ある急ぐ計画
(友人がガンの治療を終えて退院してきた)
おい彼念願の釣旅行を急ごう
彼が生きてる内に実現しよう
あの病気は必ず再発するからな
元気な今の内だぞ
急ぐ理由を彼になんと説明する?
我が儘なBが急に言い出した事にすればいいさ
迷惑居士も役立つ事もあるな
彼の希望を出来るだけ取り入れてな
どうやって聞き出す?
君が碁でも打ちながら聞き出せよ
旅行中Bの子守は俺がする
数日後Bに訳を話して協力を頼む
さすがのBもみんなに任すと神妙だ
かくして只今釣り旅行の立案中
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03.04.27
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2 歳 児
知的障害者の施設にいたとき16歳の少年が2歳児と同じような行動を
するのを見た。
うちの孫の動作を見ているとそれを思い出した |
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身動きもしないで見つめている
次から真似て同じようにする
でも手がまだ不器用でできない
べそをかく
でもまた挑戦する
彼女のしたことがおかしくて皆が笑う
皆が笑うと同じことを何回もして気を引く
こんなに幼くとも目立ちたい気はある
水道の蛇口から流れる水で遊ぶのが大好き
何時までもやめようとしない
戸を空けると即閉めにいく
いくら暑くとも閉めにいく
新聞を読んでいると
新聞読まないでと取り上げる
自分のわからないTVを見ていると
さっさとスイッチを切ってしまう
何十ともなく童謡を覚えている
電車がくれば走れー走れー鉄橋だ・・・
とんぼがいればとんぼのめがねは水色眼鏡・・・
犬が通れば犬のおまわりさん・・・
雀がいると雀の学校は・・・
何でもかんでも歌が出る
大人だけの中の2歳児は
頭も進むが我侭の極み
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同 類
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米山が日本海に落ち込んでいる所に笠島という集落がある。
そこに近年漁港が出来た。前から行って見たいと思っていたが、国道から
反れて降りなければならないので今日まで行けなかった。 |
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コンクリートはまだ白い
出来立ての港は
人影も無く小さな漁船が2、3艘静かに
舫っていた
海は澄み底が透けて見える
めごちが洗濯板状の砂底にへばり付いている
深みを探し竿を出す
30前後の男が近づいて来て無言で竿見ている
がらんとした岸壁に
私のランカスターが止まっている
いろ違いのランカスターがすっと
私の車に並んで止まった
そこから出てきた男だ
釣らないのかと声を掛けてみた
釣りたいのだけれど餌が無いという
釣りに餌を持っていないのかというと
所用の帰りで上田まで帰る途中だ
水の綺麗な港が見えたので
たまらず降りてきた
釣り道具は常時トランクにあるという
こいつ俺と同じような奴だ
俺も時々旅の途中で無性に釣りたくて
常備している釣り道具を出す
車まで同じ車種に乗っている
餌なら沢山ある自由に使っていいというと
男は走り出した
自分の車から竿と道具箱を両手に下げ
満面の笑みで駈け戻ってきた
大急ぎでキス仕掛けを作り
相撲取ような格好で手刀を切り
私の餌箱からいそめを付けている
口数が少ない
子供のような奴だ
キスを一匹上げて
有難うございます釣りはいいですねといった
有難うを言うタイミングが違うだろう
ここは俺と違う
俺はもっと常識的だ
でもこいつなんとなく真実味があるな
急に胡散臭さが消え
親しみが沸いてきた
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最近カアチャン釣り師が増えてきた。でも男の釣りと全く違う雰囲気だ漁獲高が最優先。男の釣り師の姿を書こう
釣 り 人
目的の魚の動きを想像する
魚が餌に食いつきたくなるように工夫する
餌に食いついたら
針掛りしやすいように工夫する
目的の魚の居そうなところを想像する
それでも足りず寄せ餌を撒く
魚が餌を咥えた時の魚信を判断する
科学的だったり経験だったり
