表札を失敬

   四季のエッセイ        @
 入試の春満開。朝刊に大学合格者の顔写真が一ページつぶして並んでいる。予備校の宣伝だが、蛍雪の辛酸が報われお目出とう。
 石原慎太郎邸で表札盗難事件があった。それも七回に及ぶ。何の目的で盗んだか。芥川賞を受賞してから激しくなったそうだ。警察に届けるのも大人げないと、そのつど知人で書家の首都大学学長、高橋宏さんに揮毫してもらって、新しい表札をかけかえてきた。
 犯人はどうやら大学受験生らしい。迷信、試験に通る=四軒(の表札)をとる、を信じた犯行であったという。仙台では二百枚が被害にあった年があるというから驚く。
 入試の春の、悲喜入り混じる風景である。