第九講 『無名抄』

(ジャンル)歌論
(成立)鎌倉初期
(作者)鴨長明

 『無名抄』は鎌倉時代の歌論です。
 鴨長明が作者ですが、長明の作品は入試頻出。
 次の三作品を覚えておいてください。

 1 随筆 『方丈記』
 2 歌論 『無名抄』
 3 仏教説話 『発心集』

問一
 「に」の識別は勉強済みですね。
 (a)は名詞についています。名詞につく「に」は、そのまま「に」と訳せたら格助詞です。
 (b)は「にや(あらむ)」の形で、断定。
 (c)は(a)と同じように考えて、格助詞。
 (d)は副詞です。副詞は授業でふれていませんが、ことばを覚えていないと見抜きようがありません。「よに・さらに・げに・なに・ことに・いかに・つひに」など が副詞だと記憶しておきましょう。頭文字をとって「よ・さ・げ・な・こ・い・つ(良さげなコイツ)」と覚えておくといいですね。
 (e)は「にける」だから完了です。「にき・にけり・にたり・にし・にしか」の「に」は完了でしたね。

問二
 (1)の「かちより」は授業で勉強済み。「徒歩で」という意味でした。

問三
 「ありがたし」は「@めったにない Aめったにないほどすばらしい B生きにくい」という意味。ここはA。ぴったりの選択肢がないので、これに近いエを選びます。

問四
 傍線部(3)「わざと」は「わざわざ・ことさらに」という意味。同義語はずばり6行目の「ことさらに」です。

問五
 傍線部(4)「かばかりの大事」は「これほどの大事件」という意味。「亭主」というのは「歌合の主催者」のことですが、歌合の場で起こった大事件は、道因入道が「わざと判者のもとへ向ひて、まめやかに涙を流しつつ泣き恨みければ」というところ。「恨みけれ」までと考えてもかまいません。

問六
 年齢の「九十」は「ここのそぢ」です。現代仮名遣いは「ここのそ」ですが、「ここのそ」でもマルにしていいですよ。

問七
 「みづはさす」は「ひどく年をとる」ということ。高齢者は「瑞歯(みづは)」という歯がはえてくるそうです。同義語に「みづはぐむ」があります。

問八
 「なほざりなり」は「いい加減だ・おろそかだ」という意味。「なほざりのこと」で「いい加減なこと」。

問九
 傍線部(8)「千載和歌集」は勅撰和歌集(天皇や上皇の命令によって編集された和歌のアルバム)です。勅撰和歌集は『古今和歌集』から『新古今和歌集』までの七つを覚えておかないといけません。この七つを「八代集」といいます。テキストの付録113にリストアップしてありますから、必ず覚えておいてくださいね。覚えるのは順番と、リストに書かれた内容の全てです。必要でないことはテキストに書いていませんから。

問十
 9行目「千載集を撰ばれし」の主語は書かれていませんが、文学史の知識から「藤原俊成」と考えます。俊成が『千載和歌集』に道因の歌を十八首入れると、俊成の夢に道因がお礼にきたので、俊成は感動してさらに二首を加えた、という文脈です。

問十一
 「よろこび」は「お礼」のこと。「漢字二字で答えよ」という指定があるので、「御礼」と書いておきましょう。

問十二
 作者=イ 成立=ウ