第七回・第八回 補
みなさん、こんにちは!
二学期の授業お疲れさまでした。
授業でふれられなかったところを以下に整理しておきます。参考にしてくださいね。
まず、第七回。
問一のcは、まず接続助詞「ば」の用法を考えます。「未然形+ば」は仮定条件〈もし〜ならば〉。「已然形+ば」は確定条件〈@〜ので・〜から A〜ところ・〜と B〜といつも・〜とつねに〉。確定条件の場合、ふつうは@とAがよく文中に出てきます。
この問題は「家に候へば」。「候へ」が已然形で、それに「ば」がついているので確定条件。「(わが)家でございますから」と訳さないといけません。融の左大臣の亡霊は、宇多院に向かって、「ここは私の家でございますから住んでいますが、あなたがいらっしゃるので気詰まりです」と苦情をいうために化けて出てきたのでした。
選択肢の2と4では仮定条件になってしまいます。3は「〜から」と確定条件で訳してあるのはいいのですが、「家屋」のところがまずいですね。「家屋ですから住んでいますが」なんて当たり前のことだと思いませんか?!これでは融の左大臣が何をいっているのか意味不明になります。
だから正解は1。
次に問八の解答サンプル。
「融は今でも河原院が自分のものだと思っており、そこに院がいらっしゃると恐れ多く気づまりなので、退去してほしいと院に苦情をいいたかったから」。
これはあくまでもサンプルです。
みなさんは、採点のポイントとして、「融が院に苦情をいいたかったから」「融が院に出て行ってほしいといいたかったから」という点を踏まえてあるかどうかご確認ください。
このポイントを踏まえた答案であれば、サンプル解答と同じでなくても評価していただいて結構ですよ。
続いて第八回の『無名抄』。
16行目以下はまだ目を通していただいてませんでしたね。
俊恵が五条三位入道の代表作について語った後、そのついでにこういいました。
○わが歌の中には、
みよし野の・・・
これをなん彼のたぐひにせんと思ひ給ふる。
(私の歌の中では、「みよし野の・・・」の歌、これをあの同類のもの(おもて歌)にしようと私は思います。)
五条三位入道の代表作は何かという話になったので、ついでに自分の代表作は何かということを、俊恵は弟子の長明に語ったわけですね。
「彼の類」というのは、「あの同類のもの」という意味ですが、これは6行目に出た「おもて歌」をさしていると考えられます。
だからこそ、俊恵は次のように話を続けるんです。
○もし世の末に(何が俊恵の「おもて歌」か)おぼつかなくいふ人もあらば、「かくこそいひしか」と語り給へ」とぞ(いふ)。
(「もし、後の世に何が私の代表作かはっきりしないという人がいたならば、生前俊恵はこういっていたと、お前はそういう人に語ってくれたまえ」と先生はいった)
「おぼつかなし」は重要語。「@はっきりしない A気がかりだ B待ち遠しい」という3つの意味がありますが、ここは@。もし俊恵の死後に「何が俊恵の代表作かはっきりしない」という人がいたら、長明よ、お前は私の弟子なんだから、そういう人に対して「先生は生前こうおっしゃっていました」とちゃんと説明してくれ、というわけなんですね。
最後に問一の解説を。
――面影に花の姿を先立てて幾重こえきぬ峯の白雲
この歌の上の句を解釈するとどうなりますか、という問題です。
「面影に」は〈幻影として〉という意味。
「先立てて」は〈目の先に立てて〉と訳します。
幻影は「まぼろし」ですから、「幻影として花の姿を目の先に立てる」ことなどできないはず!
「幻影として花の姿を心にうかべて」というのならわかりますけど・・・。
では、実際「目の先に立」っているのは何でしょう。
和歌だけを根拠にするかぎり、これは傍線部の下に書かれている「白雲」と考えるしか仕方がありません。
作者は山の奥に花(桜)を見に行こうとしています。
その花は、とおいとおい山奥にある。
そこまで行くには、いくつもいくつも峯を越えていかなければなりません。
息切れがする。
やってられない!
ふと、目の前を見ると、峯に白雲がかかっています。
ぼんやりと白くかすんでいる白雲。
まるで、これから見に行こうとしている桜の花のようです。
それで作者は、「白雲」を「桜の花」に見立てます。
「私は奥山の桜の花を見るために、目の前の白雲を桜の花だと思って、いくつもいくつも山の峯を越えてきたよ」。
選択肢DとEは論外。「恋人の面影」とか、「亡くなった恋人」なんて、ここでは関係ありませんからね。
Cは「人より先に見たい」に、そう解釈する根拠が見いだせません。
Aは微妙ですが、「桜の花が白雲のように見えた」では、話が逆になります。「目の前の白雲が桜の花のように見えた」というべき。