第八講 『無名抄』補足
みなさん、こんにちは。
授業でふれられなかったところを以下に説明します。
参考にしてくださいね。
問三
「難ず」と同じサ行変格活用の動詞を選ぶ問題です。
「漢字一字+す(ず)」の形がサ変になるのは、「漢字一字」のところを音読みするのが原則です。
1の「決す」はサ変。「決す」の「決」は音読みが「ケツ」で、訓読みが「き(まる)」でしょう? 選択肢の1には「けつ」という振り仮名がついているのでサ変だとわかります。
2は「流す」。「流」は音読みが「リュウ」、訓読みが「なが(す)。これは音読みじゃないからサ変にはなりません。もし「リュウす」と書いてあったらサ変にしてもOK。
3は「混ず」ですね。「混」は音読みが「コン」、訓読みが「ま(ぜる)」。これもサ変じゃない!
4は「為す」。「為」という字は、音読みは「イ」です。「人為的」っていうでしょう? だから「イ」。訓読みだと「ため」か「な(す)」。これもサ変ではありませんね。
5は「失す」。「失」は音読みが「シツ」、訓読みが「う(せる)」。これもサ変じゃありませんね。「シッす」ならサ変ですけど。
とういわけで、正解は1。2と4がサ行四段活用、3はザ行下二段活用、5はサ行下二段活用です。
問四
重要単語の「ながむ(詠む)」は「なが〜〜む」が語源。
声を「なが〜〜く」引っぱって「詩歌をよみあげる」、転じて「詩歌を詠む(作る)」という意味になりました。
傍線部Fの「ながめ」は、
□ 末の「て」文字をながながとながめたる
ですから、「ながながとよみあげる」。
選択肢5は
□ 神さびたる声をもって、「こぼれてにほふ花ざくらかな」とながめければ(おごそかな声で「・・・」とよみあげたところ)
で、傍線部Fと同じ使い方ですね。
選択肢1は「一人だけで物思いにふける」。これは「眺む(ぼんやりながめて物思いにふける)」の方で、「詠む」とはちがいます。
傍線部2も「天皇が使者を出した後、そのままぼんやりながめて物思いにふけっていらっしゃる」という文脈。
3もそうです。「『思ふかひ・・・』と歌を詠んで物思いにふけっている」。
4は現代と同じ「ながめる」。「亡き人の遺体を焼く煙を雲と思ってながめていると」という意味です。
問七
「よも ことよろしき 歌 に は あら じ」を現代語訳する問題。
「よも」は打消推量と呼応する、呼応の副詞。「よも〜じ」で「まさか〜まい・まさか〜ないだろう」。
「ことよろし」は「事宜し」。「よろし」という古語とほぼ同じで、「悪くない」とか「適当だ」という意味です。
「に」は断定ですから、「まさか悪くない歌ではあるまい」が直訳。
「悪くない」のところは「よくできた」とか「できばえのよい」「よく調子の整った」などと訳してもかまいません。