釣り人はそれが確かだと信じ込む
自分の知識や経験を組み合わせて
あれこれ工夫する
どれも自分の勝手な想像であるとは思っていない
腹が減った魚が居れば
何であろうと釣れるんだなどと思いたくないのだ
釣れていたのは嫌なのだ
釣り上げた魚が自慢なのだ
思いこみとロマンが男の釣りだ
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70 半 ば
教員40年、福祉施設の長10年
70歳で本当の自由が来た
本当の自由を味合うために
一切の公の繋がりを断ち
一切の団体から身を引いた
家もある、土地もある
子供も独立して生業に着き嫁も娶った
婆さんは元気だ、俺もすこぶる元気だ
贅沢さえしなければ食うには困らない年金がある
2500のRV車もあり好きなところ行こうと思えば
何時でも行ける
釣りをしたり
ボーリングをしたり
PCのホームページを編集したり
コンピューターで囲碁をしたり
庭いじりをしたり
退屈は絶対しない
そんな生活で5年が過ぎた
満足しきった生活であった
後何年生きられるか考えるようになった
振りかえると5年10年はあっという間だった
そう考えるとこの先10年生きても
あっという間に終わるわけだ
そう考えたら急に欲が出てきた
俺の存在を自他ともに認める存在にしたい
現在形で無くとも良い。100年後で良いのだ
むしろ今の下らない価値観で認められるより
100年後の進んだ価値観で評価されるのが望ましい
何はともあれ何かしなければ業績は残らない
自主自立の自由は失いたくない
全くの自由の元で何が出来るか
世の中に迷惑をかけずに出来ること
それが俺の足跡として消えないもの
これからじっくりと考えよう
考えているうちに時間切れにならないように
70半ば(2)
マラソンは終わった
入賞でもなければびりでもない
誰からも注目されず
疲れて肩を落とし帰路に着く
走り切った自己満足だけが自分を慰める
もうこの次ぎは走ることは無いと感じている
花でも摘んで
屋台で引っ掛けて
誰も待っていない家の片隅へ帰って行く
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友ちゃんの星
りゅうぐうじょうの絵本を見ていた2歳のゆうちゃんは
りゅうぐうじょうのまわりにもお星様があるんだねという
それはひとでと言う海の生き物だよと教えた
その晩夜空を見て空にもひとでがいるのかなー
いくつのなったらひとでとほしは違うんだと解るかな
爺は楽しみだ
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夢
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ここ数年同じような夢を見る。誰か夢判断をしてくれないかなあ
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トイレへ行きたくなる
近くのトイレに行く
汚い
別な場所を探す
そこも汚い
なぜか大きな家で
何カ所もトイレがある
みんなくみ取り式で
便が溢れそうになっている
用を済ませて車を止めたところへ戻ろうとする
あちこちに駐車スペースがあってどこに止めたか分からなくなる
焦って探し回る
止めたときの周りの様子を必死で思い出そうとするが
思い出せない
どの駐車場も林の中だったり
山の斜面だったり
建物の陰だったり
そのうちにやっと見つけるのだが
何重にも他の車が止まっていて身動き出来ない
僕が平泳ぎのような格好をすると
空中にふわりと浮かぶ
時には半島の稜線を越えて反対側の海に出る
コバルトブルーの明るい海
緑の半島が美しい陰を海に浮かべている
ある時は大きな大きな数階建ての木造家屋の上を飛んでいる
瓦屋根を越えて隣の棟の雨戸の前まで飛んでいくと
昔一緒に勤めた同僚がわいわいと何かやっている
ある時は急いで帰るため例によって空から帰ろうとする
何故か体が重くて途中半端にしか飛べない
トイレと駐車場二つつのテーマは
場所も状況もその都度違うが
汚くて使えない、車がなかなか見つからない
この状況はいつも同じだ
空を泳ぐのは一寸違う
巧くいかない事もあるが
素晴らしく良い思いをすることもある
もう何年も月1ぐらいの割合で見ている夢だ
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新潟の雪に久し振りに出会った。新潟らしい雪は最近滅多に降らない。
