毎日京都支局

   四季のエッセイ        @
  久しぶり京都三条通を歩いた。毎日新聞京都支局は六十年前と同じ姿で建っている。
 ふと亡き友・上野昭二君の面影が浮かぶ。ただ一人、中学四年で三高に進学、この支局でアルバイトをしていた。彼の回顧録・千年の歩みによると、支局での仕事は記者が取材してきた原稿を大阪の本社へ電話で送稿することだったようだ。支局員の中にのちに作家となる井上靖がいて、ノーベル賞の湯川秀樹博士宅へ原稿を貰いに行かされたりする。
 ある日、支局三階で行われた映画会に誘われる。階段で民芸の宇野重吉とすれ違い、会釈すると丁寧に帽子に手をやり挨拶を返される。文化の香り充満といった支局だった。
 十六日、京都は五山送り火の日だ。合掌。