 「あれー??」 を連発している九官鳥も。 案の定そこの段取りというものは、結構なすっぽこ加減であった。
リサイクルショップにて。 『HDレコーダー 160MB』 そいつは、無理。
息詰る攻防が行われていた。 負けじ魂に火のついた年配のオバサンと、ほくほく顔のマネキンのおねえさん。 ビールっぽい飲料、ぐっさんがCMをしている「のどごし生」のオマケ抽選である。 6本パックで1回抽選。外れても柿ピーか台所用スポンジ、うまくすれば ぐっさんイラスト入り長袖シャツか、ぐっさん音声目覚ましが当たるという。 むう、これは無理からぬ魅惑グッズ。 オバサンはカートに、既に6本パック4つ入りの段ボールを一箱載せている。 「ざんねんでした〜〜。こちら台所用スポンジか柿ピーになりますが、どちらか……ハイ?」 その4回分のチャンスは、潰えたらしかった。 「は? あ、あと2箱ですか? ありがとうございますぅ!」 マネキンのおねえさんは、オバサンに言われ、意気揚々と段ボール2箱を上積みした。 さっきのと合わせ、つごう72本ののどごし生。差し引き8回のチャンスが追加だ。 いやがうえにも高まる賭場感。吟味してひかれた三角くじを破り開く手元がもどかしい。 果たして勝利のぐっさんは微笑むのか!? 「ああああ〜〜〜、ざんねんでしたぁあああ」 嗚呼。 オバサンは72本ののどごし生と、12袋の柿ピーを持って、哀愁を帯びながら帰ってゆかれた。 まあ、くじってそんなものだろう。 ウチも1パック買って、柿ピーを今晩のアテにしよう。 『おはようございまぁす!! 今日も一日ガンバリましょ〜〜〜〜〜!!』 今、疲れまくって朝の起きれぬ我々を、ぐっさん目覚ましの元気な声が勇気づけてくれている。 ありがとうぐっさん。ホント申し訳ありませんオバサン。
新聞折り込みチラシを見ていた。ちょいと良さげな物件の広告が。 動きやすそうな整った間取りに、オール電化だIHヒーターだと、最新の設備が名を連ねている。 これだけのものなら結構なお値段なのだろうな。いくらくらいなんだろう?
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…………とりあえず、3つほど下さい。
Google Earthを落として遊んでみた。 うお。これはスゴイ! 衛星写真データで、ぐりぐりと全国、いやさ全世界の様子がこの手に取れるのだ。 感動と共に、昔のまんがの悪の支配者の、野望に燃える高揚感が解ったような気もした。 ずーんとズームをかけてゆくと、ナスカの地上絵が、パリの凱旋門が、函館五稜郭がこの手に。 この素晴らしい力を何に使ってくれよう。うはははは。 考えに考えた挙げ句、遠方のため普段行く事の出来ない、それぞれの先祖の墓に バーチャル参りをして喜ぶ。 嗚呼、小市民。
ある日家に帰って来たら、冷蔵庫の氷がたっぷりの水になっていた。 ふんぎゃー。 庫内はほぼ全滅状態で、途方に暮れているその間にも、どんどんぬるさは増している。 あー、いつ買ったんだったっけなこの冷蔵庫。確か5年保証つけたような気もするが。 折悪しく、改築のドサクサで保証書もどこへ行ったか見当たらない。万事急須。いや休す。 と、昔のメモパッドにその購入エピソードを書いていた事を思い出した。自分のホームページを持って、心から良かったと思う。(備忘録か) 家電量販店の気弱な販売員、呼称メガネさんの、熱意と空回りのセールストークの果て、 気の毒すぎて半ばそれを終わらさんが為に、おススメ通りに5年保証をつけたのであった。 そしてーーーーーーーーーーあれから、4年2ケ月が経っていた。 どうやら触媒の循環不良を起こした為の故障であったが、修理にみえたメーカーさんいわく 「5年以内にこういう症状が起きるのはまれですね。大抵は5年以上経ってからが多いんですが」ありがとうメガネさん! あなたのそのレンズ越しの眼力と、気弱な押しに、感謝だ。
知らないひとからメールが来た。文字化けやへんてこリンクのついたそれらを振り分ける 迷惑メールフィルターもくぐり抜けるほど、それはフツーの文章で。 お名前は「遥」さんらしい。 むくつけきヒゲ面のおにいさんが、バイトで書いているのではと思われるその文章は、 素人臭さを漂わせながらも、ポイントをきちんと押さえた書きっぷりである。 ********************************************************************* Subject: お返事遅くなりました。メール頂いた遥です。 ちょっと前に不倫系の掲示板からメールいただきましたよね? 主人のスキを見てメールをしているので、すぐにお返事できなくてすみません。 結婚生活っていろいろ制限が多く、なんだか疲れます。 逃げ出したいと思っている時にお返事貰えたので凄く嬉しいんです。 名前は本名で遥と言います。よろしくお願いしますね。 結婚はしていますが、今の生活を変えたい、解放されたい、そう思ってメールしました。 もしかしてこの出会いが切欠になって、現実的に生活に刺激と潤いがあれば 今の生活にももう少し耐えられるんじゃないのかなと思ってます。 ***********************************************************************ん? ……切欠って、なんだろう。 せっけつ? きりかけ? あっ! き、「きっかけ」ぇ?! うそ、キッカケってこういう字だっけか? 慌てて辞書検索。結果は「切っ掛け」であった。 そ、そうだよね。 いやしかし、念のため「切欠」でも調べてみよう。 ●きりかき(切欠き) 『接合のために材料の一部を切り取ってできた穴。集中応力が現れやすい』 なんと分野的には材料力学なるものの用語。そげなコムズカシイお話なのですか遥さん。 そしてまた、集中応力とは? 調べてみる。 『部品に溝,穴,段違い部などがあると,局部的に高い応力が加わる。これを応力集中という』 ……すると文意は、 「もしかしてこの出会いが切欠(段違い部、溝、接合の為に切り取られた穴に、 局部的に高い応力が加わる)になって、現実的に生活に刺激と潤いがあれば……」 ぶっしゅー。 不倫のお誘いというファクターも手伝って、思わず鼻血が噴出するほど深読み。 いや、平安の昔にさえ花鳥風月、自然の風情になぞらえつつ、結構ダイタンで意味深な恋文を 取り交わした例もあること。これもそう考えればゆかしい文とは言えますまいか。材料力学のたしなみのある殿方には、あるいは功を奏すやも。 そのあたりターゲットになさってみてはいかがでしょう。遥さん。