島津雨

   四季のエッセイ        @
 近づく梅雨、めずらしい島津雨の話題だ。
南国・鹿児島では、旅立ちの日や結婚式の日に雨が降っても嫌がることがない。むしろ縁起よい島津雨といって喜ぶ。初代島津藩主忠久が大雨の中で誕生した言い伝えによる。
 忠久の母、源頼朝の側室だった丹後局は、
正妻の北条政子の嫉妬をうけ、西国へ逃れる
途中、住吉大社境内で頼朝の子、忠久を出産する。この時、稲荷の神が狐火を灯し母子を守る。吉兆・島津雨と稲荷信仰の由来だ。
 晋どん、もうここらでよか。明治十年九月
西南の役最後の日、政府軍七万人、薩摩軍三
百七十二人。銃弾で深手を負った西郷隆盛は
別府晋介に介錯を頼む。 
 城山に、島津雨が降りしきっていた。