本当の雪
ふわふわふわふわ
まっすぐに舞い降りてくる
鉛色の空から
空よりももっと鉛色で舞い降りてくる
まっすぐに、まっすぐに
小刻みに揺れながらまっすぐに降ってくる
屋根あたりまで降りてくると
急に真っ白に変わる
そして音もなく一ひら分の高さを確かに積みあげる
空の底から隙間無く限りなく湧くように降ってくる
まっすぐにまっすぐに降る雪は
耳に聞こえないぼそっ、ぼそっという足音をたてて積もる
車の音も電車の音も鳥の声もすべて消え
冬枯れの枝先から滑り落ちる雪の音だけが
ぼとぼとっと時たまするだけだ
静かに静かに降る雪は
明日目が覚めると腿まで積もっているだろう
人々は夜の団欒を早めに切り上げ
明朝の除雪作業を覚悟して
静かに眠りに入る
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時の流れ
驚き、喜び、発見
一日の内に二つも三つもあった
幼い頃の毎日
それがやがて次第に少なくなり
日に一つ
週に1つ
月に一つと
心のときめきが減り
日々の速さが加速する
心待ちにすることなど滅多にない今は
1年なんか一瞬の内に過ぎ去っていく
心の波が欲しい
風がなければ
波は立たない
冷たい向かい風には
もう耐えられないだろう
でも風は欲しい
時の流れを濃くするために
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ボウリングをする人
カカーン
ストライク
ガッツポーズをしながら戻る人
にこにこ顔で戻る人
照れながら戻る人
わざと顔の無表情の人
カーン
一本残ったピンを見て
残念と正直な人
拳を振り悔しがる人
未練がましく何時までも見ている人
首をかしげてこんなはずがないと文句顔の人
残った一本を指さして大笑いする人もいる
何で笑うのかよく分からない
とにかく人それぞれの表情を見せる
ボウリングは人を表す
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友菜の熱
3歳の友菜が40度の熱を出した
荒い息をしながら目をつむり
じっと耐えている
突然はっと目を開き
おじいちゃん何とかしてとうわごとの様に言う
訴えるような目で私を見つめる
がんばれゆうちゃん
「うん」と答えて涙をいっぱいためた
医者の薬も飲ませた
座薬も入れた
熱取りも頭に当てている
これ以上やってやれることがない
荒い息をしながら顔を真っ赤にして
また目をつぶった
後打つ手はないのか
拳を握りもどかしい時間が流れる
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すずめだって
庭に雀が一羽ぴょんぴょんと歩いていた
もう一羽舞い降りてきた
連れだって散歩している感じ
もう一羽舞い降りてきた
2番目にきたやつが3番目にきたやつを
追いかけて争いになった
ははーん恋のさやあてだな
小さな砂埃を立て
羽を打ち合って地面から庭石に植え込みの中に
庭中じゅじゅと叫びながら飛びまわる
やがて3番目にきたやつは追い払われた
初めの雀が雌で2番目のやつが雄らしい
雌はぴょんぴょんと二、三歩あるくと
うずくまるような仕草をする
雄はやたらに周りを動き回り
雌のそばに降り立つ
寄り添うように
おや、雄が何処かへ飛び去った
雌は植え込みの陰にじっと身を潜めた
うずくまるような格好で首だけくるっくるっと動かして
5分以上もそうしていた
おやっ雌が庭の真ん中に出てきた
雄が虫をくわえて降りてきた
雌に口わたしで虫を与えた
雌は飲み込まずにくわえている
雄がまた虫を受け取る
また雌に虫を口渡しする
何回も何回も繰り返す
どっちが飲み込んだのか
虫はなくなっていた
それでも寄り添うように歩いたり
せわしなく雄か雌の周りをとんだり
前と同じ事を繰り返している
雀だって人間と同じ事をしているんだ
いや、人間も雀と同じ事をしているんだ
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位 牌
お盆が近いせいかみんなが位牌を持ち歩いている
今の位牌は金属製のものが多い
戒名が書いてある代わりに
画面が出たり文字が出たりするらしい
位牌を親指で押すとピコピコと音がして何やら小窓に現れる
金属位牌を持っているのは断然若者に多い
