婦人倶楽部付録・現代の結婚百科事典(1952・昭和27年) |
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「現代」というてますが、昭和二十七年のお話です。
さしもの私も生まれておりません。古本屋で見かけて、 反射的にレジに持ってってしまった魅惑の逸品です。 「花嫁・花婿と新家庭のために」更には 「年頃の子女とその親たちのために」のみならず 「媒酌人並びに親戚知友のために」と、 まこと行き届いたレクチャー本。 今からすれば、一見珍妙にも映るその言葉使いや概念。 しかしそこに垣間見えるのは、 自他ともに尊ばんとする、奥床しき情緒です。 その、平成の現代には絶えて久しい浪漫の薫りをここにご紹介。 |
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![]() 四ツの袋を大切に |
若い二人を後々まで導いて下さるのがお仲人さん。 それは『真実性のある人格者で、全幅の信頼の出来る方ではなりません』 それにはこんな方をおススメ。というか、 こういう方に『お願いしてはなりません』なミもフタもない例。 |
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| 『世間にはよく「なん十組媒酌した・成立させた」とか大変自慢にしている方を 耳にする事がありますが、この人が真に信望のある方で、多くの人が是非にと いって期せずして依頼に行ったならよいのですが、いわゆる「仲人口」とかいって、 両方へその場限りの都合の良い事を並べ立てて、適不適や将来の事を考えるよりも、 とにかく無理矢理にでも成立のみを急ぐような人に世話になってはなりません』 『また世の中には酒好きの為に、縁談であちらで飲みこちらで飲み、それを楽しみに 世話している人もあります。そんな事で、人生のスタートというべき結婚式の披露宴に、 大役の媒酌人が酩酊してしまって、新郎新婦の新婚旅行を送り出す事も出来ず、 お開きの挨拶も出来ず、大失態を演じた人を見た事があります。 こんな人は、媒酌人としての資格はありません』 既に漫画です。しかしこの綿密な書き様からすると、 かなり筆者に近しい実話ではなかったかと察せられます。痛々しいですね。 |
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| さらに、媒酌人とは、真にその結婚が幸せなものであるかジャッジすべき 立場にある、大変責任の重いものであるという事です。 『たとえ二人が深い恋愛関係にあっても、結婚する事はけっして幸福でなく、 かえって不幸を招くと思われる場合は、よく話し合ってなるべく双方に傷が つかないように解消してあげなければいけません』 人の人生を左右する恐るべき大任です。それは確かに祝い酒目当ての酩酊仲人では 務まりません。さらにはこんな細やかな配慮も必要です。 『近時は結婚前に二人が相当に交際をしている方が多いので、結婚式の当日に 来賓の前でかなり親密な態度をする方があります。そうした際には媒酌人は、 あまり程度を越さないようにひそかに注意をする事もひとつの役目です』 この平成の世では既に、出来ちゃった婚を視野に「授乳の出来るウェディング ドレス」なるものも開発されています。当時の立派な媒酌人ご夫妻が 今日びの結婚式をご覧になったら、卒倒されるのではないかと案ぜられます。 |
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| さて基本に立ち返り、良縁を得る為の心得をひもといてみましょう。 ●良縁を得させる為の母親の心得 お嫁入りまでに、娘を立派に育てる事こそ母親の務め。 それが愛しい娘の幸せに繋がるのです。 そのためには『性教育がぜひ必要です』 |
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| 仮祝言を終えた一組のカップル、『まこと人に羨まれるほど客観的な好条件に恵まれており、 本人同士も好き合っていました』のに、どういうわけか新夫人の娘さんが、 急に浮かぬ顔になりふさぎこんでしまいました。どうしたのかと尋ねたところ 『女学校時代のお友達に会い、結婚生活とは何かという話になって、その友達は 遠慮がないものだから、ついに夫婦生活の生態について話して聞かせたというのです』 『するとこの新夫人はすっかり驚いてしまい、結婚生活とはそんなものではない、 そんな筈はない、そんなものならもう結婚なんかしない、もういやだといって、 今年二十三才になるお姉さん(未婚者)に相談すると、このお姉さんもまた、 そんな筈はない、そんなこと嘘よ、もしほんとうだったらすぐにかえって来なさい、 といったとのことです』 あらあら。 媒酌人夫人いわく『一体、今の世にこんな娘さんが存在するのか』。 流石の昭和二十七年でもこれは最強です。 |
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●ゆかしく育った素敵な娘さん。そうなると花婿のお母様も動かざるを得ぬ魅力が
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| とあるバス停留所。クラス会の帰りにM夫人はお友達と連れ添いバスを待つ事に。 その次のバスは何時になるのかしら、早く帰らないともう遅くなりそうね、などと話していた時、先に待っていた二人のご婦人の内、若い娘さんが近寄って来て こう言ったそうです。 「ごめん下さいませ、バスは只今、ちょうど出たばかりでございますの。 あと十五分しなければまいりません」と親切に。M夫人感嘆。 「その言葉づかいのゆかしさ、その声の美しさ、その態度のやさしさ、何という 素晴らしい娘さんでしょう。」 「しばしその顔を見つめていたら、黒ダイヤのような瞳にぶつかってしまった。 あっ、この娘さんこそ、うちの息子の嫁にもらいたい女性だ」 と思ったM夫人は、バスを降りたその女性のあとをつけ、名前を知り、 目出たく息子の嫁にもらったそうです。 未来のお姑さんからストーキングされるほどの魅力。 あらゆる意味で圧倒されます。 |
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| 黒ダイヤとは、ヘマタイト(赤鉄鉱) もしくは石炭。 |
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●常に若々しく
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| 老いてゆくという事はまことに悲しい寂しい事でありますから、若々しくあらねばなりません。 無論男性の方も、『あなたのお年はいくつ、なんてたずねることは大変に失礼なことです。 エチケットを知らぬ野人として軽蔑されます』。 川口浩探検隊に追われてもいけません。心しましょう。 |
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『当たって砕けろということもありますが、相手次第にやらないと 後でピエロ扱いにされます』 ●失敗するプロポーズの例 ●プロポーズの断り方 |
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『「あなたは本当に百合のような方ですね」 あなたはこんな安価な殺し文句に乗ってはいけません。 「ええわたしは百合でも鬼百合ですね。よくあなたわたしの事をご存知ですね」 とでもお答えになって、急に1オクターブ高い声で話題を変えるか、 部屋の中でしたらトイレットにお立ちになることです。』 『つつましく上品に返事をされると謙遜だと誤解されますから、出来るだけ 金属的な表情で先方に恥をかかせないようにし、しかも相手の気持ちに 同情していないようなアクセントでお話しになることです』 この、もしもの時に備えておく高度なテクニック。 賢婦人のたしなみと申せましょう。 |
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| 「人呼んで、鬼百合」 忍びが正体を見あらわされたように 言ってもいけません。 |
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さあ、理想の相手に巡り会いましたら、
次はいよいよ結婚でございます。 ●結婚百科・其の弐へ続く! 工事中・乞うご期待 |
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