雲一つない

   四季のエッセイ        @
 画家のみなさんって、へそ曲がりだ。
 雲ひとつない青空だというのに、必ずひと
筆ふた筆、雲を描かないと気が済まない。
 こんな研究がある。米ペンシルベニア大で
世界の名画四千五百点の空の色を比較調査し
たことがある。すると、北緯四十一度の南欧
ローマの空は濃い青をしており、遠景までは
っり描かれたものが圧倒的に多かった。それ
に対して、北緯五十一度のロンドンは上に掲
げたターナーの絵のように、雲にすっぽり覆
われ、どんよりした薄い青色をしている。
 江戸時代、ヒロシゲ・ブルーがあった。ヨ
ーロッパの人々は、初めて見る歌川広重の浮
世絵に魅せられて、そう呼ぶ。
 けさの京都、突き抜ける青い空だった。