第八講 『住吉物語』 明治大学・商
解答・解説(45ページの現代語訳も参考にしてください)


問一
 「『いかでか見奉らん』など思ひわたる程に」を現代語訳する問題です。
 ポイントは、次の5つ。

@「いかでは ―― 推量」は「どうして」。「いかでか ―― 願望・意志」なら「何とかして」。ここは、「見奉らん」の「ん」が意志なので、「なんとかして(どうにかして)」と訳すこと。

A「見奉ら」の「奉る」は謙譲の補助動詞といわれます。授業ではまだやっていないので、今のところ、訳しかたを覚えておいてくださればいいですよ。これは、「――し申しあげる・――してさしあげる」と訳します。「見奉る」で、「お会い申しあげる」。「見る」は「会う・妻にする」。サンプル解答は「お会い申しあげる」にしましたが、「何とかして妻にし申しあげたい」とか、「何とかして関係を持ちたい」と訳してもかまいません。

B「ん」は意志でとります。「ん」の意味の取り方は授業でやりましたね。

C「動詞+わたる」も、テキスト27ページに出てきました。「@――し続ける A一面に――する」という意味でした。ここは@です。

D「程に」の「程」も、テキスト16ページで勉強済みですね。ここに出た「程」は「時」という意味。「程に」で、「うちに」「間に」と訳しておくといいでしょう。

 (解答)「何とかしてお会い申しあげたい」などと思い続けているうちに

問二
 これは簡単ですね。
 上に「こそ」がありますから、係り結びで、「侍り」が已然形になります。正解は「侍れ」。

問三
 イ ゆかしくぞ
 
 「ゆかし」はテキスト22ページに出てきました。「@〜したい A心ひかれる」。ここはAで、4が正解です。

 ロ あさましく思ひて

 「あさまし」は「意外なことに驚きあきれる」という重要単語。マーク式で出るときは、「意外だ」「驚いた」「あきれた」「驚きあきれた」などと訳してあることがあります。ですから、みんなまとめて、「意外なことに驚きあきれる」と覚えておくと便利。ここは5が正解。「びっくりして」は「驚いて」というのと同じです。誰かが戸をたたくので、侍従が見ると、そこに男(少将)が立っていた。それで「びっくりして」逃げ帰る、という場面です。

問四
 問三のロをふまえて考えてください。
「裳」というのは、袴の上につけるスカートのような飾りのこと。女性がつけるものです。「裳のすそをひかへて」の「ひかふ」は「押さえる」。逃げ帰る侍従の裳のすそを押さえたのは誰か、という問題です。問三のロをふまえて考えると、押さえたのは「少将」しか考えられません。答えは1。

問五
 正解は4。
 2の「係り結び」以外はまだ勉強していませんが、全部二学期にやりますから安心してください。
 1は「ふる」が「降る」と「経る」との掛詞。2は「ぞ→かなしき」。3は「白雪」と「ふる」と「消え」が縁語。5は「男女が贈りあう歌」をいいます。以上のことは、二学期まで保留していただいてかまいませんが、念のため確認しておきました。

問六
 正解は2。
 「ゆめゆめ〜な」は「決して〜するな」という意味の決まり文句。ですから、「ゆめゆめ」のあとには、「〜するな」という禁止の表現がくることになります。
 3と4は、禁止ではなく、単なる命令になっているので論外。
 1は「相手のつれない仕打ち」が根拠なし。本文には出てこない話です。
 4は「悲しそうな顔」が意味不明。姫君は「妹の夫からの恋文など、人聞きがわるいから、決して取り次ぐな」といっています。

問七
 正解は3。
 1は平安中期。2は奈良時代。3は鎌倉初期。4は平安末期。5は南北朝時代の作品です。
 『住吉物語』は、ジャンルが「擬古物語(平安時代の物語をまねて書いた鎌倉以後の物語)」、成立は「鎌倉時代」、作者は未詳の作品。ですから、いちばん時代が近いのは『新古今和歌集』だということになります。