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剪断変形に関する形状係数

 ラーメンの応力計算に剪断変形を考慮する際の形状係数について、その基本的な考え方のまとめです。

剪断変形に関する形状係数とは

 マトリックス法によりラーメンの応力を計算するには、剛性マトリックスを作成するために、部材の荷重と変位を関係づける必要があります。この関係式は、カスチリアーノの第2定理を用いて誘導することができます(詳細な剛性マトリックスの誘導方法は、「マトリックス法による構造解析」をご覧ください)。

 その過程で、歪エネルギーと荷重を関連づける必要があります。ここで、軸力の場合、応力は断面内に均等に分布していると考えられるので、単純な計算式で両者を関連づけることができます。

 一方、剪断力の場合、断面内に応力が均一に分布しないことから、単純には両者を関連づけることができません。そこで、剪断変形に関する形状係数という考え方を用いることで、剪断歪エネルギーと剪断力を関連づけます。

 なお、「形状係数」という用語は、平均剪断応力度と最大剪断応力度の比を表す値として用いられることがありますが、ここで扱う「剪断変形に関する形状係数」は、それとは異なります。この用語は、「マトリックス法による構造解析」で用いられています。

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歪エネルギー

 カスチリアーノの第2定理を用いるためには、部材全体の歪エネルギーを求める必要がありますが、まずは軸力による歪エネルギーを考えます。

 下図の(a)のように、ある部材に荷重が作用して、(b)のような応力と歪の関係をたどって、応力がσ1に、歪がε1に達したとします。

(a) 部材と荷重

(b) 応力と歪の関係

(c) 応力と歪の関係(弾性の場合)

図1 歪エネルギー

 このとき、部材の微少断面に作用する歪エネルギーは、下式で表すことができます。これは、図1(b)における応力−歪曲線の下側の面積を表しています。

(1)

 ここで、図1の(c)のように部材が弾性体でありフックの法則が成り立つ場合、式(1)は次式となります。

(2)

 これを、体積積分することで部材全体の歪エネルギーを得ることができます。

(3)

 ここで、軸応力は断面内で均一であると考えられることから、式(3)は次式となります。

(4)

 なお、歪エネルギーに関しては「構造力学要論」に説明されていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

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形状係数

 以上は軸力による歪エネルギーですが、剪断力の場合も微少断面の歪エネルギーは軸力と同様に考えられ、式(3)が下式になります。

(5)

 ここで、剪断応力は断面内で一定ではないので、軸応力のように単純に式を展開することはできません。断面の任意位置における剪断応力は、下式で計算することができます(これに関して詳細は「構造力学-Ⅰ」をご覧ください)。

(6)
S1剪断応力を計算する位置より上部断面の中立軸に対する断面1次モーメント
b剪断応力を計算する位置の部材の幅
I部材の断面2次モーメント

 式(6)を式(5)に代入すると、

(7)

 ここで、κが剪断変形に関する形状係数であり、次式で表わされます。

(8)
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長方形断面の形状係数

 剪断変形に関する形状係数は、断面形状により異なります。ここでは、長方形断面の形状係数を計算してみます。長方形断面のS1は次式で表わされます。この式は「構造力学-Ⅰ」に記述されていますので、詳細はそちらをご覧ください。

 よって、

 よって、長方形断面の剪断変形に関する形状係数は、

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参考文献

マトリックス法による構造解析 構造力学要論 構造力学-Ⅰ
青山博之・上村智彦 盛岡昌夫 監修 内藤多仲、共著 谷資信・佐野弘・十代田昭二・大谷佐吉
培風館 丸善株式会社 鹿島出版会
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