この位牌はすごい霊力があるらしく運転中であろうが
人と会話中であろうがそれを中断させて呼びつける
この金属位牌はものをしゃべるらしく時々耳に当がわせ返事をさせている
道を歩いているときも釣りをしているときも飲み屋にいるときも
片時もこの金属位牌を離そうとしない。
何時から日本人はこんなに信心深くなったんだろう
おまえあほや
あれが位牌に見えるか
あれは金属製の電子しゃくだ
平安時代は木でつくっていたが今は金属なんや
いや俺にはどうしても位牌に見える
あんな男についていくな
おまえあの男のプロポーズ受けるのか
おまえなーあの男は美貌と響きのいい肉体しか見ていないんだぞ
おまえはまれな美人だプロポーションも抜群だ
俺が見てもおまえの体は響きがよさそうだ
でもなーおまえの美貌と体の響きは何時まで保つんだ
そんなものすぐなくなるぞ
それでもあの男をひきつけておくものを
おまえは持っているのか
あの男におまえでなければ駄目だと思わせる何かがあるか
あの男はおまえの中身なんかちっとも見ていないぞ
そんな男にでも
おまえが自分のもっと違う良さを発見させることができれば
それはそれでいい
でもおまえの頭の中には美貌を演出することしかないんじゃないか
おまえの頭の中を改造し素質を引き出してくれる男を見つけるんだな
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深い深い沈黙
無二の釣り友達が息を引き取った
今朝の2時に命が絶えたと6時に知らされる
7時に駆けつけた
座敷に移されて白布を被せられていた
静かに白布をめくると
まだ深く眠っているような彼がいた
顔が小さくなっていた
納棺のときもう一度彼を見た
顔がもっともっ小さく見えた
出棺のときの顔はさらに小さく見えた
もう深い深い沈黙の中に沈んでいた
もう二度と彼が私に話しかけることはない
そう思った瞬間こみ上げてきた
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花の写真
山野草
桜の大写し
牡丹に芍薬
寺院の門構え
仏像の顔
漆塗りの文箱
昆虫の顔
小鳥の羽色
熱帯魚の大写し
写真で見ると美しい
でも 実物で見るとそれほど感動しないことが多い
高山のパノラマ写真
大平原の風景
巨大な大木
猛烈な地吹雪
発達した積らん雲
走る稲妻
大ホールのステンドグラス
海峡をまたぐ橋
崖上に聳える寺院
これらは写真で見るより実物のほうがはるかに感動がある
俺はミクロの美に反応が鈍く
大きな美に強く反応する
反対の感性の持ち主も居るのだろうな
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認知症になった妻を見つめて
内容はここをクイック |
2008/
2008/2 |
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2008/11 |
越路には秋と冬の間にもう一つの季節がある
空は厚い厚い黒雲の覆われ
あたりは夕暮れのように暗く
南西の風が重病人の息使いのように荒く吹き付ける
霙交じりの重く冷たく大粒の雨が大地を叩きつけるように降りしきる
その雨音は会話さえままならぬ激しさ
突然黒雲を切り裂くように閃光が走り窓を震わして雷鳴が轟く
人々は閃光と雷鳴の間を一、二、三と数えおののく
時には1時間もこの恐怖が続く
街の歩行者は絶え真昼なのに車がライトを路面に反射させながら行き交う
木枯らしにも耐えて枝にしがみついていた落葉樹の葉もこの一撃で散り果てる
雪下ろし雷の季節だ
越後には秋と冬の間に雪下ろしという季節がある
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ねばならないことが出来た
70歳になったのを機に
いっさいの肩書きも役職も卒業した
俺はしたいことは山ほどあるが
しなければならない事は一つもないと嘯いていた
七年ほど経ったある日
妻が認知症と分かったそのときから
しなければならないことが日一日と増えてきた
買い物の付き添い
収納場所の銘記
行動予定を暦に書き込むこと
妻を運動に連れ出すこと
週に一項目ぐらいの割合で増えていく
することが出来たと思って喜ぼうと思っている
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