四季のエッセイ        @

花の故郷

 その散り方ちょっとお行儀が悪いよ。
 金木犀の小花が道路にびっしり乱れ散っ
ている。私ここよと、姿より先に香りで自
分をアピールしていた金木犀だが、ことし
は咲くのも散るのも早かったようだ。
 金木犀の木が何と四十五万本、そんな街
が中国にある。この花の原産地、桂林だ。
桂林の桂の字は中国語で金木犀を意味し、
漓江といくつもの湖に囲まれ、甘い官能的
な香りが風に乗って街を覆っている。
 京都では建仁寺勅使門を入ってすぐ西の
禪居庵が金木犀の名所だ。平安の昔、僧・
栄西が中国から持ち帰ったと伝わる。庭に
金木犀の大木があり、金木犀の蕾を入れて
飲むジャスミン茶を振まってくれる。